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日野、小型BEVトラック「デュトロ Z EV」を用いた電動車最適稼働マネジメントの実証実験をアスクルやCUBE-LINXと開始

2022年1月19日 発表

日野の小型BEVトラック「デュトロ Z EV」を用いて電動車の最適稼働マネジメントの実証実験が行なわれる

配送業のラストワンマイルのCO2排出量ゼロを目指した取り組み

 日野自動車とアスクル、CUBE-LINXは1月19日、日野が開発した小型BEV(Battery Electric Vehicle)トラック「デュトロ Z EV」を用いて、電動車の最適稼働マネジメントの実証実験を行なうと発表。実証実験は1月19日~5月31日の期間で、車両の使い勝手の検証に加え、配送現場での効率的な車両の運行管理、および最適な充電管理とエネルギー利用量最適化の効果の確認が行なわれる。

 社会全体でのカーボンニュートラルの実現が求められている中、電動車の導入が進んでいる一方、その導入にあたっては、一般的に車両の契約に加えて充電設備の設置や電力使用契約など、多くの手続きが必要であり、さらに日々の運用においては、効率的な充電・車両運行のために緻密な運行計画や充電管理が重要となるなど、電動車ならではの課題も顕在化してきているという。

電動車最適稼働マネジメント 概要紹介(34秒)

 アスクルは2016年に「最も効率的で環境に配慮した流通プラットフォーム(エコプラットフォーム)」を構築すべく、事業の全領域においてCO2排出量をゼロにする「2030年CO2ゼロチャレンジ」を宣言し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速。2017年には国際的イニシアチブである「RE100」「EV100」に同時加盟している。中でも「EV100」はユーザーに荷物を届けるラストワンマイルにおいて、自社グループで使用する配送車両を2030年までにすべてBEV車両にすることを目標に掲げ、CO2削減を推進。現在は計21台のEVを配送車両として導入し、ECに欠かせない配送業務においてBEV車両の導入を順次進めると同時に、今後のBEV車両の増加に伴う電力マネジメントの課題にも取り組んでいるという。

 日野は2017年に発表した「日野環境チャレンジ2050」で、環境負荷ゼロへのチャレンジを掲げ、2021年4月には中間目標となる「日野環境マイルストーン2030」を設定。車両のライフサイクルにおけるCO2削減によるカーボンニュートラル実現への取り組みを加速。ライフサイクルにおける「使う」プロセスでのCO2削減においては、お客さまのお役に立つ持続可能な方策を追求することが重要ととらえ、日野が開発したラストワンマイルの使い勝手を追求したデュトロ Z EVや、CUBE-LINXによる電動車の最適稼働マネジメントサービスの提供など、「電動車開発・普及促進・輸送効率化」に取り組んでいる。

 また、CUBE-LINXは、最適稼働マネジメントサービスのほか、電動車および付帯設備についての導入コンサルティングサービス、車両や充電設備といったハードおよびITシステムの一括提供サービスなど、電動車の導入・運用における課題に対するトータルソリューションを提供している。

 今回、アスクル、CUBE-LINX、日野の3社は、アスクルの配送業務において、デュトロ Z EVと、電動車の最適稼働マネジメントの実証実験を実施し、車両の使い勝手の検証に加え、配送現場での効率的な車両の運行管理、および最適な充電管理とエネルギー利用量最適化の効果の確認を行ない、この実証で得られた知見を今後の電動車の開発・改良、導入・運用時の課題解決に活かし、電動車の普及促進に貢献したいとしている。

実証実験の内容

実証期間:2022年1月19日~5月31日
場所:アスクル 新木場物流センター
車両:日野 デュトロ Z EV 2台
充電器:普通充電器(6kW)、急速充電(50kW) 各2台

電動車最適稼働マネジメントサービスの特徴

 日野とCUBE-LINXは、ユーザーの事業形態や車両の使い方に合わせた拠点ごとの稼働とエネルギー利用の最適ソリューションをパッケージ化し、月額定額制サービスとしてワンストップで提供を行なうとしている。本サービスでは、運行計画系システムおよび関電と共同開発を進めているエネルギーマネジメントシステムを融合し、最適な充電・配車計画および電池残量を考慮した走行ルートの生成が可能になるという。また、今後は事業所および車両の電力消費量の最適化をトータルでのマネジメントを目指すとしている。

日野 デュトロ Z EVの特徴

 走行時に温室効果ガスを排出せず、環境に配慮した車両。環境だけでなく、都市部や住宅街での配送業務の作業効率も考慮した構造。小型トラック(車両総重量3.5t未満)でコンパクトサイズなため、普通免許で運転が可能。運転席の乗降がスムーズな低いヒップポイントや、運転席から荷室への移動がしやすく、作業性を向上させるウォークスルー構造、荷室への乗降がしやすく、ドライバーの負担を軽減する超低床構造を採用しているほか、周辺環境にも配慮した高い静粛性、市街地走行に必要な先進安全技術(後退時の誤発進抑制装置はクラス初)を装備するなど安全性も高めている。

車両スペック
ボディサイズ約4.7×1.7×2.3m(全長×全幅×全高)
床面地上高約40cm
車両総重量3.5t未満
乗員2人
モーター永久磁石式同期モーター
最高出力50kW
バッテリリチウムイオンバッテリ(40kWh)
充電方法普通充電、急速充電(CHAdeMO方式)
主な安全装備PCS(プリクラッシュセーフティシステム)、誤発進抑制装置(前進&後退)、電動パーキングブレーキ、電子インナーミラー、車線逸脱警報

各社のコメント

アスクル コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション サステナビリティ(環境)部長 東俊一郎氏

 ラストワンマイルの配送拠点である新木場物流センターは、2020年8月に電力を再生可能エネルギーに切り替えました。これにより充電から走行時までのCO2排出量ゼロを実現しています。本実証実験を行なうことで、BEV車や電力マネジメントに関する経験を積み、脱炭素社会の実現に貢献したいと考えています。

CUBE-LINX 代表取締役社長 桐明幹氏

 CUBE-LINXは、電動商用車の導入・運用の課題解決として、「車両や必要な設備・システムの導入コンサルティングと一括提供」「稼働・エネルギー利用の最適マネジメント」などのサービスを提供していきます。本実証により、BEVを効率的に稼働させるための「配車や走行ルートと充電計画を融合した電動車最適稼働マネジメント」の有効性を確認させていただきます。ここで得られた経験・知見により、関西電力株式会社との合弁である弊社のシナジーもフル活用し、お客さまの電動車導入や利用をより便利に、また、業界の電動商用車の普及促進に貢献していければと思います

日野自動車 戦略・企画領域 領域長 佐藤直樹氏

 本実証は、日野が掲げる環境負荷ゼロチャレンジの達成において、非常に重要な取り組みの1つです。日野は車両とその運用を含むトータルパッケージでご提供することで、お客さまの電動車導入・運用の課題を解決し、普及促進させていくことで、カーボンニュートラルの実現を目指していきます。また、今回の実証でお使いいただく「デュトロ Z EV」をアスクルさまの配送現場でお使いいただくことで、さらなる改善を加え、よりよいクルマへと進化させていきたいと考えています。