ニュース

JVCケンウッド、HUDの二重像を軽減する新技術開発 従来の特殊ガラスを不要に

2021年4月9日 発表

 JVCケンウッドは4月9日、ADAS(先進運転支援システム)として普及の進むHUD(ヘッドアップディスプレイ)において、従来の特殊ガラスを使うことなくフロントガラスの表裏で生じる二重像を軽減する技術を開発したと発表した。

 同社が新たに開発した技術は、ガラス表面反射と裏面反射の光路を最適にする設計を施すことにより、フロントガラスに用いられている平行ガラスの表裏反射光の光軸を一致させる条件と、HUDとして必要な表示画像の位置、距離、画角等の条件をほぼ両立させ、人間の視覚特性上も違和感の少ないHUD表示を実現。また、従来の凹面鏡に新たな光学部品を追加する手法と違い、同技術では従来のHUDと同等の光学部品構成で二重像の軽減を可能にしたという。

HUD(ヘッドアップディスプレイ)のイメージ

 これにより、高価なくさび型特殊ガラスが不要となり、HUDトータルシステムとしてコストダウンを実現することから、普及価格帯車両への適用も想定されるだけでなく、従来のフロントガラスが使用できるため、車両組み立てライン以外での装着も期待されるとしている。

開発したプロトタイプ

くさび型特殊ガラスを使用しないフロントガラスでHUDを実現

 従来のHUDでは、ダッシュボードから画像を投射し、フロントガラスの反射を用いて画像を映し出す方式となり、前方視界を妨げないようガラス面に反射膜などを追加することができないためガラス自身の表面反射を利用することになり、その裏面の反射が二重像の原因となっていた。これを防ぐため、表裏面にわずかな角度をつけたくさび型特殊ガラスを用いる必要があり、車両の組み立てラインでの実装が不可欠なだけでなく、フロントガラスのコストアップの要因となっていた。

二重像のイメージ

 同社では今後も同技術の開発をさらに進めることで、アフターマーケット市場や自動車メーカー、車載機器メーカーに対して同技術の提供を図るだけでなく、エンタテインメントやサイネージでの活用など車載用途以外での展開を目指すとしている。