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日産と高萩市、「キャラバン」を活用する車中泊体験の実証実験発表会 「高萩ムーバブルビレッジ ADVANTURE」が始まる
2022年3月29日 00:00
- 2022年3月28日 開催
日産自動車と茨城県高萩市は3月25日、「高萩市と日産自動車株式会社との車中泊体験の実証実験に関する協定」を締結した。
この協定は宿泊施設の不足や交流人口の減少など、観光事業の活性化に課題を持つ高萩市に対して、日産が2台の新型「キャラバン マルチベッド」を提供。高萩市の管理の下で車中泊をベースとした市内観光の実証実験を行なうもので、名称を「高萩ムーバブルビレッジ ADVANTURE」としている。
「高萩ムーバブルビレッジ ADVANTURE」と呼ばれるこの実証実験では、一般より参加者を募集する。実施日程は4月28日~5月17日の間(募集期間は3月28日~4月15日)で、特設サイトのフォームより応募することになる。
応募者の中から抽選で10組(1組最大2名)が参加でき、内容はキャラバンでの1泊2日車中泊が中心。宿泊地は後述する5つのスポットより選択する。なお、食事は1日目の夕食と2日目の朝食付きとなる。そのほか、取り組みに含まれるアクティビティは事前に設定されている7つ(内容は後述)から選択した2項目を体験できる。前記の内容で参加費は1人6000円(小学生までは1人3000円)となっている。
海と山の自然を満喫できる高萩市とアウトドア使いが良好なキャラバンの組み合わせ
茨城県にある高萩市は海と山が共存する環境であり、それぞれに美しい景観を楽めるが、コロナ過の影響もあり観光客は減少。地域経済にも影響が出ている。そこで高萩市特有の自然環境を活かした「アウトドアのまち高萩」という取り組みを実施。こちらの認知拡大を目的に、茨城県最大となる小山ダムの湖面を活用してのカヌーやボートクルーズなどのアクティビティ体験や、自然に囲まれたロケーションの中でグランピングが楽しめる施設「ストームフィールドガイドはぎビレッジ店」をオープンするなど行なってきた。
一方、日産はアウトドア需要の拡大により、商用だけでなくプライベートユースも好調なキャラバンを先ごろマイナーチェンジ。2021年12月には〝キャラバンで遊びのプロを目指す〟をテーマにした体験型イベント「AD“VAN”TURE」を高萩市協力のもと、同市内の施設や自然を利用して実施したが、「AD“VAN”TURE」を行なったことで日産、高萩市は新たなライフスタイル、宿泊手段である車中泊を観光産業の手段として活用することや、新たな観光プランの創出ができると考えた。そこで自治体・観光協会と連携した観光事業の活性化に取り組むことが必要と考え、今回の協定となった。
実証実験では日産から提供される2台のキャラバン マルチベッドを実験参加者へ貸出する。キャラバンを利用する宿泊(車中泊)は市内各地の観光名所や、管理されている空き家、公共施設を設定しているので、ここからは車中泊施設を順に紹介しよう。
まずは「にほんなぎさ百景」の1つであり高萩市屈指の景勝地「高戸小浜海岸」。つぎは太平洋が見渡せ、朝日が海から昇るところも見ることができる「けやき平キャンプ場」。巨大パラボラアンテナと夜空の天の川撮影スポットとしても人気の「さくら宇宙公園」。ユニークなところでは「山間部の空き家」がある。空き家といっても管理されているもので水道やトイレ、調理場の活用が可能となっている。最後は地元の地域交流イベントやグリーンツーリズム推進用として活用している「高萩里山交流館」。こちらもトイレ、シャワーを完備する。
「高萩ムーバブルビレッジ ADVANTURE」で用意されているアクティビティは高萩市にある事業者が扱うものであり、ビギナーでも安心して楽しめるようガイドもあるという。項目は湖を使っての「SUP」体験、アウトドアでの火起こしなどを行なう「ブッシュクラフト」、ヘルスリゾート 天空の庭 天馬夢が提供する「セグウェイ」「ヨガ」「乗馬」「温熱ドーム」、そして「海釣り」「川釣り」「管理釣り場での釣り」となっている。
繰り返しになるが「高萩ムーバブルビレッジ ADVANTURE」の実施日は4月28日~5月17日の間で特設サイトのフォームより応募することになり、抽選で10組(1組最大2名)が参加できる。ただ、内容から見ると応募が多そうな気もするが、高萩市は四季ごとの魅力もあるのでこの実証実験は一度ではなく継続して行ないたいと考えているとのこと。「高萩ムーバブルビレッジ ADVANTURE」に興味を持った方は継続的に情報にアクセスして展開を確認していただきたい。
日産は今回の取り組みをモデルケースとした観光活性化プロジェクトを提案していく
以下は協定の締結式の模様を紹介しよう。締結式は高萩市市役所にて行なわれた。出席者は高萩市より大部勝規市長、企画部長の矢代省吾氏、企画部地方創生課長の渡邊慎氏。日産からは日本マーケティング&セールス理事の神田昌明氏、日本マーケティング本部チーフマーケティングマネージャーの山本聡氏である。
署名が滞りなく終了すると大部市長と山本氏のあいさつとなる。最初に登壇したのは大部市長。大部市長は「高萩市は茨城県の北東部に位置しています。海と山に囲まれた地形で地域の約80%を森林と原野が占めるという自然豊かな街であります。こうした自然豊かな街でありながら東京からも来やすい距離であることから“アウトドアのまち高萩”という取り組みを推進しています。ダム湖や河川などを活用したアウドドア事業に着手しているところであります。市としましては、今後も引き続き資源を利活用して街の活性化につなげて参りたいと思います。高萩市では予算を確保のうえ、観光施設や見どころを周遊できるようにするためのインフラ整備もしっかりやっていきます」と述べた。
続いては日産の神田氏が登壇。神田氏は「日産はクルマで人々の生活を豊かにする、クルマでワクワクする。このようなコンセプトを持っています。そして今回の車中泊ですが、これは走りではなく駐まっているクルマの中でワクワクしてもらうことととなります。そのために力をお借りするのが高萩市の自然です。とはいえ、なにも問題がないとはいかないでしょう。反対に思っていた以上の成果が出てくれるかもしれません。そういったことを実証実験において学んでいきたいと思います。なお、日産は2018年5月からサステナブル社会を目指すということで“ブルースイッチ活動”を進めています。現在、170を超える自治体と電気自動車を活用した災害連携協定、それに観光に関する協定を結ばせてもらっていますが車中泊を主題とするのは今回が初めてです。こういった新しい取り組みをいまの情勢の中で行なえることを非常に嬉しく思っています」と語った。