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デンソー、2022年3月期第1四半期決算発表 「体質改善の効果が着実に出てきている」と松井氏

2021年7月30日 実施

株式会社デンソー 経営役員 松井靖氏(左)執行役員 篠田吉正氏(右)

順調に回復しているが不透明な部分もまだ残る

 デンソーは7月30日、2022年3月期第1四半期(2021年4月1日~2021年6月30日)の決算発表をオンラインで行なった。

 売上収益は前年同期(7651億円)から77.3%増の1兆3569億円、営業利益は1072億円、当期利益は893億円。また、2022年3月期の業績予想については、売上収益は前年比12.2%(6033億円)増の5兆5400億円、営業利益は同183.7%(2849億円)増の4400億円、当期利益は同168.7%(2109億円)増の3360億円と、4月の決算発表時より若干上方修正された。また、国内車両生産は前年同期(130万台)から45.9%増の189万台。海外日系車両生産は前年同期(190万台)から132.4%増の442万台となった。

 発表会には経営役員の松井靖氏と、執行役員の篠田吉正氏の2名が登壇。松井氏は決算のポイントとして以下の3点を挙げた。

・売上収益は、昨年の新型コロナウイルス感染拡大の影響からの回復にともない、車両販売が回復したことにより前年比で増収。営業利益は、売上収益の回復による操業度益や体質変革による採算改善効果などにより、半導体不足などの影響はあるものの前年比で大幅増益となった。

・年間の業績予想は、新型コロナウイルスの感染再拡大や半導体不足など見通しの難しい事業環境だが、第1四半期3か月の好調な業績を反映し上方修正を実施。売上収益は5兆5400億円(初年公表比+800億円)、営業利益は4400億円(初年公表比+270億円)とした。

・株主へのいっそうの還元と、資本効率の向上のため、1000億円もしくは1200万株の少ない方を上限とした自己株式の取得を取締役会で決議。

 営業利益の増減要因としては、新型コロナウイルスの影響からの回復による操業度益、体質変革活動「リボーン21」による固定費の低減や生産性向上などの改善努力を挙げ、半導体不足など不透明な外部特殊要因による悪化もあったが、大幅な増益となったとした。

所在地別セグメント情報

 地域別では2020年の第1四半期は、北米や欧州はもちろん全地域で新型コロナウイルスの影響で売り上げも収益も大きく減少していたが、今年度は全地域で増収となった。営業利益も操業度益のほか、体質変革活動の効果がグローバルに出てきたこともあり、全地域で増収となった。

 設備投資については「当期実績は884億円で、進捗率も22.4%と順調である」と松井氏は解説。また、電動化や先進安全(ADAS)などの注力分野については引き続き強化していくとした。研究開発費は当期実績1202億円、進捗率24.3%。今後もCASE領域やITインフラの活用、デジタル化、ソフト開発ツールによる効率化を推進してくとし、年間予想金額については据え置きとした。

 また、新型コロナウイルスによる影響が出る前の実績よりも好調な要因について聞かれた松井氏は、「物量がコロナ前よりも1%ほど伸びているのと、会社の体質改善の手応えがかなりあり、その結果が出ている。また、当期の営業利益は1072億円だが、物流費や電子部品の高騰といった外的要因がなければ1300億円くらいだろう」と説明。ほかにもCASEの投入も規律を持って進められているとし、これから高度運転支援の部品の出荷が増えるなど、これまで種を撒いた刈り取りの時期に入ることでさらによくなるとした。

 今後の見通しの不透明な部分については、「半導体の不足からくるひっ迫感はあるが、デンソーとしては、現時点までは半導体不足で製品が作れないという事態には陥ったことがない」と明かしつつ、「やはり市場全体がひっ迫しているため、取り引き先のメーカーが半導体不足に陥ることにより、自社ではコントロールできない事態になるなど、不透明な影響を懸念している。また、マレーシアやインドネシア、タイなどで、突然ロックダウンが発生すると物流が断ち切られてしまうことも不透明な心配材料だ」とした。

 半導体不足の解消については、「ルネサスの工場も100%稼働に戻っていると聞いているが、これまでのマイナスを挽回しようと自動車産業だけでなく、ほかの産業も含めて予想以上に需要が増えているため、逆に生産が追い付かない状況になっている。これは恐らく今年の冬か来年の初頭まで続くのではとみている」と語った。

 業績を上方修正した詳細については「現状は第1半期の好調を受けているもので、第2四半期以降の業績については据え置きしているため、この好調が第二四半期以降も続けば、もっと伸びるとみている。また、第1四半期については、工場の生産性も粛々と上げているが、ソフト設計の生産性向上も効果が出ている。また、リボーン21で掲げているデジタル化も進んでいることなど体質改善による効果が着実に出て業績が伸びていると分析している」とした。