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ENEOS、国内初のAI技術を活用した石油化学プラントの自動運転に成功 人材不足の対策にも期待
2021年12月3日 10:38
- 2021年12月2日 発表
熟練運転員の操作を自動化させるAIシステムを開発
ENEOSとPFN(Preferred Networks)は12月2日、大規模かつ複雑で長年の経験に基づいた運転ノウハウが求められる「石油精製・石油化学プラント」を自動運転するAI(人工知能)システムを共同で開発し、ENEOS川崎製油所石油化学プラント内のブタジエン抽出装置にて2日間に渡る自動運転に成功したと発表した。
今回の開発は、人の技量に左右されないプラント安定運転の確立による保安力の向上に貢献するもので、AI技術を用いた実際のプラントでの自動運転は国内初の取り組みとなる。
従来のプラント運転は、運転員が24時間体制で運転監視および操作判断を行なっていたが、昨今運転ノウハウを有する熟練運転員の高齢化に伴い、今後人材不足が懸念されていたという。その対応策として、全国で製油所を運営するENEOSと先進的なAI技術を有するPFNは、2019年に戦略的協業体制を構築し、共同で高度なプラント運転を自動化するAIシステムの開発に着手。
プラント自動運転AIシステムは、過去の運転データやシミュレーターデータから複数のセンサー値とバルブ操作間の複雑な相関関係を学習することで、長年の経験に基づいた運転ノウハウであるセンサー値の予測とバルブ操作判断の自動化を可能にしたという。
今回のブタジエン抽出装置では、AIシステムによってプラント内の温度、圧力、流量および製品性状など、25個の運転重要因子の常時監視と12個のバルブ同時操作を行ない、原料処理量の変更などに伴う装置変動を安定化させ、2日間に渡る連続自動運転を成功させたとしている。
なお、当該システムの開発においては、経済産業省が実施する令和2年度補正予算「産業保安高度化推進事業費補助金」などを活用しているという。
また、本開発では実運用に向けて今後ともブタジエン抽出装置での試験運転を重ね、人の技量に左右されないプラント安定運転を確立したうえで、常圧蒸留装置などの主要プラントおよび他製油所への展開を図りるとしていて、生産効率化・省エネ運転に貢献する新たなプラント自動運転AIモデルの導入を目指すとしている。
両社は本取り組みを通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」のゴールである「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことをはじめとした目標達成を目指すという。