ニュース

SUPER GT第6戦オートポリス、GT500はオートバックスオレンジのNSX-GTが優勝 GT300はハイブリッドプリウスがポールトゥウイン

2021年10月23日~24日 開催

GT500を優勝した8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)

 SUPER GT第6戦オートポリスが10月23日~24日の2日間にわたって開催された。10月24日には決勝レースが行なわれた。GT500を優勝したのは予選4位からスタートした8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)で、セーフティカー導入後のピット競争を制して2位に30秒近い大差をつけた。

 2位はエンジン3基目投入のペナルティ消化から追い上げた38号車 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組、BS)、3位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)。ポイントリーダーの1号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組、BS)は6位に入り、ランク2位との差をさらに広げて次のレースへ向かうことになった。

 GT300は31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴組、BS)がポールトゥウィンで優勝。2位は96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南組、DL)、3位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)。61号車は11点を追加してポイントを50点とし、ランキング2位に大きな差をつけてサクセスウェイトが減少する次のレースへ有利な形で向かうことになる。

【ハイライト】2021 AUTOBACS SUPER GT Round 6 AUTOPOLIS GT 300km RACE

GT500:序盤はダンロップの2台がリード。ポールポジションの16号車 Red Bull NSXはタイヤが外れる不運に見舞われる

GT500クラスのスタートシーン

 スタートでは16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組、DL)がホールショットを奪ったものの、続くコーナーで14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)が16号車を鮮やかにオーバーテイクし、2周目には2位の16号車に1.7秒差をつけ引き離しにかかった。しかし、14号車は今回シーズン2基までのエンジン利用制限を超えて3基目のエンジンを投入したため、5秒のストップ&ゴーペナルティが科されることが決定していた。7周目にそのペナルティストップを消化すると、トップからは33秒の差という大きな差がつくことになった。14号車としてはどこかのタイミングでセーフティカーなどが出て前との差が詰まることを願う形だ。このほかにも、37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ組、BS)、38号車 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組、BS)も同じようにエンジン3基目の投入で5秒のストップ&ゴーペナルティを序盤に消化した。

  10周目にGT300車両が第2ヘアピンでクラッシュした影響でフルコースイエロー(FCY)が提示される。これで全車スローダウンしたが、コース上はクリアーになっていたためセーフティカーは出ず、FCYで処理が進むことになった。その後、セーフティカーが導入され、14号車、37号車、38号車にとってはエンジン交換のペナルティによるダメージが最小になるうれしい展開だ。

レース序盤をリードした16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT
セーフティカーもたびたび出るレースとなった

 16周目にセーフティカーがピットに戻りレース再開。NSX勢は16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、2位 64号車 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹組、DL)、3位 8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)と3台がレースをリードしていった。ここに続いているのは23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)、5位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一組、BS)。

 しかしレース再開2周目となる17周目、2コーナーで信じられない事態が発生した。トップを走っていた16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの右リアタイヤがホイールごと外れ、コース上をコロコロと転がっていたのだ。16号車は当然スローダウン、結局ピットに戻ることはできずそのままリタイアになってしまった。

 その外れたタイヤはコース上を転がり続けたが、幸い他車に当たることはなくマーシャルが回収でき大事には至らなかった。20周目にGT300車両のクラッシュによりセーフティカーが導入され、再びレースは中断となった。

トップを走行中だった16号車は右リアタイヤがホイールごと外れるトラブルに
トップ走行中にトラブルとなり、うなだれる大湯都史樹選手

優勝は今シーズン不運続きだった8号車 ARTA NSX-GT、ポイントリーダーの1号車は6位に入りリードを拡大して次のレースに

8号車と64号車のNSX-GT同士によるトップ争い

 これでセーフティカー先導中に、ピットウィンドウ(レースの1/3)の22周に達したため、39号車、1号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組、BS)、36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組、BS)などがピットに入る。それに対して16号車のリタイアでトップに立っていた64号車 Modulo NSX-GTはステイアウトを選択したが結局30周目に入る。

 64号車がコースに戻ってくると、2位だった8号車がすぐ後ろに。冷えたタイヤの64号車はトップを守ることができず、抜かれてしまう。その後、64号車は39号車と、そして予選13位からスタートした1号車にも抜かれてしまう。

 1号車 STANLEY NSX-GTはセーフティカーが解除された絶妙のタイミングでピットに入ったため、多くのクルマをアンダーカットすることに成功し順位を上げてきたのだ。ただし、100kgのサクセスウェイトを科されている1号車は、50kgを超えるハンデは燃料リストリクターに置き換えられるルールにより、燃料リストリクターを3段階絞られている状況。ストレートでは厳しく、64号車にストレートで軽々と抜き返されてしまった。

 その64号車はタイヤが温まると、1号車、39号車を再び抜き返して、トップを走る8号車に迫る。ここから8号車と64号車のマッチレースになり、先週のスーパーフォーミュラで初優勝を遂げた大津弘樹選手が操る64号車が、先週のスーパーフォーミュラで念願のシリーズチャンピオンを獲得した野尻智紀選手が操る8号車を激しく攻め立てた。しかし、その後タイヤを使い切ってしまったのか、大津選手は急速に遅れ始め、これで8号車の優勝はほぼ決まりという状況になった。

 その後のレースは3位の39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、4位の1号車 STANLEY NSX-GT、5位は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの3台による3位争いに注目があつまった。

 23号車は1号車を抜くと、39号車に迫り激しく攻め立てる。そのうち、2位を走っていた64号車は、タイムが落ちてきて3位争いに吸収され、64号車、39号車、23号車、1号車の4台が2位争いを行なう展開に。64号車はタイヤが厳しくなったのか、全くグリップしていない状態で、結局その39号車、23号車、1号車の3台だけでなく、ペナルティピットストップから追い上げてきた38号車 ZENT CERUMO GR Supraにも追い抜かれ6位にまで順位を下げた(最終的に12位に)。

 レースはそのまま8号車 ARTA NSX-GTが優勝。8号車は今シーズン初めての優勝で、NSX勢としては第2戦の17号車、第4戦の1号車に続いて3勝目となる。2位はエンジン3基目投入により5秒のストップ&ゴーペナルティを跳ね返して追い上げた38号車 ZENT CERUMO GR Supra、3位は残り7周で39号車を目の覚めるオーバーテイクを見せて捉えた23号車 MOTUL AUTECH GT-R 。4位は終盤追い上げた3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正組、MI)。5位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra。6位はセーフティカーが出たタイミングでドンピシャのピットストップを決断し、アンダーカットを実現した1号車 STANLEY NSX-GT。1号車はこれで5ポイントを追加して、ポイントを60点として、レース前よりもポイントをリードした状態で次のレースへ向かうことになる。

レース後半、劇的な追い上げで2位に入った38号車 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組、BS)
GT500クラスの表彰台

SUPER GT第6戦オートポリス GT500クラス決勝(暫定、編集部集計)

順位カーナンバーマシンドライバータイヤサクセスウェイト周回数
18ARTA NSX-GT野尻智紀/福住仁嶺BS3065
238ZENT CERUMO GR Supra立川祐路/石浦宏明BS2265
323MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI5265
43CRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手晃平/千代勝正MI5665
539DENSO KOBELCO SARD GR Supraヘイキ・コバライネン/中山雄一BS4065
61STANLEY NSX-GT山本尚貴/牧野任祐BS10065
712カルソニック IMPUL GT-R平峰一貴/松下信治BS5665
817Astemo NSX-GT塚越広大/ベルトラン・バゲットBS8265
937KeePer TOM'S GR Supra平川亮/サッシャ・フェネストラズBS5665
1036au TOM'S GR Supra関口雄飛/坪井翔BS8065
1114ENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也/山下健太BS7065
1264Modulo NSX-GT伊沢拓也/大津弘樹DL1065
1319WedsSport ADVAN GR Supra国本雄資/宮田莉朋YH4064
1424リアライズコーポレーション ADVAN GT-R高星明誠/佐々木大樹YH3264
R16Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT笹原右京/大湯都史樹DL2417

SUPER GT第6戦オートポリス終了時 GT500ポイントランキング(暫定、編集部集計)

順位カーナンバードライバーRd1Rd2Rd3Rd4Rd5Rd6合計
11山本尚貴3882115560
21牧野任祐882115557
317塚越広大/ベルトラン・バゲット620411344
436関口雄飛/坪井翔156118141
523松田次生/ロニー・クインタレッリ20241137
63平手晃平/千代勝正26155836
714大嶋和也/山下健太201535
88野尻智紀/福住仁嶺43622035
912平峰一貴/松下信治12520432
1037平川亮121114230
1137阪口晴南12111428
1239ヘイキ・コバライネン/中山雄一8516626
1338立川祐路/石浦宏明5331526
1419国本雄資/宮田莉朋51520
1524高星明誠/佐々木大樹11516
1616笹原右京/大湯都史樹282113
1764伊沢拓也/大津弘樹1135
181武藤英紀33
1937サッシャ・フェネストラズ22

GT300はハイブリッドプリウスがポールトゥウイン、ポイントリーダーのBRZは3位表彰台獲得でして次のレースへ

GT300クラスのスタートシーン

 GT300のスタートも予選順位どおりで1コーナーに入っていた。レース序盤で22号車 アールキューズ AMG GT3(和田久/城内政樹組、YH)が大きなクラッシュを起こしてセーフティカーの導入を招いた以外には混乱はなく淡々とレースが進展していった。

 20周目に48号車 植毛ケーズフロンティア GT-R(田中優暉/内田優大組、YH)と35号車 arto RC F GT3(ショーン・ウォーキンショー/ジュリアーノ・アレジ組、YH)が接触し、48号車がクラッシュ。これで2度目のセーフティカーが出されることになった。このため、いくつかのチームは、ドライバー交代はできないものの、タイヤ交換や給油は可能になるという「セーフティカー導入時のピット規定を利用して、給油とタイヤ交換を行ない、ドライバー交代を含むルーティンの」ピットストップでの作業時間を短くしようという作戦に出たチームもあった。

 全車がピットストップを終えると、トップを走っていたのは、ポールからスタートした31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴組、BS)、2位は96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南組、DL)、3位は予選2位でポイントリーダーでもある61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)。4位は52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)、5位はランキング6位の11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組、DL)となった。

61号車と52号車の3位争い

 最終的にレースはポールからスタートした31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが今シーズン初優勝で、現行車両に切り替わってからも初優勝となる。2位は96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南組、DL)。

 レース終盤には61号車と52号車、11号車が3位表彰台を賭けた争いとなり、それぞれ1秒差で緊迫した争いとなった。61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが3位、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが4位、11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組、DL)が5位。6位はピットスタートから追い上げた4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)。

 この結果、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTは3位の11点を追加し50点。ランキング2位、3位、4位、5位がいずれもノーポイントに終わったため、ポイントリードを拡大した状態で次のレースへ向かうこととなる。

GT300を優勝した31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴組、BS)
GT300クラスの表彰台

SUPER GT第6戦オートポリス GT300クラス決勝(暫定、編集部集計)

順位カーナンバーマシンドライバータイヤサクセスウェイト周回数
131TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT嵯峨宏紀/中山友貴BS61
296K-tunes RC F GT3新田守男/阪口晴南DL2461
361SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL10061
452埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰BS6661
511GAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信DL7861
64グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH6061
710GAINER TANAX with IMPUL GT-R星野一樹/石川京侍DL2161
865LEON PYRAMID AMG蒲生尚弥/菅波冬悟BS7561
99PACIFIC NAC CARGUY Ferrari木村武史/ケイ・コッツォリーノYH3661
1025HOPPY Porsche松井孝允/佐藤公哉YH2761
1156リアライズ日産自動車大学校 GT-R藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラYH10061
127Studie PLUS BMW荒聖治/山口智英YH61
1350Arnage AMG GT3加納政樹/柳田真孝YH61
1421Hitotsuyama Audi R8 LMS川端伸太朗/篠原拓朗YH61
1588JLOC ランボルギーニ GT3小暮卓史/元嶋佑弥YH7861
1618UPGARAGE NSX GT3小林崇志/名取鉄平YH960
17244たかのこの湯 GR Supra GT三宅淳詞/堤優威YH10060
182muta Racing Lotus MC加藤寛規/阪口良平BS6960
1960SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT吉本大樹/河野駿佑DL8760
2055ARTA NSX GT3高木真一/佐藤蓮BS9060
215マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号平木湧也/平木玲次YH1860
2234Yogibo NSX GT3道上龍/密山祥吾YH1560
2330TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT永井宏明/織戸学YH2460
246Team LeMans Audi R8 LMS本山哲/片山義章YH60
2587グランシード ランボルギーニ GT3松浦孝亮/坂口夏月YH2460
26360RUNUP RIVAUX GT-R青木孝行/田中篤YH60
R35arto RC F GT3ショーン・ウォーキンショー/ジュリアーノ・アレジYH28
R48植毛ケーズフロンティア GT-R田中優暉/内田優大YH17
R22アールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹YH7

SUPER GT第6戦オートポリス終了時 GT300ポイントランキング(暫定、編集部集計)

PoNoRd1Rd2Rd3Rd4Rd5Rd6合計
161井口卓人/山内英輝162211150
256藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ20431138
3244三宅淳詞/堤優威6208236
411平中克幸/安田裕信9161834
552吉田広樹/川合孝汰11111032
655高木真一/佐藤蓮1141530
760吉本大樹/河野駿佑320629
865蒲生尚弥/菅波冬悟1582328
988小暮卓史/元嶋佑弥2515426
104谷口信輝/片岡龍也3116626
112加藤寛規/阪口良平122023
1296新田守男531523
1331嵯峨宏紀/中山友貴2121
1496阪口晴南1515
159ケイ・コッツォリーノ84214
169横溝直輝8412
1710星野一樹/石川京侍16411
1825松井孝允/佐藤公哉45110
1987松浦孝亮/坂口夏月88
2096平良響538
2130永井宏明/織戸学538
225平木湧也/平木玲次66
2334道上龍/密山祥吾55
2418小林崇志/名取鉄平213
259木村武史22