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ボッシュ、セキュリティ保護された車両診断機能へのアクセスを可能にする「セキュア ダイアグノシス アクセス」

2021年9月13日 発売

車両診断機能にアクセスできないと整備もできなくなってしまう

SDAを用いることでセキュリティ保護された車両診断機能へアクセス可能に

 ボッシュは9月13日、サイバーセキュリティ対策やソフトウェアアップデートなどによってアクセス制限がかけられている車両診断機能へのアクセスを可能にする「セキュア ダイアグノシス アクセス(SDA)」を発売した。

 現在CASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)と呼ばれる自動車の技術改革によって車両の電子化が進み、すでに国内で販売されている一部の車両ではサイバーセキュリティ対策が講じられ、車両診断機能へのアクセスが制限されているクルマもある。また、2020年6月に自動車基準調和世界フォーラム(WP29)にて、車両へのサイバー攻撃を防ぐため、「2022年7月以降の新型車にはサイバーセキュリティ対策を講じることが必須」と決まったことで、2022年以降の国内法施行により、車両診断機能へのアクセス制限はさらに加速すると見込まれている。

 自動車整備で必要となる車両診断機能にアクセス制限がかかってしまうと、先進運転支援システム(ADAS)、エーミング作業(補正作業)、オイル交換後などに必要となるサービスインターバルリセットなどもできなくなってしまう。この状況に対してボッシュの車両診断ソフトウェア「ESI(tronic)2.0」の新機能であるSDAは、各自動車メーカーのセキュリティアクセス権を一元管理でき、セキュリティ保護された車両診断機能へのアクセスが可能になるという。これにより、一般整備工場でも将来的に新型車の診断が可能になるとしている。

セキュリティが強化されていくと、受動的な情報は読みだすことが可能だが、能動的な情報には触れられなくなり、整備に支障が出てしまう

メーカーごとのセキュリティアクセス権を一元管理

 車両のサイバーセキュリティ対策は各自動車メーカーにより異なるため、 それぞれの車両のアクセス権を取得するには自動車メーカーごとに登録、契約や支払い条件など個別の対応が必要となる。しかし、ボッシュはこの自動車メーカーごとのセキュリティアクセス権を一元管理し、SDAによって一般整備工場に提供するため、一般整備工場が自動車メーカーごとに契約する必要がなく、効率的に診断作業を進めることができるという。

 また、将来的にはすべての車両がセキュリティアクセス権なしでは包括的な診断作業が不可能になるため、ボッシュは今回のSDAリリースで対応したフォルクスワーゲン、アウディ、セアト、スコダに加え、さらに対応する自動車メーカー、システム、モデルを拡大していくため継続的に自動車メーカーとの対話と開発を行ない、将来的にも継続して使用可能なツールの提供を目指すとしている。

 なお、SDAを利用するにはボッシュの診断機「KTS560」または「KTS590」と専用ソフトである「ESI(tronic)2.0」と、対応する「故障診断(SD)ライセンス」を所有していることに加え、オンラインでデータにアクセスするためのインターネット環境も必要となる。