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8気筒サウンドを奏でるフォーミュラマシンの細部を見る 第6戦富士ではホンダ製エンジンによるテストを実施予定

8気筒サウンドを奏でるフォーミュラマシン「赤寅(アカトラ)」

ウェストゲートパイプで8気筒サウンドを演出

 6月20日、直列4気筒を搭載しながら8気筒サウンドを奏でるというスーパーフォーミュラのテスト車両がスポーツランドSUGOで公開された。トヨタ製エンジンを載せたカーボンニュートラル燃料などのテストマシンである「赤寅(アカトラ)」には、今回8気筒サウンドのための試作排気管を搭載。1本はメインの排気管(メインパイプ)、1本はターボのウェストゲートにつながる排気管(ウェストゲートパイプ)となっており、長さを変えることで8気筒サウンドを再現しようとしている。

 直列4気筒エンジンであれば、クランクシャフトが720度回転(2回転)する間に4回の爆発音が起きている。一方、8気筒エンジンであれば720度回転する間に8回の爆発音が聞こえている。であるなら、1度の爆発音を2つのマフラーに分け、時間差(マフラーの出口までの距離)を設けることで2つの爆発音を作ってしまおうというものになる。

8気筒サウンド作りのキーポイント。2つの異なるな排気管が見える
排気管部分をやや前から見たところ。手前の金色のダクトは吸気管

 実際の排気音は、人によって好みが分かれるところだが、確かに高周波が聞こえており、通常の4気筒と異なる音が出ていた。8気筒サウンドを完全に再現するためには、メインパイプとウェストゲートパイプから同量の排気が行なわれ、かつ排気方向も音が混じり合うようにする必要がある。同量の排気については、ウェストゲートパイプからの排気を増やす=ターボに回す排気を減らすことになり馬力が下がる方向になってしまう。また、排気管の取り回しについてはボディの制約や熱的な制約があったとのことだ。

今回新たに作った排気管まわりの部品。長さが異なるのが分かる。1/2ではなく、1/4の長さに設計されているのだろうか

 スポーツランドSUGOでは、トヨタ製エンジンを搭載する赤寅でテストが行なわれたが、次戦となる第6戦富士ではホンダ製エンジンに同様の排気管を付けてのテストを行なうべく調整しているとのこと。まずは、今回行なった8気筒サウンドテストのデータ解析を実施していく。

 いずれにしろこのテストは来シーズンへ向けてのエンジンテストではなく、モータースポーツにおけるエンジン音の可能性を探っていくものになる。どのようなエンジン音がよいのか、どのような方法がよいのか、さまざまな観点からJRP(日本レースプロモーション)は将来のスーパーフォーミュラマシンを作り上げていく。

 富士でのテスト予定はレース終了後の7月18日~19日。7月18日が祝日となっており、7月16日~17日にスーパーフォーミュラのレースを見た後でも参加しやすい。まだ8気筒サウンドマシンが走ると確定したわけではないが、技術的な実験として興味深い部分が多い。富士のスーパーフォーミュラと合わせてCFNテスト見学も考えてみていただきたい。

スーパーフォーミュラ V8サウンドテスト 直4だけどV8サウンドの赤寅通過音
スーパーフォーミュラ V8サウンドテスト 直4の白寅通過音
SUGOでスーパーフォーミュラのV8サウンドを確認するJRP上野禎久社長