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ボルボ、30mの高さから新車を落下 最新モデル提供でレスキュー隊の救助活動訓練を支援
もっとも過酷な衝突時に発生する状況の再現を試みる
2020年11月16日 17:39
- 2020年11月13日(現地時間)発表
ボルボ・カーズは11月13日(現地時間)、スウェーデン国内のレスキューチームの交通事故時の救助技術を磨く材料として、上空30mから落下させたクラッシュ車両を提供したことを発表した。
ボルボはこれまでも「ボルボ・カーズ・セーフティセンター」でのクラッシュテスト後の車両を提供してきたが、今回はレスキューチームの救助隊員があらゆる事故状況に備え、通常のクラッシュテストではシミュレーションできないような、もっとも過酷な衝突時に発生する状況を再現させるために、最新のボルボ車をクレーンで30メートルの高さから落下させるテストを初めて敢行。
この落下テストにより、例えば超高速での単独事故、高速でのトラックへの追突事故や側面からの激しい衝突事故など、非常に過酷な衝突事故を想定した場合の車体の損傷を十分に再現することができたという。
このような状況では、乗員が危篤状態に陥る可能性があるため、業界で「ジョーズ・オブ・ライフ」と呼ばれる油圧式の救助器具を使用し、できるだけ早く車内から乗員を救出し、病院に搬送することが求められる。レスキューチームは、事故発生後1時間以内に患者を救出して病院に運ばなければならず、このタイムリミット1時間を「ゴールデンアワー」と称しているという。
このテストでは、モデルの異なる合計10台のボルボ車がクレーンから落下。落下前に、ボルボ・カーズのセーフティエンジニアたちは、想定している損傷レベルに到達させるためには、各車がどのくらいの衝撃にさらされる必要があるかを正確に計算したと明かす。
ボルボ・カーズの交通事故調査チーム上級調査員であるホーカン・グスタフソン氏は「私たちは長年に渡り、スウェーデンのレスキューサービスと密接に協力してきました。それは、すべての人にとってより安全な道路環境を実現するという同じ目標を持っているからです。私たちは、誰もが深刻な事故を経験しないことを願っていますが、すべての事故を回避できるわけではありません。そのため、深刻な事故が起きたときに命を救う方法を習得しておくことが重要なのです。通常、私たちはボルボ・カーズ・セーフティセンターでクルマを衝突させますが、クレーンからクルマを落下させるのは初めての試みでした。テスト後には極端な車両の変形が見られることは分かっていましたが、これはレスキューチームに極限の事故状況を再現するために行ないました」と述べいている。
衝突事故とその救出作業から得られたすべてのデータは、調査報告書にまとめられ、その報告書は、すべてのレスキュー隊員が無料で閲覧できるようにして、得られたすべてのデータから、それぞれの救命技術をさらに向上させるために役立てられるという。
通常レスキューチームは、訓練用のクルマをスクラップヤードから入手しているが、これらのクルマは20年以上前の車体であることが多く、鉄の強度、車体構造、全体的な耐久性の点で、現代の車両と大きな違いがあることが課題でもあった。その点、今回使用しているボルボ車は、現代の基準に合ったもっとも硬い鋼鉄で作られている新車。
レスキュー隊員は新しい救出技術を開発するために、常に最新の車種に慣れ親しみ、救助プロセスを見直し、トレーニングすることが非常に重要で、これを「生死を分けるトレーニングセッション」と呼んでいて、今回ボルボ・カーズは、レスキューチームの要請を受けて、さらにステップアップすることにしたという。