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パイオニアの新ドラレコ「VREC-DZ800DC」を体験 あおり運転を検知する“後方車両接近検知機能”の実力は?

VREC-DZ800DCのフロントカメラ

 ここ数年、カー用品の売れ筋アイテムとなっているのがドライブレコーダー(ドラレコ)だ。発売当初は事業車向けのイメージが強かったものの、動画サイトの普及に後押しされたこともあって、一気に普及率が高まってきた。それに伴って単機能なベーシックモデルだけでなく、高画質&高機能を謳うモデル、カーナビとの連動が可能なモデルなどバリエーションも増えつつある。

 そんな中、パイオニア(カロッツェリア)が5月12日にリリースした新製品が、クルマの前後を同時に撮影することが可能な2カメラモデル。ドラレコといえば事故などの際に重要な証拠となる前側の映像を撮影するっていうのが基本だけれども、最近では“あおり運転”の影響でクルマ後方の映像にもプライオリティが置かれるようになってきた。どちらも価格帯的には高い部類に属するアイテムではあるけれど、こうした状況を踏まえての新製品なのだ。

 新製品としてラインアップされたのは「VREC-DZ800DC(以下DZ800)」と「VREC-DH301D(DH301)」の2モデル。前者は6月、後者は7月に発売予定となっている。

スペック比較

VREC-DZ800DCVREC-DH301D
後方車両接近検知機能
カメラ解像度(前/後)1920×1080P/1920×1080P2560×1440P/1920×1080P
レンズF値(前/後)F2.0/F1.9F1.4/F1.8
画質補正WDR
駐車監視機能標準オプション
液晶画面2インチ3インチ
Wi-Fi
同梱microSD16GB32GB
同梱電源専用ケーブル(12V)シガーソケット(12V/24V)
価格(市場想定価格)オープンプライス(3万4000円前後)オープンプライス(2万8000円前後)

 一部を抜き出したモノだけれど、機能的には危険運転車両対応や駐車監視などDZ800が優れており、カメラ性能的にはDH301が優れていると、まったくキャラクターが異なっている。同社的には前者が「買い換えを検討している既存ユーザー」、後者は「はじめてドラレコを購入するユーザー」に向いているのではないか、とのこと。

後方車両接近検知機能はドラレコの必須機能となるか

 今回、大磯ロングビーチの駐車場において、DZ800の危険運転車両対応のデモンストレーションが行なわれたので紹介しよう。

フロントカメラ(左)とリアカメラ
側面にmicroSDカードスロット、上部(写真下側)にリアカメラ接続端子と電源(ミニUSB)端子がある
端子部
フロントカメラの装着状態。画面の向きを変えることはできない
リアカメラの装着状態

 DZ800の大きな特長となるのが、後方車両接近検知機能と駐車監視の2つ。まず、後方車両接近検知機能はリアカメラを活用するもので、40km/h以上で走行中に後方から車両が一定距離内に接近すると、警報を発するとともに自動的に録画を開始する。自車の走行速度によって検知距離を変える独自のアルゴリズムを採用することで、「人の感覚」に近づけた検知精度を実現しているという。

 デモンストレーションでは駐車場のスペースが限られることから約50km/hでの走行時のみとなったものの、後方から車両が接近してくると「ピッ」という警報音とともに画面上に「後方注意!」の文字を表示して教えてくれた。このときの後方車両は3mほどの近さで、まさに「煽られてる!」と感じるほどの距離感。何度か試してみたが、動作は安定しており安心感は高い。実際の距離感は動画と写真で確認してほしい。

 なお、動画は認識の前後20秒間の計40秒分。イベント録画フォルダに保存されるから、すぐに上書きされてしまうことがないので安心だ。ちなみに、イベントフォルダ内の映像も容量が一杯になると上書きされてしまう。必要ならば早めにバックアップを取っておきたい。

VREC-DZ800DC 後方車両接近検知機能(1分5秒)
約50km/h走行時はこのぐらいの距離感で検知
ドラレコ画面だとこのぐらいの距離感
検知時は警報音と画面表示で教えてくれる

 駐車監視は最近のドラレコでは必須となりつつある機能。ただ、ほとんどのドラレコはシガーソケットから電源を取っているため、駐車監視を有効にするためにはバッテリから直接電源を供給するための電源ケーブル(いわゆるバッ直電源)がオプションで必要となる。だが、本機ではこちらが標準のため、余計なコストを掛けずに駐車監視が実現可能なのだ。半面、装着には若干の手間(またはコスト)が必要になってしまうけれど。

 駐車監視機能には2つのモードが用意されており、エンジン停止後はまず「駐車監視機能」が起動、設定時間(最大40分)を過ぎるとセキュリティモードに移行する。このモードではドラレコの電源がOFFになっており、衝撃を感知すると電源がONになり録画を開始。消費電力を低減しバッテリ負荷を抑えることで24時間のフルタイム監視を実現しているワケだ。もちろん、バッテリ電圧も常時監視しているから、ドラレコによるバッテリ上がりの心配はない。カメラにはソニー製「STARVIS」技術搭載CMOSセンサーが採用されており、夜間の低照度でも鮮明な画像を撮影可能! 録画が行なわれた時には次回乗車時に画面表示と警告音で教えてくれる。

 もう1つ珍しいのが、Wi-Fiを使ったスマホ連携機能。ドラレコの各種設定はもちろん、記録映像を見ることもできる。一般的なドラレコだと小さな画面でこれらを行なう必要があるけれど、こちらはスマホの大きな画面でできるからとてもカンタンだ。

無料でダウンロードできるドライブレコーダーリモートアプリ
記録した映像をアプリで確認可能
装着時のキャリブレーションにも活用できる
設定画面

 デモンストレーションは行なわれなかったが、DH301にも軽く触れておきたい。こちらは2021年モデル「VREC-DH300D(DH300)」の後継モデルで、新SoCの採用やチューニングにより画質がより向上しているとのこと。

VREC-DH301D
オプションの駐車監視ユニット。6600円

 DZ800は多彩な機能を備えた2カメラモデル。海外製の単機能モデルと比べれば値が張るものの、安心安全のパフォーマンスを考えれば十分に納得のできるレベル。買い換えユーザーはもちろん、初めて購入するなんてユーザーにもオススメしたい。