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トヨタ、オジエ選手がWRC第1戦モンテカルロで優勝 マニュファクチャラー選手権でもトップ

勝田貴元選手はWRC自己最高位の総合6位に

2021年1月25日 発表

 TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ自動車)は1月25日、TOYOTA GAZOO Racing World Rally TeamのヤリスWRC 1号車 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が、WRC(2021年FIA世界ラリー選手権)第1戦ラリー・モンテカルロで優勝したと発表した。

 オジエ選手は、2年ぶり通算8回目(2009年のIRC開催大会も含む)となるラリー・モンテカルロ優勝を飾り、WRC通算50勝を達成した。なお、トヨタとしては過去ラリー・モンテカルロで3回優勝しており、TOYOTA GAZOO Racing World Rally TeamとしてWRCへ復帰してからは、今回ヤリスWRCで初優勝。4回目の優勝となった。

1号車(セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組)

 優勝したオジエ選手は「完璧な形でシーズンをスタートすることができました。私は子供の頃にこのラリーを見て、いつかはドライバーになりたいと夢見ていました。もし、1つだけ記録を残せるとしたら、間違いなくこのラリーを選ぶでしょう。私にとってはとても意味のあるものですし、だからこそ、表彰台ではとても感情的になってしまったのです。この週末、ヤリスWRCは素晴らしく、フィーリングはとてもよかったです。もう1年現役を続けるというのは、正しい決断だったと思います。チームは素晴らしく、全員に心から感謝しています。今朝の最初のステージでは驚きました。グリップが目まぐるしく変化し、一部はまるでブラックアイスのようになっていたので読み切れませんでした。われわれのグラベルクルーはスタートの2時間前にステージを通過していたのですが、その時は何もなく、ほんの少し霜が降りていただけだったので、実際に走ってみて本当に驚きました。リードを保つのは簡単ではありませんし、特にこのラリーではそうですが、われわれはやり遂げることができました」とコメント。

33号車(エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組)
69号車(カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組)

 また、33号車のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合2位、69号車のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が総合4位でフィニッシュ。チームは1-2フィニッシュに加え、パワーステージでもトップ3を占めて最大得点を獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権でトップに立った。

 そのほか、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場する勝田貴元選手は、デイ3で総合6位へと順位を上げ、最終日はスピンを喫してタイムを失うもトリッキーなステージを全て走りきり、2020年大会の総合7位を上まわる、WRC自己最高位の総合6位で今シーズン最初のラリーを戦い終えた。

 トミ・マキネン氏に替わり今シーズンからチーム代表に就任したヤリ-マティ・ラトバラ氏にとって、最高の初戦となった。

 チーム代表のラトバラ氏は「チームを心から誇りに思います。何という素晴らしい結果でしょうか。この役職に就いて初めて挑んだラリーでいきなり1、2、4フィニッシュを飾り、貴元も6位に入りました。しかも、パワーステージでは最大のポイントを獲得したのですから信じられません。本当に素晴らしいチームと最高のドライバーたちです。ラリー開始直後から彼らは速く、その後セブは他を圧倒するようなステージタイムを何度も記録し、勝利を得ました。エルフィンはとても安定した走りを続け、週末を通してミスをしませんでした。また、カッレは今朝タイヤに不運なダメージを負って後退するまでは、表彰台争いに加わるチャンスがありました。それでも、総合4位は彼にとってよいスタートになったといえます。全体的に、最高の形でシーズンをスタートすることができたと思います」とコメントしている。

ラリー・モンテカルロ デイ4の結果(現地時間1月24日15時00分時点のリザルト)

1:セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(トヨタ ヤリス WRC)
2:エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC)
3:ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(ヒュンダイ i20クーペ WRC)
4:カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(トヨタ ヤリス WRC)
5:ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ(ヒュンダイ i20クーペ WRC)
6:勝田 貴元/ダニエル・バリット(トヨタ ヤリス WRC)
7:アンドレアス・ミケルセン/オーラ・フローネ(シュコダ ファビア Rally2 Evo)
8:ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン(フォード フィエスタ WRC)
9:アドリアン・フォルモ−/ルノウ・ジャムール(フォード フィエスタ Rally2)
10:エリック・カミリ/フランソワ-クサビエ・ブレジ(シトロエン C3 Rally2)

チームオーナーの豊田章男氏のコメント

 チームの優勝に合わせて、チームオーナーの豊田章男氏がコメントを発表。以下は豊田氏のコメント全文となる。

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの5シーズン目がスタートしました。この禍の中でも例年と変わることなくWRCの道で走る機会を準備してくださった皆さまに、まずは心からの感謝を伝えたいと思います。ありがとうございました。そして、その初戦モンテカルロで、ワンツーフィニッシュという素晴らしい結果を残してくれたチームのみんなにも“おめでとう”と“ありがとう”を伝えたいと思います。特に、1号車の誇りと責任を背負いながら、今回も確実に結果を残してくれたセブとジュリアン。地元での勝利、そして「50勝目」おめでとう! エルフィン、スコットも2位でのポイント獲得ありがとう! カッレとヨンネも最終日のパンクは悔しいけれど素晴らしい走りを見せてくれました。貴元もダンと共に走りきり、さらなる成長を重ねてくれたと思います。自己最上位おめでとう。

 昨秋からチームは新会社、新体制への移行に全力を注いでくれていました。クリスマス休暇も返上し、新体制でのシーズン開幕、そして、その勝利のために働き続けてくれたメンバーも少なくありません。現場からも「チームの誰か1人でも欠けていたらモンテカルロには間に合わなかった」という声が聞こえてきました。トミと戦い抜いてきた4シーズンを通じて培われた個々人のプロフェッショナリズムとチームワークのよさを、私も改めて感じることができ、嬉しく思いました。

 モンテカルロの1週間前、新代表のヤリ-マティから、フィンランド、エストニア、ドイツ、日本にいる全てのチームメンバーに「全員の力が合わさって、はじめてヤリスがよいコンディションで走れる」という想いの共有があったそうです。ラリー中にもヤリ-マティは、チーム全員と話し、なんでも言い合える家庭的な雰囲気を作ろうとしてくれていたと聞きます。インタビューで「チーム運営に不安はないか?」という問いにヤリ-マティが「チームのみんながいるから全く不安はない」と即答してくれていた姿を見ました。私が目指すチームの雰囲気をヤリ-マティが作ろうとしてくれていること嬉しく思います。

 ヤリ-マティも、チームメンバーも、そして私も、新体制でのシーズンスタートには少なからず不安があったかと思います。しかし、モンテカルロでのチームの姿を見て、私は、その不安が一切なくなりました。ヤリ-マティはこのチームをもっといいチームにし続けてくれるでしょう。そして、ドライバー、コドライバー、チームメンバーは、ヤリスを“もっといいクルマ”にしていってくれると確信しています。

 ファンの皆さま、応援ありがとうございました。2021年シーズンも引き続きTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamをよろしくお願いいたします。