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ボッシュとフォルクスワーゲン、自動運転向け高精度マップ作成のためのリアルタイムデータ収集で協業

2021年7月15日(現地時間) 発表

さまざまな情報をデータ化してクラウドへ送信している

リアルタイムで更新される最新マップの共有も可能に

 ボッシュとフォルクスワーゲンは7月15日(現地時間)、将来の自動運転社会に必要となる高精度なデジタルマップに加えて、マップ上のどこにいるのかの詳細な把握を可能とする「ロードシグネチャー」の開発に、フォルクスワーゲン「ゴルフ8」を活用していると発表した。

 ロードシグネチャーは、レーダー、カメラ、車両の動きに関するデータをもとに、一般的なナビゲーションマップに車両の位置推定と制御のためのレイヤーを追加するシステム。追加されるレイヤーは、一般的なマップと互換性があり、現在ロードシグネチャーを完成させるためにフォルクスワーゲンの新型ゴルフ8を使い走行データの収集を行なっている。

雨天時でもレーダーが周囲の情報を収集

 ゴルフ8は走行データをボッシュのロードシグネチャーにリアルタイムで送信していて、ロードシグネチャーはクラウドに送られてきた実際の交通データからマルチレイヤー高精度マップを製作。マップを常に最新の状態に維持しているといい、2023年以降にロードシグニチャーを車両に搭載し、初期サービスの提供を予定している。とくに自動運転レベル2(ハンズフリー機能)以上を装備した車両で潜在能力を発揮できるという。

 ボッシュのクロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部長マティアス・ピリン氏は「パートナー企業とともに、着々と未来のモビリティに道を開くことができ、光栄に思います。現在でも未来でも、情報を提供する車両が増えれば増えるほど、自動運転や運転支援向けのデータベースが充実し、ロバストなものとなります」と述べている。

ロードシグネチャーを搭載していれば常に最新の情報を共有できるようになる

 フォルクスワーゲンは、欧州において数多くのゴルフ8によってデータ取得を開始しているが、今後はほかの車両もこれに続く予定という。走行中の車両はサラウンドセンサーを使い「道路標識」「ガードレール」「縁石」「車線マーク」などの各種の目印情報を生成。マップレイヤー作成に必要な情報データのみ、匿名で車両からフォルクスワーゲンのクラウドを経由してボッシュに転送。これをベースとして、ボッシュのクラウドでロードシグネチャーのためのマップレイヤーが作成され、一種の現実環境のデジタルツインが生成される。

 ボッシュのロードシグネチャーでは、高精度で車両位置を推定することが可能で、各車両のサラウンドセンサーから提供される情報と、デジタルツインの情報とを、リアルタイムで比較。この比較により、高精度マップに関連づけながら、誤差数十cmほどの精度で正確に車線内の車両の位置を推定できるという。カメラは、霧、雨、雪などの悪天候時には周囲を認識することが困難になるが、その場合はレーダーを使用することで、こうした条件下でも確実な位置推定が可能としている。