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水素エンジン搭載「カローラスポーツ」の排気音を聞く 燃費に課題があり富士を10周で水素充填

2021年4月28日 公開

水素エンジン搭載「カローラスポーツ」

 4月28日に富士スピードウェイで初公開された水素エンジンを搭載した「カローラ スポーツ」。水素エンジンはガソリン車からの変更をなるべく最小とすべく開発され、このカローラスポーツに搭載されたエンジンは、GRヤリスの1.6リッター 3気筒DOHC直噴ターボのG16E-GTS型エンジンをベースとして、直噴インジェクター、そして点火プラグを水素用のものに変更したものとなる。

 この水素エンジンの発表以来話題となっていたのは、本当に走るのか?というものももちろんだが、果たして水素エンジンの音はどのようなものかということ。この水素エンジン車の開発を統括する佐藤恒治GAZOO Racing Company Presidentは発表の際に、「環境自動車でありながら音や振動などクルマ好きが愛してやまないクルマ感が出せる」としており、ガソリン車と比べてどう違うのかも注目を集めていた。また、水素エンジン車特有のにおいというものもあるのかというのも気になるところだろう。

 今回、実際に富士スピードウェイで公開された水素エンジン搭載「カローラ スポーツ」の排気音を聞いてみたが、基本的にはガソリンエンジン車と変わらない。レーシングマシンとしては大型のマフラーを備えるせいか、くぐもった排気音は排気量なりのボリュームがあるもので、佐藤GRプレジデントのいうようにクルマ感のあるものだ。

トヨタ、水素エンジン搭載「カローラスポーツ」排気音

 匂いについては、それほど近くから確認していないが、何も感じることはできなかった。実際、エンジンオイルの燃焼は極めて小さく、匂いが分かるものでないとのことだ。

 また、今回、水素エンジン車で課題となっている燃費についてもトヨタ側から目安が語られた。トヨタスタッフによると、燃料については濃さを調整している段階で、現在の目安では10周以上は走ることができるというもの。10周というと富士スピードウェイの全長が約4.5km程度なので約50km程度は走るということになる。今回、水素エンジン搭載「カローラ スポーツ」が記録した最速ラップが2分4秒301なので、ざっと20分ごとに水素充填のためにピットインすることになる。

 水素充填にはデータを取っているためか10分程度かかっており、単純計算で30分に1回ピットイン作業を見ることができ、48回以上のピットインが予定されていることになる。豊田章男社長は水素エンジン発表時に「ピットスタッフにとっても耐久レース」と語っており、その真意はこのピット作業の多さにあったわけだ。

 ある意味、富士の24時間レースを見る立場からすれば、ピットイン作業が多く、水素エンジン車の充填作業を数多く(夜中まで)楽しめることになる。