ニュース
ダンロップ、SUV向けスタッドレスタイヤ「ウィンターマックス SJ8+」商品説明会 パターンは同じでも中身は別格だった
2021年7月6日 17:21
- 2021年8月1日から順次発売
- オープンプライス
トレッドパターンはそのままコンパウンドで大きく進化
ダンロップ(住友ゴム工業)は7月6日、SUV用スタッドレスタイヤの新製品「WINTER MAXX SJ8+(ウインター マックス エスジェイエイトプラス)」のメディア向け商品説明会をオンラインにて実施した。
まず住友ゴム工業 タイヤ国内リプレイス営業本部 販売企画部 中村氏は「WINTER MAXXシリーズは2012年に発売が始まり、今年でちょうど10年が経ち、ラインアップも乗用車、商用車、タクシー用と拡大してきて、今回のSJ8+で8つめの商品となります」とシリーズの成長と歴史を紹介。
今回発表された「WINTER MAXX SJ8+」は、2013年に発売された「WINTER MAXX SJ8」の後継モデル。新たに16サイズが追加されたことで全54サイズとなり、8月1日から順次発売される。旧モデルのすべてのサイズをカバーしていることもあり「WINTER MAXX SJ8」は在庫がなくなり次第終了。併売はしないという。
ナノ凹凸ゴム採用で、氷上ブレーキ性能は14%アップ、氷上コーナリング性能で11%アップ
続いて技術サービス部の廣江氏より詳細な説明が行なわれた。
新製品WINTER MAXX SJ8+の大きな特徴は、2020年に発売されたダンロップ史上最高の氷上性能を実現したスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 03(ウインター マックス ゼロスリー)」で採用したコンパウンド「ナノ凹凸ゴム」を、SUV用スタッドレスである「WINTER MAXX SJ8」のトレッドパターンと組み合わせ、スタッドレスタイヤの性能で重要となる氷上性能を高めた点。
これまでモデルを進化させた場合、トレッドパターンとコンパウンドの両方で10%程度の性能向上を実現させてきたというが、今回のWINTER MAXX SJ8+は、トレッドパターンはそのまま、コンパウンドのみで10%以上の性能向上を実現していることことから、廣江氏は新たに採用したナノ凹凸ゴムの凄さをアピールした。
そもそも冬の雪道でタイヤがグリップを失って滑り出す原因は、路面とタイヤの間に“水膜”が存在するため。そこでダンロップではこの水膜を「いかに早く」除水して、タイヤを路面に「素早く長く」密着させられるかという「時間軸」に重点を置いて開発。除水を速めることでタイヤが滑る前に路面に瞬間密着させられれば、しっかり止まるし、きっちり曲がれるという。
このタイヤと路面の瞬間密着を可能にしたのがナノ凹凸ゴムで、その名の通り表面にナノレベルの凹凸を作ることで、無数の凹凸が素早く除水を行なうのと同時に、路面への密着速度も向上させている。また、ゴム自体も旧モデルよりも柔らかくなっていることで密着面積を広くしつつ、凹凸の大きさを氷の凹凸に近いサイズにしたことも加わり、より高い密着力を発揮できるようになったという。「一般的なゴムパッキンが潰れて密着するようなイメージに近いです」と廣江氏。
この進化したナノ凹凸ゴムを採用したことで、氷上ブレーキ性能は14%アップ、氷上コーナリング性能で11%アップと、先に述べたようにゴムだけの変更で大きな進化を遂げている。さらに廣江氏は、この氷上テストについて「氷上の中でももっとも滑りやすい状態の氷上でテストしている」と厳しい基準で高い効果を得られていることも付け加えた。
また、WINTER MAXX 03にも採用されている「MAXXグリップトリガー」も、この氷上性能を支える重要な要素といい、ゴムの内部に配合されているため、タイヤが摩耗してすり減っても常にタイヤ表面に凹凸を形成できるという。このMAXXグリップトリガーは、水溶性で表面に出てくると溶けてなくなる性質となっていて、もしこの内部に配合するのがただの空洞ではタイヤ自体の剛性が出せないので、表面に出てきたときに溶けることで凹凸を作るところが重要な技術となっている。これにより使い始めから、使い終わりまで「瞬間密着」を実現したという。
なお、トレッドパターンについては、ユーザーから好評だったこともあり、あえて変更しなかったということだが、今後の開発でナノ凹凸ゴムとの相乗効果でもっと性能が向上するトレッドパターンが見つかれば、当然変更するという。
1シーズン5000km×4シーズンを満たすロングライフ基準をクリア
ダンロップでは、舗装路をメインに走るような都市型SUVユーザーには、断トツの氷上性能が求められることから、ランド比(接地ブロックの面積比率)を上げて左右非対称パターンを採用し、氷上でのブレーキ性能、コーナリング性能を高めたWINTER MAXX 03を、都市部だけでなく冬は雪山によく行くようなクロカンSUVユーザーには、高い氷上性能に加えて、深雪や泥濘路の走破性も有するWINTER MAXX SJ8+をおすすめとし、ニーズで選べるので選択肢も広がったと解説。
今回コンパウンドが柔らかくなったことで氷上性能以外に、静粛性も旧モデルより向上、さらにMAXXグリップトリガーの配合で効き持ち性能も向上しているが、旧モデルより下がったライフ性能については「1シーズン5000km×4シーズンという自社のロングライフ基準はしっかり満たしていて、これまでオーバースペックだったものが最適化された。このように旧モデルの総合性能の高さを活かしつつ、氷上性能を向上させたのがWINTER MAXX SJ8+です」と、廣江氏は商品説明を締めくくった。