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セレンス、車載ユーザーエクスペリエンスのデザインやユーザビリティの研究について解説
音声認識だけでなくUXがどうあるべきかを提言
2020年2月17日 12:25
- 2020年2月13日 開催
Cerence Japanは2月13日、同社独自のユーザーエクスペリエンス研究機関「Cerence DRIVE Lab」についての説明会を開催した。同社が得意とする音声認識技術だけでなく、全般的なユーザーエクスペリエンスを検討しており、新しい車内体験のアイデアを創出したり、メーカーに提言したりする活動を行なっているという。
個々の技術を単純につないだだけではユーザーが求めるエクスペリエンスに達しない
今回の説明は、特に新しく発表したものはないが、車載におけるユーザーインターフェースがどうあるべきかの提言活動をしていることを説明。ふだんは表に出ることがない活動を紹介するためのものだ。
Cerence DRIVE Labの説明を行なったのはCerence DRIVE Lab所長であり、Cerence ユーザーエクスペリエンス部門 シニアマネージャーのアダム・エンフィールド氏。Cerence DRIVE Labの“DRIVE”はDesign & Research, Innovation, and In-Vehicle Experienceから取ったもので、エンフィールド氏は同所でユーザーエクスペリエンスに関する研究を主導している。
Cerence DRIVE Labではリサーチ、デザイン、その他と3つの活動領域があり、デザインチームはアメリカ、カナダに計3か所、テスト・評価チームはアメリカ、カナダ、ドイツに計4か所の活動拠点がある。
Cerence DRIVE Labで手掛けているのは現在の車両のインフォテインメントシステムの検証・評価といったほか、将来の技術や製品についても研究している。特に将来の技術に関してはユーザーが求めているものだけにとどまらず、将来、ユーザーが考えもしない新しい体験まで提供するという。
また、音声認識技術を得意とするセレンスがユーザーエクスペリエンスを研究する理由については、「音声認識技術などプロジェクトを単純につなぎ合わせたものでは、エンドユーザーが求めたエクスペリエンスを提供できなかった。そこで、私たちは視点をずっと上にして全般的にどのような設計をすべきかを考え、プロジェクトに関わるようになった」と説明した。
DRIVE Labでデザインやリサーチを実施
続いてエンフィールド氏から担当した製品、リサーチを行なったプロジェクトなどの説明があった。開発済みの製品としては、「e.GO」の小型バスなどから開発ツールまでさまざま。
車載のインターフェースも、従来小型だったものを大型のスクリーンに変更した場合はどうなるのかや、音声だけでなくジェスチャー、目の動き、それをフロントガラスに投影して選択するインターフェースなどを研究している。
また、音声技術では音声認識だけではなく、反対にクルマからユーザーへ言葉で働きかけをしたり、ウェイクワードの発話がなくてもシステムから話しかけて支援したりするものも検討している。
ちなみにシステムから積極的に支援するようになった場合、プライバシーが問題になり、抵抗を示す人もいるという。
マルチモーダルについても推進
一方、音声認識だけでなく、視覚や聴覚といった手段もインターフェースとするマルチモーダルも進めている。
エンフィールド氏は、「いまやセンサーやディスプレイがある。それらを活用して、よりリッチな体験を提供する」とし、その方法としてフロントウィンドウへの投影や、フレキシブルなディスプレイに投影し、必要に応じて表示した情報から選ぶ。直接タッチすることが難しいため、ジェスチャーを活用することを考えているという。
音声についても、指向性のあるスピーカーを使うなどすれば、特定の人だけに情報を伝えることができるとしたほか、音声以外の情報も伝えて、よりリッチな体験ができるとしている。
なお、エンフィールド氏は「ユーザーが将来、どのようなものを求めていくのかリサーチしていきたい」と今後も調査と研究を続けていくほか、ユーザーインターフェースについても新しいものとして、情報をリッチな体験の中で得ていきたいとした。