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“ランドローバーファン”なら誰でも参加できる「DEFENDER DAY 2021」でランドローバー「ディフェンダー」の実力を体感

「ディフェンダー」以外にもランドローバー車が集結!

 目的地である白馬のゲレンデに近づくにつれて、欧州車とすれ違う回数が増えだした。もちろん一番多いのはランドローバー・ディフェンダーだが、あとはレンジローバーやヴェラール、イヴォークといったランドローバー車、そして同じグループであるジャガーもいる。

 そう、今回の目的地は、ランドローバージャパンが開催する「DEFENDER DAY」の会場なのである。とはいえこのディフェンダー・デイは、ゴリゴリのハードなオフロード走行会ではない。後述する4つのアトラクションをランドローバー・ジャパンが提供するディフェンダーで走り(もしくは同乗し)、その性能を楽しみながら確認する体験型イベントである。

エイブル白馬五竜いいもりゲレンデで開催された「DIFFENDER DAY」に参加! 2021年のディフェンダー・デイは10月16日~17日の2日間にわたって開催された

 ちなみにその参加費は3000円(お土産付き!)で、18歳以下は無料。参加条件は「ランドローバーが好きな方」というのがなんとも粋である。

 受付を済ませると、各アトラクションにはすでに行列ができていた。しかし晴天となった前日はさらに人出が多く、実に500人を超える数だったという(のべ800人が来場)。

ランドローバー「ディフェンダー」。写真はショートホイールベースの「ディフェンダー 90」。価格は551万円~797万円。300PS/400Nmを発生する直列4気筒2.0リッターINGENIUMガソリンエンジンモデルを設定する。従来のラダーフレーム構造から変えて、軽量アルミニウムのモノコック構造を採用しつつ、初代ディフェンダーのアイコニックなシルエットを継承。フルタイム4輪駆動により安定した走りを提供するとともに、路面状況に応じて最適なサスペンション、トランスミッション、トラクションなどの車両設定を自動制御するテレイン・レスポンス2を採用している。また、先進運転支援システム(ADAS)の採用や、インフォテインメントシステム「Pivi Pro」など最新装備も充実している
3列シートも選択できる5ドアタイプの「ディフェンダー 110」もラインアップ。価格は619万円~1171万円。ランドローバー 110には2.0リッターガソリンエンジンに加え、300PS/650Nmを発生する直列6気筒3.0リッターINGENIUMディーゼルエンジン+MHEVも設定

4種類のアトラクションでディフェンダーの性能を体感

 まず一番最初に体験したのは「ツインテラポッド」だ。メニューはこのほかに「ミニテラポッド・バンク」「オフロードタクシー」、そして自分のランドローバー車で体験する「ゲレンデドライブ」が用意されている。

 高さ5m、最大で43度もの上り坂と下り坂の走破体験ができるツインテラポッドは、細いパレットの上を正確に走らせる必要があるため、これに熟練したインストラクターがドライブ。このアトラクションは4WD車の性能を表現する上で最も分かりやすいアトラクションだけに何度か体験しているのだが、筆者は高いところが大の苦手なので、今回も新鮮な気持ちで臨むことができた。

高さ5m、最大傾斜43度の専用スロープをインストラクターの運転で体験する「ツインテラポッド」

 LOWギヤを選んだディフェンダーの足取りはゆっくりと力強く、小さなアクセル開度でも着実に急な坂道を上って行く。

 その頂上ではパレットがシーソーのように傾きを変え、今度は下り坂に。ここでヒルディセント・コントロール(HDC)をアクティブにすると、ディフェンダーはゆっくりと坂道を下り始めた。アクセルはもちろん、ブレーキすら踏む必要なく、一定の速度をきちんと維持するHDCの制御は象のように頼もしく、ハンドル操作に集中できるのが利点だ。普段は絶対に体験することのないシチュエーションではあるのだが、だからこそこうした装備が自分の愛車に備わっていることを確認できるのは、オーナーにとっても嬉しいことだろう。

 次に体験したのは「ミニテラポッド・バンク」。これも筆者は運転経験があったので、今回は編集部K女史にステアリングを預けてみた。未経験のドライバーが運転して、どれだけストレスフルにモーグルをクリアできるのか、確認してみたかったからだ。

 果たしてその結果は、ディフェンダーの走破性の高さと、運転の大切さの両方を味わえる貴重な体験となった。

最大38度の「バンク」(写真奥)とモーグル路「ミニテラポッド」(写真手前)を組み合わせた特設コース

 前半のバンクに乗り上げる際、いきなりK女史の絶叫が車内にこだました。45度はあろうかという傾斜に乗ること自体が彼女にとっては恐怖の体験であり、上ってはみたものの怖くてまずアクセルが踏めない。さらにバンクしたまま走らせることができず、どうしてもハンドルを戻してこれを降りようとしてしまうのである。

「ハンドルは、まだまっすぐ!」とインストラクター氏。筆者も「(却って不安定になるから)戻しちゃだめ!」と、思わず後部座席から叫ぶ。

 この走り出しに「やめときゃよかったかな……」と思わず後悔した筆者だったが、そんな状況でもディフェンダーのロバスト性というか、いい意味でのクロカン4WDとしての鈍感さが役に立ち、ちょっとやそっとの操舵ミスでは進路を乱すこともないし、クルマが急に進み出すようなそぶりもなかった。これこそがスローなギヤ比と穏やかな特性を持つステアリングと、絞り出すようにトルクを制御するアクセラレーションの効果である。ランドローバー、さすがだぜ!

 モーグルでは白線に沿って走るだけの操作もままならず、対角線の2輪が浮いて車体が着地するたびに黄色い声が響く。それでもインストラクター氏の言う通りに操作することで空転したタイヤにはブレーキが掛かり、残った2輪にトラクションが伝わって、遂にはこれをクリアすることができた。

 なんともスリリングで、楽しい試乗であった。

「オフロードタクシー」は、今回のなかでは最もホットなメニューだ。

 なぜならそのドライバーを務めるのは、モータージャーナリストでありラリーストである“マッドドッグ三好”こと三好秀昌さん。その腕前は、筆者がよく知っている。

プロドライバーによる全力走行を体感できる「オフロードタクシー」

 タクシーに用いられたディフェンダーは300PS/400Nmの直列4気筒ターボで、そのぬかるんだダートエリアではややパワー不足な印象であり、トラクションコントロールも最終的には介入してきてしまう状況だった。欲を言えば同じ300PSでも550Nmの直列6気筒ディーゼルターボで走らせてほしい所だったが、それでもそこはプロのラリースト。ターンでのイナーシャ(慣性)を巧みに使いながら、その巨体をまるでコンパクトカーのようにターン&ドリフトさせてくれた。

 そもそもこうした走りはディフェンダーの守備範囲外だと思うのだが、ともあれオーナーであれば自分のディフェンダーが、ここまでアグレッシブに走る姿に驚いたことだろう。

 最後のアトラクションとなる「ゲレンデドライブ」は、ランドローバー車のオーナーが愛車で参加できるイベント。インストラクターの先導で雪のないゲレンデを登り、2つのポイントに立ち寄りながら、記念撮影ができる内容となっている。

自分の運転する愛車でゲレンデコースを走れる「ゲレンデドライブ」

 コース自体は安全性を最優先としたイージーな設定だが、自分の愛車で走るとなればそれも話は別だろう。虎の子のディフェンダーでこぶを乗り越え、砂利や泥をかきわけ、スキーができるほどの傾斜を走れば、オトーサンはきっとドキドキだ。そして子供たちも、大満足に違いない。そんな様子や雰囲気が、撮影ポイントで出会ったファミリーたちの笑顔から読み取れた。

ゲレンデの真ん中に停車して記念撮影なんて、普段はなかなか体験できない
3Dサラウンドカメラの機能として、ボンネットを“シースルー”したような映像で路面を確認できる「ClearSightグラウンドビュー」も、走り慣れない場所ではとても効果的

 会場にはディフェンダーのオプションパーツやアクセサリー、アウトドア用品が展示されていたり、タイヤメーカーのブースが出展されていた。また、ディフェンダーと共にキャンピングトレーラーが展示されるなど、アウトドアファンには楽しい内容となっていた。

今後も“性能を気軽に楽しめる場所”を積極的に提供

 今回のイベントは、ランドローバ70周年を記念したときに主催したイベントを、ディフェンダーでリメイクしたもの。というのもまだまだ新型コロナウイルスの影響もあり、納車待ちとなっているオーナーが多いからだという。

 ランドローバージャパンとしても今回は久々のイベントであり、どのくらいの人々が訪れるかは未知数だったが、ふたを開ければ大盛況で、オーナー同士が自然と語らい、ちょっとしたオフ会状態になっていたようだ。これもディフェンダーというクルマが持つ、頼もしくも柔和なキャラクターのなせる技なのだろう。

 ランドローバー・ジャパンとしても自社のクルマたちが、どれほど高い性能を持っているのかを伝えていくことは大切であると捉えており、「こうしたイベントを今後も行ないたい」とのことだった。スポーツカーと同じで高性能オフローダーも、そのポテンシャルを発揮できる場所はとても少ない。それだけにメーカーがこうした「楽しめる場所」をオーナーに提供していくことが、次世代のビジネスチャンスになってくるだろう。もはやクルマを買うだけの時代はとうに終わっていて、クルマを使って広がる世界を、ユーザーは求めているのである。