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マツダ、新型SUV「CX-50」世界初公開イベント詳報 オフロード性能や使い勝手を強調

2021年11月15日(現地時間)発表

マツダ CX-50

 マツダの北米子会社であるマツダノースアメリカンオペレーションズは11月15日(現地時間)、オンラインで記者会見を行ない、同社が開発してきた新型クロスオーバーSUV「CX-50」(シーエックスフィフティ)を正式に発表した。CX-50は自然吸気エンジンの「SKYACTIV-G 2.5」ないしは、ターボエンジンの「SKYACTIV-G 2.5T」をパワートレーンとして搭載し、同社が「魂動(こどう)」と呼ぶデザイン哲学を受け継いだ生命観あふれるダイナミックなエクステリアデザインを採用している。

 また、「オフロードモード」と呼ばれる走行モードを用意しており、同社 CEO ジェフリー・H・ガイトン氏は「CX-50はお客さまがアウトドア体験を思う存分楽しんでいただけるようオフロード性能や使い勝手を高めている」と述べ、北米大陸向けのSUVで重要視されるグラベル(砂利道)などオフロードにおける走行性能を高めた車両に仕上がっていると強調した。

CX-5の成功をベースに、アウトドアのユースケースに拡張したモデルがCX-50

マツダノースアメリカンオペレーションズ CEO ジェフリー・H・ガイトン氏

 マツダノースアメリカンオペレーションズ CEO ジェフリー・H・ガイトン氏は、記者会見で「北米でのマツダは過去最高の記録を残すなど、安定した販売を継続している。例えば、米国ではCX-5とCX-9、そして最近導入したCX-30がそれぞれのセグメントで過去最高のマーケットシェアを記録したし、コロンビアではCX-30が量販車として最も売れた車種となり、シェアが10%に届く勢いになった。今後も北米のお客さまのニーズに応えた製品を投入し、この勢いを持続していきたい」と述べ、マツダが北米で順調にセールスを伸ばし、顧客の車両への評価も高まっていると強調した。

マツダCX-50
CX-50

 その上で、このCX-50を発表した理由として「近年クロスオーバーSUVセグメントの需要が席巻しており、われわれのCX-5の成長も著しい。そこで、このセグメントで増えてきたアウトドア愛好家のお客さまやアクティブなライフスタイルを望むお客さまのニーズにあった製品を投入した。このCX-50では、これまでオンロードで培ってきたマツダの技術をオフロードに昇華させ、オフロード性能や使い勝手を高め、お客さまがアウトドア体験を思う存分楽しんでいただけるようにしている」と述べ、北米市場で成長著しいクロスオーバーSUV市場向けにオフロードでの走行性能を強化したCX-50を投入したと説明した。

ガイトン氏とCX-50

自然に溶け込むようなデザインを意識して作った

マツダノースアメリカンオペレーションズ チーフ・デザイン・ディレクター 土田康剛氏

 また、マツダノースアメリカンオペレーションズ シニアデザインディレクターの土田康剛氏は「CX-50のデザインコンセプトは週末に都会から抜け出して、ドライバーにとってのフロンティア(開拓地)となるアウトドアを見つけるためのデザインというものだ。このため、デザインはアウトドアに溶け込んだモノになるように意識した。このデザインはリフレクションによって実現される“魂動デザイン”を採用している」と述べ、マツダが近年採用している表面のリフレクションを活用した魂動デザインを応用して、自然に溶け込むようなデザインを意識して作ったと説明した。

CX-50で自然に溶け込むようなデザインを意識したという

 また、インテリアに関しては「人馬一体」のデザイン哲学が応用されていると説明し、スイッチ類などを対照的に配置することで、ドライバーと車両の一体感を演出していると述べた。また、天井には「パノラマムーンルーフ」と呼ばれるサンルーフが用意されており、屋外の空気を取り込んで周囲の自然と一体感を出すことができることを説明した。

インテリアデザイン
パノラマムーンルーフ

 一方、マツダノースアメリカンオペレーションズ ビークル・ダイナミクス・エンジニアのデーブ・コールマン氏はCX-50のオフロード性能に関しての説明を行ない、「オンロード、オフロード両方に対応するクルマを開発するに当たっては、それぞれの妥協点をどこに持ってくるかが最大の課題になる。しかし、マツダとしてはオフロードがあるからといってオンロードの走りを妥協したくなかったし、オンロードでの性能を重視するためにオフロードの性能を妥協したくなかった。そこで、それぞれを妥協しないで最高の走りを提供するためにMAZDA INTELLIGENT DRIVE SELECT(略称:Mi-DRIVE[ミードライブ]という仕組みを導入した」と述べ、CX-50の発表に先立って公開された商品改良版の「CX-5」でも搭載された任意に走行モードが切り替えられる機能を追加することで、オンロード、オフロードそれぞれの状況で最上の走りを提供できるようにしたと述べた。

マツダノースアメリカンオペレーションズ ビークル・ダイナミクス・エンジニア デーブ・コールマン氏
アウトドアでのCX-50

 コールマン氏によれば、Mi-DRIVEでは「ノーマルモード」「スポーツモード」「トーイングモード」「オフロードモード」があり、シフトレバーの近くに用意されるスイッチを利用して切り替えることが可能になっている。スポーツモードは一般的な車両に採用されているスポーツモードに似たモードで、スロットルのレスポンスをよりリニアにして、よりダイレクトな感覚で車両を操ることが可能になる。トーイングモードはけん引車などを接続してドライブする時のモードで、ギヤシフトなどのタイミングを重量増に合わせた形で行なうなどが可能になるという。

Mi-DRIVEのスイッチ
メーターにどのモードか表示される
トーイングモード
オフロードモード

 そしてオフロードモードがCX-50の特長の1つに挙げられており、コールマン氏は「グラベルなどを走るときには路面が緩んでおり、タイヤのグリップが十分ではないといった理由でターンインがうまくいかない場合、オフロードモードを有効にするとターンイン時の荷重制御をクルマが自動で行ない、テールが滑らないように調整される」と述べ、Mi-DRIVEのオフロードモードでは、i-ACTIV AWDの機能なども活用しながらオフロードでもしっかり走らせることができると説明した。

オフロードモードでの走行

 また、坂道でエンジンの回転を調整しながらトルクをかける機能なども用意されており、坂道でクルマが下がってしまうことを防止してスムーズに発進できるようにしたり、くぼ地などで片側のタイヤが空転してしまっているときなど、その空転しているタイヤの対角線上にあるタイヤに自動的にブレーキを掛け、空転が連鎖して抜け出せなくなることを防いだりするとコールマン氏は説明した。

アラバマ州のMazda Toyota Manufacturing, U.S.Aで最初に生産されるマツダ車に

Mazda Toyota Manufacturing, U.S.A

 ガイトン氏は「このCX-50はアラバマ州ハンツビルにあるトヨタ自動車との合弁会社“Mazda Toyota Manufacturing, U.S.A.”で最初に生産されるマツダ車だ。この最先端の工場はマツダとトヨタの最新鋭の技術が採用されており、生産能力は年産30万台で、両社で均等に分けられる」と述べ、同時にこの工場では4000人の直接雇用と、サプライヤーの雇用で数千人の雇用を生み出していると強調した。

Mazda Toyota Manufacturing, U.S.Aでの生産の様子

 ガイトン氏によれば、CX-50では2.5リッターの「SKYACTIV-G 2.5T」「SKYACTIV-G 2.5」の2種類のガソリンエンジンが用意されており、将来的には電動化モデルも用意される計画で、ストロングハイブリッドを追加する計画だという。生産開始は2022年1月が予定されており、価格などの詳細は今後数か月の間に発表される計画だと説明された。

【お詫びと訂正】記事初出時のキャプションに一部誤りがありました、お詫びして訂正させていただきます。