ニュース

ホンダ、福祉車両でも「N-BOX」が選ばれる理由を解説するオンラインイベント開催

「家族のしあわせ」と真摯に向き合ったクルマづくりを紹介

2021年3月10日 開催

2012年8月の登場以来、車いす移動車の販売台数でNo.1を5回獲得したというN-BOX

 本田技研工業は、3月10日に同社ブランド・コミュニケーション本部 広報部による報道関係者向けオンラインイベント「Honda Online Workshop ~『What’s 福祉車両』」を開催した。

 このオンラインイベントでは、ホンダの福祉車両に対する思いや取り組み、福祉車両のラインアップが紹介された。なかでも興味深かったのは、ケーススタディとして取り上げられた軽自動車の「N-BOX」。福祉車両としても車いす移動車カテゴリーにおいて販売台数No.1となった理由が、開発者目線、販売店目線、ユーザー目線で語られた。

「家族のしあわせ」をグランドコンセプトに掲げ開発

 ご存じのようにN-BOXは国内販売台数4年連続No.1、軽販売台数では6年連続No.1。そのN-BOXは福祉車両の車いす移動車販売台数でも、2012年8月に車いす仕様車を発売して以降の8年間で計5回(2013年、2014年、2015年、2018年、2019年)もNo.1を獲得しているとのこと。

 そこで特筆すべきは、競合他社の車両は法人ユースが多いのに対し、N-BOXは個人ユーザーが多く、一般家庭で選ばれているという点。その理由はN-BOX開発のグランドコンセプトを「家族のしあわせ」としたコトにあるという。

 N-BOXは福祉車両を別枠での扱いにせず、パッケージラインアップの1つとして設定しており、フレキシブルのフロントベンチシート、フリーアクセスの助手席スーパースライド仕様、バリアブルのスロープ仕様といった感じだ。

パッケージラインアップは、フレキシブルのフロントベンチシート、フリーアクセスの助手席スーパースライド仕様、バリアブルのスロープ仕様の3タイプ(スライド右)

開発者が目指したのは「使い心地がよくて居心地がいいクルマ」

 開発責任者の白土清成氏いわく、「車いすで乗るのも快適に、介護する方にも我慢してほしくない。子育て世代に向けたスーパースライド仕様があるように、N-BOXの仕様の1つとしてバリアブルのスロープ仕様を開発しました」。

「さらに、大人4人で乗った時にちゃんと普通の使い方ができないとダメ。しかも、荷物もきちんと積めるようにしました(N-BOXシリーズのなかではスロープ仕様がいちばん大きい荷室を装備)」。

「また、今回のN-BOXはニュートラルデザインにこだわりました。スロープ仕様でもパッと見は、ほかのN-BOXと違いが分からないくらいです。他のN-BOXと同様にホンダセンシングなどのオプションやカラーも豊富に選べるようにしました。自分の移動するクルマを“どうしょうか?”と悩めることが幸せととらえ、それを決めるまでに悩めることが重要だと思います」。

「リアシートの乗り心地にもこだわっています。リアのサスペンションを柔らかくしているので、車いすで乗ったときこそその違いを分かっていただけるのではないでしょうか」。

「使い心地がよくて居心地がいい。車いすの方も介助される方も楽に使えなければならないというふうに考えてつくりました」と、開発時の熱い思いを語っていただいた。

N-BOX TVCM「N-BOXと過ごそう」篇
Honda N-BOX|運転する方も、車いすの方も、笑顔になれる毎日へ

N-BOXスロープ仕様のおすすめポイント

 N-BOXスロープ仕様を、使い心地がよく居心地がいいクルマ足らしめているのは、非常にシンプルな操作で普段使いモードから車いすモードへチェンジできる点。

N-BOXスロープ仕様は、介護はもちろん普段の生活にも使えるように開発

 簡単に説明すると、4人乗車状態から車いすでの乗車状態にするのに必要なのは、以下の3ステップのみ。

1.リアシートを畳む(今回ヘッドレストを収納タイプにしたので外さなくてもシートを倒すことができる)
2.リアの荷室の床を引っ張ると、それがそのままスロープになる(これが最大の特徴)
3.左右に付いている手すりもワンタッチで展開可能

 また、車いすで乗っている方も座席としてとらえているので、身近な位置に収納や手すりがくるようレイアウトされている。

 2019年にN-BOXの個人ユーザーにアンケートを取った結果では、病院などに車いすモードで使用するのは約3割で、約7割は普通のクルマとして使用しているとのこと。そのようなニーズを受けて、4人乗車モードから車いす乗車モードへの切り替えを徹底的に簡素化したとのこと。

 また、個人ユーザーが購入時に重要視した点は以下の3点だったとのこと。

1.普段使いができる
2.先進の安全装備
3.室内空間の広さ

 これはN-BOXが大事にしてきたことで、それをユーザーもしっかり評価して購入しているという結果になった。

販売店スタッフやN-BOXユーザーの声

 そして、販売店スタッフやN-BOXユーザーの声も紹介された。

販売店スタッフの声

「N-BOX車いす仕様車は使い方が簡素化されている点がお客さまに好評をいただいています」
「車いす仕様車は介助する側が楽でないといけないのが大前提だと思うので、その点ではN-BOXはニーズに合っている」
「オススメポイントは操作が簡素化されて誰でも取り扱いしやすい点」
「エンジンがかかっていなくてもウインチ操作ができるので、車いす積み込み時に車内に排ガスが入ることはない」
「実は福祉車両というコトを隠したい方が多い。なので、一般車と見分けがつかないデザインにも喜ばれることが多い」

N-BOXユーザーの声

「メインは通院で使用」
「スロープを出す時に力はいらない」
「仕様変更も簡単にできるので、やってみていいなと思いました」
「風景が助手席よりきれいに見える」
「ホンダセンシングも含めて気持ちにゆとりをもって運転できる」

N-BOXスロープが選ばれる理由

最後にFun for Everyone. Honda~移動の喜びを一人ひとりに~と示されたスライド

 N-BOXスロープが選ばれる理由をまとめた最後のスライドには、4つの理由が示された。

・介護においても、使う人に寄り添ったシンプルな操作であること
・安全に、快適に移動できるクルマ本来の魅力があること
・目の前のお客さまに喜んでもらいたい、という販売スタッフの真摯な思いがあること
・「家族の笑顔が見たい」お客さま自身の望み

 これら4つの理由からも見てとれるように、N-BOXスロープが福祉車両部門でも販売台数1位になったのは、利用者が切望する「家族のしあわせ」と真摯に向き合ったクルマづくりにあるように思う。

【訂正】記事初出時に示した説明会資料について、本田技研工業 広報部より情報内容の更新があり、記事についても内容を更新させていただきました。