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メルセデス・ベンツ、GTC2022でMercedes-Benz Operating System「MB.OS」を詳説 3Dエンジンを採用した次世代コクピット

GTC 2022でMercedes-Benz Operating System「MB.OS」を紹介するNorth America Mercedes-Benz Research & Development Chief Software Officer Magnus Ostberg氏

 メルセデス・ベンツは3月21日~24日にオンライン開催されたNVIDIAの技術カンファレンス「GTC 2022」において、同社が採用するMercedes-Benz Operating System「MB.OS」などのシステムを解説するセッションを行なった。

 メルセデス・ベンツは2020年6月23日にNVIDIAとの協業を発表。次世代車にNVIDIAのAI演算可能な車載半導体「Orin(オーリン)」を搭載することを発表している。メルセデス・ベンツが採用するOrinは、最もハイエンドなバージョンを採用するとしており、NVIDIAの自動運転車開発環境であるNVIDIA DRIVE プラットフォームをベースとして、自動運転用のソフトウェア デファインド コンピューティング アーキテクチャを構築していくとしていた。Mercedes-Benz Operating System「MB.OS」は、それを具現化したものとなる。

An AI-Powered Ride Through Silicon Valley with NVIDIA DRIVE Chauffeur and DRIVE Concierge

 2022年1月4日に、メルセデス・ベンツは「ヴィジョン EQXX」を世界初公開。Cd値0.17で航続距離1000㎞超を誇るバッテリEVだが、これに採用されていたのが、MB.OSを使用した新しいUI(User Interface)/UX(User eXxperience)になる。

 GTC 2022のカンファレンスセッションに登壇したNorth America Mercedes-Benz Research & Development Chief Software Officer Magnus Ostberg氏によると、ヴィジョン EQXXには47.5インチのスクリーンが採用され、3Dエンジンによる描画が可能になっているという。

 3Dエンジンとして採用されているのは、ゲームエンジンとしての採用例も多いUnityエンジン。このUnityエンジンでインストルパネル全域に広がったスクリーンに描画を行なっている。コンセプトカーとはいえその描画は圧倒的で、スクリーンデザインなどは市販化にあたって最適なものになっていくだろうが、インパネ内に描かれるオブジェクトは美しいものになっていくのが容易に想像できる。

ヴィジョン EQXXを紹介
ヴィジョン EQXXのコクピット

 この3Dゲームエンジンを使って、ナビゲーションも3D化する。すでにスマートフォン用のマップでは3D化が進んでいるが、Ostberg氏のデモ画面では、天候要件も入れた形でのナビゲーション画面が示されていた。

 Ostberg氏は、車内エンタテイメントにも言及。このヴィジョン EQXXではDolby ATMOSサラウンドサウンドシステムを採用。音源としてもストリーミングサービスであるApple Musicやamazon musicなどを用意。複数のサービスをシームレスに使えるようになるとしていた。

ヴィジョン EQXXの3Dナビゲーション
Dolby ATOMSの紹介

MB.OSの4つのドメイン

MB.OSについて言及

 ヴィジョン EQXXの見た目にも分かりやすい、華やかな部分を紹介した後、Ostberg氏はMB.OSについて言及。MB.OSの管理する、インフォテイメント、自動運転、ボディ&コンフォート、運転&充電という4つのドメインについて言及した。

 一般にコンピュータの世界でオペレーティングシステム、OSというと計算機資産を管理するものであることが多い。CPUやメモリ、ハードディスクやSSDなどのストレージから始まり、各種インターフェース類までも含んでいる。OSで管理することで、その上で動くアプリケーションはハードウェアの違いを意識することなく、コンピュータの持つ計算機資産にアクセスできる。

 メルセデス・ベンツのMB.OSも、クルマのハードウェア資産を管理することで、その上で動くミドルウェア、アプリケーション、ユーザーインターフェースなどを4つのドメインに対して提供していく。

4つのドメイン
ハードウェア、ソフトウェアのレイヤー

 また、MB.OSではデータのセキュリティについても管理していく。自動車からは移動にともなって多くのデータが生み出されていくが、そのデータもセキュアに管理していくという。

 自動運転の分野では、現在のSクラスやEQSでは高速道路の一部速度域でのレベル3自動運転、自動駐車でのレベル4自動運転に対応しているものを、NVIDIAとの協業でレベル2自動運転、レベル3自動運転において進化をさせていく。

 これらの分野で重要となるのが半導体であるとし、自動車の分野ではADASやインフォテイメントなどで高い性能が必要であるとした。

インフォテイメント
自動運転でのNVIDIAとの協業
ボディ&コンフォートの例
運転と充電について
高性能な半導体が必要であるとした