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アルプスアルパイン、静電容量検出・再帰性反射・加飾印刷技術を融合させた世界初の非接触型HMI「ステルス空中インターフェース」を宇都宮大学と共同開発

2022年1月18日 発表

ステルス空中インターフェースの操作イメージ

公共や店舗での非接触操作ニーズの高まりを受け開発を加速

 アルプスアルパインと宇都宮大学は1月18日、世界初の技術を採用した次世代HMI(Human Machine Interface)製品「ステルス空中インターフェース」を共同で開発したと発表した。

 両者が共同開発したステルス空中インターフェースは、再帰性反射技術による映像の空中表示と高感度静電容量検出技術による空中入力操作を同時に実現しつつ、加飾印刷技術を応用したデザイン性に優れるステルスアイコン機能を搭載。この3つの技術を融合させた空中HMIはこの共同開発品が世界で初めといい、カメラや赤外線を利用した非接触技術と比較して、特に近距離操作時の入力精度の高さやデザイン性の高さが強みになるという。また、筐体の外部にセンサやプロジェクターを設置する必要がなく、セットの設計自由度も高く、幅広い用途での利用が期待できるとしている。

ステルス空中インターフェース開発までの経緯

 アルプスアルパインは、2008年から独自の高感度静電容量検出技術による空中入力デバイスの開発に取り組んでいて、昨今の非接触操作ニーズの高まりを受けて「AirInput(エアインプット)」の商標を取得するとともに製品開発を加速。すでに2021年5月にエレベータや館内照明スイッチへ試験導入している。また、光通信レンズ開発などで培ってきたコア技術領域の1つである光学分野にて、2019年から再帰性反射技術を用いた映像の空中表示に関する要素技術開発にも取り組んできたという。

 そして宇都宮大は、この分野の先駆者として多数の論文受賞歴のある山本裕紹教授が、2014年より再帰性反射技術を応用した映像の空中表示をはじめとした、3Dディスプレイやマルチモーダル感性情報工学に関する研究に取り組んでいて、両者の技術を融合させることでより直感的で快適な非接触操作を実現し、非接触操作デバイスの社会普及を加速できると考え、共同開発に着手する運びとなったとしている。

2021年5月に試験導入された館内照明スイッチ

 共同開発したステルス空中インターフェースは、高感度静電容量検出技術による空中入力デバイスに再帰性反射技術を応用した映像の空中表示機能を融合させることで、空中に浮かんだ映像に触れる要領で、スイッチやタッチパネルなどの既存の接触操作デバイスを操作するかのように、ユーザーにストレスを感じさせない直感的かつ快適な非接触操作を実現。

 また、加飾印刷技術も応用し、木材や金属などを模した一見ではディスプレイであると判別のつかない意匠性に優れたデザインの筐体上に、静電容量の変化に応じて手が近づいた時だけ映像を空中表示するステルスアイコン機能の付与を可能とし、セット製品のデザイン性を高めているという。

 今後は市場調査を実施してニーズや課題の深堀りを進めるとともに製品の完成度を高め、2025年を目途にエレベータや券売機など公共空間における表示/操作部への採用を目指すとしている。また、アミューズメント機器や車載機器などへの応用も検討しつつ、さらに将来的には、XR(Extended Reality)を活用したサービスを見据えて、ゴーグルなどのウェアラブルデバイスを不要とする人体への負荷が少ない視覚情報提示デバイスとしての事業展開も視野に開発を進める予定という。

共同開発の役割

宇都宮大
・映像の空中表示の制御に関する理論の構築
・学会発表などを通じた技術の信頼性獲得

アルプスアルパイン
・空中インターフェースに最適なハードウェア設計・制御技術の開発
・ユーザーや利用環境に応じた最適なUIおよびシステム制御技術の開発
・商品化および販売