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セレンスの音声技術、メルセデス・ベンツの第2世代「MBUX」に採用 音声とAI対応の機能をより強化
2020年12月17日 14:08
- 2020年12月17日 発表
自動車業界向けにAI技術を提供するCerence(セレンス)は12月17日、メルセデス・ベンツのマルチメディアシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」の第2世代に、セレンスの音声関連技術が採用されたことを発表した。
「ハイ、メルセデス」という言葉で起動する、セレンスの会話型AIと自然言語理解技術が搭載されたMBUXは、メールの作成や最寄りの飲食店の検索をはじめ、車内温度の変更やシートマッサージのリクエストなどが行なえる。
第2世代MBUXの新機能としては、セレンスの声紋認証といったさまざまな生体認証技術を活用し、パーソナライゼーションとセキュリティを強化。これにより、ナビゲーションやマルチメディアの設定からシートポジションや最適な温度まで、パーソナライズされた設定に音声で素早くアクセスできるようになった。
また、どの席からの音声かを判別するためのマイクとセレンスの音声信号処理技術により、全座席からの音声を認識する機能を搭載し、すべての乗客にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供するとともに、複数席での通話などのコミュニケーション機能を強化しているという。
今回の発表について、セレンス CEOのサンジェイ・ダワン氏は「私たちは、この素晴らしいMBUXシステムの不可欠な要素として、あらゆる道を走るメルセデス・ベンツのお客さまに優れた車内エクスペリエンスを提供できることを誇りに思います。MBUXは、優れた技術により構築され、この分野での数十年の専門知識と経験によってサポートされている車載音声アシスタントのパワーとインテリジェンスを示しています」と述べている。
次世代MBUXシステムの新機能と拡張機能
・MBUXのインタラクティブな説明と、(個人の好みに応じて)パーソナライズされた環境設定のセットアップと保存のためのガイダンス
・27言語の自然言語理解(NLU)と間接的なコマンドの理解(例えば、ユーザーが「寒い」と言うとMBUXが車内温度を上げるなど):これにより、ドライバーは音声アシスタントと自然に会話することができ、必要に応じてシステムの応答に割り込めるので、コマンドや情報への迅速なアクセスが可能。さらに、追加のコマンドを発話して完了した対話を続けることができ、一度に複数の指示を出して次々に実行することも可能
・ネットワークが繋がりにくい場所でも音声アシスタントとの迅速で正確なやり取りを可能にする、組込み型とクラウド型の音声技術の統合
・ドライバーがMBUXのタッチスクリーン・インターフェース上で、手入力でコマンドやメッセージを指示することができる手書き文字認識
・スマートホーム技術とのより深い統合と、新しいスマートカーマニュアル「Explore me」の提供:Cerence Studioの採用による開発。メルセデス・ベンツが開発したスマートホーム機能によって、ドライバーは運転中に自宅の家電製品を音声で操作することが可能。また「Explore me」では、ドライバーは救急箱の場所や、Bluetoothでのスマートフォンのペアリング方法など、車内の機能について質問することが可能
・「Cerence Look」が提供するメルセデス・ベンツの「トラベル・ナレッジ機能」により、外の世界に関するナレッジ(知識)を強化
・スポーツニュースや株価、一般的な知識の質問など、最新のコンテンツを提供する多彩な新クラウド機能
・専用インカムシステムと専用マイクによる、ドライバーと同乗者との車内コミュニケーション機能の強化
・電話の応答やナビゲーション地図の表示などの特定のアクションは「ハイ、メルセデス」というウェイクアップワードを使わなくても実行可能