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トヨタ、WRCで2年連続ドライバーズタイトル獲得 オジエ選手は7回目のチャンピオンに

マニュファクチャラーズタイトルは2位に

2020年12月7日 発表

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(トヨタ自動車)は12月7日、2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)の最終戦となる第7戦「ラリー・モンツァ」においてヤリスWRC 17号車のセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が優勝したと発表。この優勝により、トヨタは2019年のオィット・タナック選手に続いて、オジエ選手によって、2年連続でドライバーズタイトルを獲得した。

 オジエ選手は今季2勝目を飾るとともに、2018年以来となる通算7回目のドライバーズタイトルを獲得。また、オジエ選手はトヨタのクルマでドライバーズタイトルを獲得した5人目の選手となる。

 なお、マニュファクチャラーズタイトル争いでは、今回オジエ選手とカッレ・ロバンペラ選手の活躍によりマニュファクチャラーズポイントを加算したが、首位のヒュンダイを逆転するには至らず。5ポイント差のマニュファクチャラー選手権2位で2020年シーズンを締めくくった。

 オジエ選手は「もちろん、今日はとてもよい日です。信じられないような週末でしたし、本当に、本当に難しいラリーでした。間違いなく、最終ステージは自分のキャリアの中であまり楽しめないステージの1つでした。路面はとても荒れていたので、とにかく生き残り、ミスをしないように走りました。ここに来た時、われわれはこのラリーで勝つことだけを考えていました。序盤は非常に接戦でしたが、自分たちの計画に従って攻めの走りを続け、プレッシャーをかけ続けました。エルフィンに起こったことは、タイトル獲得を狙うわれわれにとって非常に大きな事件でしたし、素晴らしいシーズンを戦ってきたエルフィンとスコットに同情を禁じ得ませんでした。チームはマニュファクチャラーズタイトルの獲得を渇望していると感じていましたし、われわれは3人のドライバーで5人のライバルを相手に戦い、あと一歩のところまでいきました。私が獲得した7回目のドライバーズタイトルはチームが成し遂げたものでもあり、彼らなしでは実現できなかったことなので感謝していますし、キャリアの延長として戦う2021年が今から楽しみです」とコメント。

 チーム代表のトミ・マキネン氏は「今年もドライバーズタイトルの獲得に成功し、しかも選手権2位も獲得できたので素晴らしい気分です。ドライバーもコ・ドライバーも、みんな本当によくやってくれましたし、よいシーズンでした。セブが7回目のタイトル獲得を、われわれのクルマで成し遂げてくれたのは信じられないくらい嬉しいことですし、エルフィンもわれわれが契約を結んだ時の期待にしっかり応えてくれました。そして、チームの全員にも感謝しています。彼らは本当に素晴らしい仕事をしてくれましたし、今後もこれまでと変わらずいい仕事を続けてくれるだろうと確信しています。今回の結果は、強固なチームワークと、みんなの頑張りによってもたらされたものです。これからも間近で彼らのフォローを続け、常に見守っていきたいと思います」とコメントしている。


 2年連続のドライバーズタイトル獲得に、チーム総代表の豊田章男氏がコメントを発表。以下にその全文を掲載する。

 セバスチャン、最終戦モンツァでの優勝、そしてシーズンチャンピオン獲得おめでとう! チームメンバーから「出発1分前のオジエ選手です」と写真が送られてきました。もう出発という瞬間まで、君はパソコンの画面に向かいコースのデータ確認をしていました。その後、「SSの前のオジエ選手です」という写真も送られてきました。そんな時でも君はいつも通り、貴元の質問に丁寧に答えてあげてくれていました。チャンピオンを獲ってくれたことも本当に嬉しいですが、これらの写真を見て、君がTOYOTA GAZOO Racingを選んでくれて本当によかったと思いました。一緒に戦ってくれてありがとう。

 残念ながらチームとしてのタイトルは逃してしまいました。われわれのつくったヤリスWRCにも何か足りないものがあり、チームとしても足りないことがあったということだと思います。もしかしたらエルフィンは、チームタイトルを獲れなかったことが、自分のコースオフのせいだと感じているかもしれません。そのコースオフによって、彼は自身のチャンピオン獲得からも遠のきました。一番悔しい想いをしているのはエルフィン自身のはずです。しかし、彼はサービスに戻り、開口一番「チームタイトルに貢献できず申し訳ない」と言ってくれたそうです。チームタイトルを逃したことは悔しいですが、チームのために走ってくれていたこの言葉は嬉しく思いました。

 カッレも今年1年で大きく成長してくれました。貴元も本当に頼もしいドライバーになってくれています。モンツァの最終ステージでは全ドライバー中トップタイムを貴元は出してくれました。この選手たちと2020年のシーズンを戦えて本当によかったと思います。一緒に戦ったドライバー、コ・ドライバー、メカニック、チームスタッフのみんな、大変なシーズンでしたが、本当にお疲れさまでした。本当にありがとう。

 そして、今回のラリーは、トミがチーム代表を努める最後のラリーでした。トミ……、君とも一緒に戦って来れて本当によかったと思っています。WRCに出ることを決意して、そのクルマづくりとチームづくりをトミにお願いしました。実は、当時、少し無理なお願いをしたかなと思っていました。しかしトミは、本当に1年の準備期間でクルマもチームもつくり上げてくれました。しかも、デビュー戦のモンテカルロで2位表彰台、その次のスウェーデンで優勝です。その後、苦しい戦いもありましたが、その経験の1つひとつを、われわれのクルマを強くすることに繋げていってくれました。2018年のフィンランドで優勝して、一緒にヤリスの屋根に上ったのは最高の思い出です。トミがヤリスを強くし続けてくれたおかげで、われわれは新たにGRヤリスをつくることもできました。トヨタがラリーへの参戦を通じてクルマづくりを変えてこれたのもトミがいてくれたからこそです。先日発表のとおり、トミはモータースポーツアドバイザーという役割に変わります。引き続き、トヨタのもっといいクルマづくりに力を貸してもらいたいと思います。

 最後になりますが、大きな変化の中で臨機応変に7戦のラリーを開催いただいた主催者の皆さま、そして変わらず応援を続けてくださったファンの皆さま、1年間本当にありがとうございました。2021年も世界のあらゆる道でライバルチームの皆さまと共に走れることを願っております。