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JVCケンウッド、夜間の遠方撮影や画像認識が可能な「車載用FIRカメラシステム」新開発 人物や物体などを検出して警告も

自動運転時の車載用センシングカメラなどに展開

2020年12月23日 発表

「車載用FIRカメラシステム」を新開発

 JVCケンウッドは12月23日、光源の有無に左右されることなく夜間の遠方撮影や画像認識が可能となる「車載用FIR(Far Infrared Rays:遠赤外線)カメラシステム」を新開発したと発表した。これにより、夜間など人の目には見えづらいシーンにおいても、視認性が高い映像の記録を実現するだけでなく、人物や物体などを検出して警告することができるため、ドライバーへのより一層の安全・安心の提供が可能になるとのこと。

 今回開発した車載向けFIRカメラシステムは、夜間運転時の警告システムとしての活用や自動運転時の車載用カメラとしての展開を目指しているもの。また、建設現場や工事現場などで使用される業務用車両への搭載や、車載用途に限らず夜間の視認性向上技術の需要が高い監視カメラなど、さまざま分野に対して提案していくという。

 この車載向けFIRカメラシステムでは、遠赤外線センサーメーカーのLynredのマイクロボロメーターセンサー(QVGA 320×240 12μm)を用い、同社協力のもと開発した独自アルゴリズムの画像補正技術を搭載することで、遠赤外線画像の高画質化を実現。カメラ部は、住友電気工業と共同開発した車載用小型レンズユニットの搭載によってレンズ保護窓レスを可能とし、小型化を実現しながらも耐衝撃性や耐候性を確保した。また、カメラユニットを小型化(37×37×39mm)することで、全面投影面積が少なくスペースの限られた車両前面にも搭載が容易となった。信頼性においても、10万kmを超える走行試験を実施し、降雪地や寒冷地などでの信頼性も確保しているとのこと。

 また、車載用FIRカメラシステムとして最も有効な機能という、夜間の人物を認識し警告を行なうシステムを搭載。認識エンジンには独自技術を用いて開発した軽量アルゴリズムを搭載しており、高価な画像認識専用CPUを使うことなく、汎用CPUに認識システムとカメラシステムを同時に実装することが可能となり、ECU(Electronic Control Unit)システムの簡略化と低コストを実現した。また、認識システムとカメラユニットの開発を並行して行なうことで相互に成果を上げ、個々の開発レベルを高めることで100mを超える遠方人物認識が可能になったという。

 そのほか、認識アルゴリズムでは検出用の辞書を切り替えることで動物認識にも対応でき、人物と動物という異なる対象物を1つのアルゴリズムで検出することを実現。この認識システムは、車載分野だけでなくセキュリティ関連やヘルスケア用途などさまざまな分野への転用が可能としている。

車載用FIRカメラシステムの視認効果