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パナソニック、2021年度第3四半期連結業績 営業利益はオートモーティブ部門が19億円、エナジー部門が163億円の黒字
2022年2月3日 14:17
- 2022年2月2日 発表
パナソニックは2月2日、2021年度第3四半期(2021年4~12月)連結業績を発表した。
テスラ向けの車載電池などを担当するエナジー部門の売上高は前年同期比27%増の5680億円、営業利益が157%増の519億円となった。第3四半期(2021年10~12月)は売上高が前年同期比17%増の1943億円、調整後営業利益は19億円増の182億円、営業利益は43億円増の163億円となった。
パナソニック 取締役専務執行役員兼グループCFOの梅田博和氏は、「欧州乾電池事業の譲渡のマイナス影響があったが、EV向け車載電池やデータセンター向け蓄電システムを中心に増収となった」と語った。
また、テスラ向け円筒形車載電池「4680」の開発状況についても言及。「4680については、すでに性能を満たした試作品は完成しており、開発のマイルストーンは予定通りに進捗している。今後、量産に向けた試作ラインを新設して検証に入ることになる。現在、和歌山工場の建物の改修をはじめており、この工場に4680の試作ラインを設置することになる。いつから試作ラインを立ち上げ、いつから量産し、いつごろに納入するかという点については現時点では言及できないが、試作ラインでの検証開始時期は2022年度の早いタイミングを目指したい」と述べた。
テスラ向けに主力となっている「2170」や、ノートPCなどにも利用されている「1870」については、「かなり安定をしており、2022年度以降もボリュームを拡大しながら、投資回収のフェーズに入っていく。一方で4680は投資のフェーズに入っていくため、車載電池事業は回収と投資が組み合わせることになる。エナジー事業全体のうち、売上げの約6割、利益の4割強が車載向けであり、逆に売上げの4割、利益の6割弱が産業用途となっている。どちらも利益率は5%を超える水準であり、収益性を確保できている」としたほか、「新興のEVメーカーからの引き合いもあり、車載電池の外販も進めていくことになる」などと述べた。
その一方で、「車載電池についてはテスラから強い要望があるものの、日本から輸出している車載電池が港湾問題の影響により海上在庫となって、米国に上陸できない問題が発生している」との課題も指摘した。また、ギガファクトリーではフル生産で稼働しているものの、コロナの影響で稼働には波があることを指摘。「今後、38GWの生産能力での稼働に向けて力を入れていくことになる」と述べた。
また、エナジーの2021年度の業績見通しを修正。売上高は10月公表値から200億円増とし、前年比28%増の7680億円としたが、調整後営業利益の650億円(前年比272億円増)と、営業利益の610億円(同275億円増)は据え置いた。
これについては「売上高は円安の効果により上方修正したが、調整後営業利益は足下の原材料および物流費高騰の影響を織り込み、前回公表値どおりにした」という。リチウムやコバルト、電解液などが高騰しているというが、エナジー部門への半導体や部材不足の影響は軽微とした。
一方、2021年10月の組織再編で、車載電池がエナジーに移行し、車載コックピットシステムや車載エレクトロニクなどの車載機器を担当することになったオートモーティブ部門は、第3四半期累計の売上高が前年同期比7%増の7749億円、営業利益は207億円改善したものの27億円の赤字となった。また、第3四半期の売上高は前年同期比9%減の2752億円、調整後営業利益は72億円増の15億円、営業利益は96億円増の19億円となった。
「第3四半期は、第2四半期に比べて売上げが増加したものの、前年同期の自動車生産回復の反動があったことに加えて、半導体や部材逼迫などによる自動車減産の影響が継続して、減収になった」という。
オートモーティブの2021年度通期見通しは、売上高は10月公表値から70億円減の前年比7%増となる1兆800億円、調整後営業利益は70億円減の50億円、営業利益が70億円減の30億円とした。「オートモーティブは、自動車減産の影響や減販損、部材高騰などの影響が拡大したことで、下方修正した」という。
なお、パナソニック全体の2021年度第3四半期累計(2021年4~12月)連結業績は、売上高は前年同期比11.3%増の5兆4234億円、営業利益は20.9%増の2742億円、調整後営業利益は23.9%増の2873億円、税引前利益は26.9%増の2794億円、当期純利益は50.3%増の1956億円となった。
セグメント別では、くらし事業の売上高は前年同期比3%増の2兆7376億円、営業利益が30%減の1051億円。コネクトの売上高は前年同期比12%増の6481億円、営業利益は前年同期の146億円の赤字から426億円の黒字に転換。インダストリーの売上高は前年同期比16%増の8406億円、営業利益は162%増の653億円となった。インダストリーでは、産業用モーターや情報通信インフラのほか、車載用コンデンサやEV用リレーなどの販売が好調だったという。
また、パナソニック全体の第3四半期(2021年10~12月)連結業績は、売上高は前年同期比4.2%増の1兆8898億円、営業利益は43.9%減の730億円、調整後営業利益は38.7%減の875億円、税引前利益は42.0%減の736億円、当期純利益は47.5%減の426億円となった。
さらに、2021年度(2021年4~2022年3月)連結業績見通しは、売上高は前年比9.0%増の7兆3000億円、営業利益は43.1%増の3700億円、税引前利益は41.9%増の3700億円、当期純利益は45.4%増の2400億円と、いずれも前回公表値を据え置いたが、調整後営業利益は350億円減の3650億円とした。
パソナニックの梅田グループCFOは、「原材料の高騰や、半導体などの部材不足の影響は継続しており、年間で1000億円規模の影響が出ることを想定していたが、銅や鉄が高止まりしており、最終的には1300億円の影響があるとみている」とコメント。「原材料高騰は、主にくらし事業とオートモーティブ事業で影響が見られている。だが、エナジーやインダストリーでは合理化などの取り組みによって影響を軽減している」と述べた。
家電を担当するくらし事業では、これまでにも海外向け家電では、価格転嫁を行なったきたが、2022年4月以降は国内向け家電でも部材価格高騰の影響を商品価格に転嫁していく考えを示した。