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トヨタ、AIで“ドリフト”する「スープラ」公開

TRIとスタンフォード大学が共同研究

2021年1月14日(現地時間) 発表

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 トヨタ自動車でAI(人工知能)を研究するTRI(Toyota Research Institute)は1月14日(現地時間)、ドリフト中の後輪駆動車を制御できるアーキテクチャを「GRスープラ」に適応して、AIを活用してプロドライバーが行なう「ドリフト」を再現する様子を公開した。

 この取り組みは、トヨタリサーチインスティテュートとスタンフォード大学のDynamic DesignLabが協力して、プロドライバーの能力と自動運転技術をどのように組み合わせるかについて研究を行なっているもの。

 現実世界では、濡れた路面や滑りやすい路面に直面した場合、プロのドライバーはクルマを「ドリフト」させることで危険を回避する選択をしているが、両者の研究目標は、新しいレベルのアクティブセーフティテクノロジーを設計して、それを広く共有して、トヨタや他の自動車メーカーがそれを道路に展開できるようにすること。

 TRI CEO兼チーフサイエンティストであるギル・プラット氏は「現実世界にはクラッシュを回避するために、ドライバーはしばしば自分の能力を超えた操作を行なう必要があります。このプロジェクトを通じて、TRIは、世界で最も熟練したドライバーの何人かから学び、人間の運転能力を増幅し、人々を安全に保つ高度な制御アルゴリズムを開発します。これがToyotaGuardianアプローチの本質です」とコメントしている。

 TRIでは、スタンフォード大学のDynamic DesignLabの研究を長年にわたってサポートしてきた。現在のプロジェクトは、スタンフォード大学が発表した「Opening New Dimensions:Vehicle Motion Planning and Control using Brakes while Drifting」という論文を利用しており、スタンフォード大学の研究者は、デロリアンを電動化と自動化させた「MARTY」で高度なドリフトを実証。スタンフォード大学の実験結果は、ブレーキ、ステアリング、推進力を使用してドリフト中の後輪駆動車を制御できるアーキテクチャを生み出した。

 現在、TRIではこのアーキテクチャを「GRスープラ」を含む車両プラットフォームに適用している。

 また、TRIではモータースポーツやトヨタのエンジニアリングの専門知識を活用していて、米国のトヨタレーシングデベロップメント(TRD USA)は、モータースポーツとドリフトに関する技術的、経験的ノウハウを提供。これとは別に、TRIは日本を拠点とするトヨタ自動車のビークルダイナミクスコントロールチームとも協力して、将来のトヨタ車にドリフトアーキテクチャを適用していくという。