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三菱ふそう、「eCanter」次世代モデルで国内28型式・海外約80型式を展開 デッペンCEO「EVはお試しという商用車業界を次のレベルに引き上げる」

2022年9月7日 発表

 三菱ふそうトラック・バスは9月7日、バッテリEV(電気自動車)の小型トラック「eCanter」次世代モデルを発表した。同日開催された発表会で、同社代表取締役社長 CEOのカール・デッペン氏はeCanter次世代モデルについて「EVはお試しという商用車業界をこの車両が次のレベルに引き上げます」との意気込みを述べるとともに、「次世代キャンターの大規模量産の準備を進めています」と明かした。

 eCanter次世代モデルでは、国内市場向けモデルは最小5t〜最大8tクラスの28型式、海外市場モデルは4t〜8tクラスの約80型式を展開し、より幅広い物流ニーズに対応させた。今後、日本国内向けの「eCanter」次世代モデルは2023年春に発売予定で、海外市場向けモデルも順次展開される。

三菱ふそうトラック・バス株式会社 代表取締役社長・CEOのカール・デッペン氏

 これまでeCanterは、2017年に国内初の量産型電気小型トラックとして発売され、日本、欧州各国、北米、オーストラリアやニュージーランドで多様な用途にて活用されてきたが、この5年の運用経験に基づいてフルモデルチェンジが実施された。eCanter次世代モデルでは、車両ラインアップを大幅に拡充することでより多くの物流ニーズに対応させた。

 発表会に登壇したデッペン氏は「EVはお試しという商用車業界をこの車両が次のレベルに引き上げます。この車両がeモビリティを事業市場の全ての人にとって実用的なものに切り替えます。ふそうのeキャンターによって皆さまにスタートアップ企業のような革新的な技術と、90年の歴史を持つブランドの確固たる販売サービス基盤の両方を手に入れていただきます」との意気込みを述べた。

 今回、「eCanter」次世代モデルの車両価格や販売方法の詳細は公表されなかったが、電気トラックへのシフトをサポートするサービス「FUSO eモビリティソリューションズ」の提供を開始することが公表され、デッペン氏は「当社は車両だけでなく、EVシフトに必要な全てのeモビリティソリューションを皆さまに提供します。当社の提案はまさに皆さまが待ち望んだものだと思います。手間がかからず、ゼロエミッションのこの輸送ソリューションはコスト面でもディーゼル車との差が縮まりました」と明かした。

 デッペン氏は「これらに安心していただければ、EVシフトにためらう必要はもうありません。この間にも当社は次世代キャンターの大規模量産の準備を進めています。来年には、eキャンターは日本全てのふそう販売店でお求めになれます。海外市場については、シンガポール、香港、インドネシア、ヨーロッパ、オーストラリアそしてニュージーランドでの展開を展開しています。その他の国や地域からもすでにたくさんのリクエストをいただいています」と話した。

「eCanter」次世代モデルはシャシラインアップを大幅拡充

写真左から三菱ふそうトラック・バス株式会社 取締役副社長 国内販売・カスタマーサービス本部長 林春樹氏、三菱ふそうトラック・バス株式会社 副社長 兼 開発本部長 安藤寛信氏

 同日開催された発表会では、eCanter次世代モデルの製品概要について、同社副社長 兼 開発本部長 安藤寛信氏、取締役副社長 国内販売・カスタマーサービス本部長 林春樹氏、また「FUSO eモビリティソリューションズ」のサービス概要について、チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)のアレクサンダー・ルージング氏が登壇して説明した。

三菱ふそうトラック・バス株式会社 副社長 兼 開発本部長の安藤寛信氏

「eCanter」の次世代モデルの主な特長は、モーターを後軸に統合したeアクスルを新たに採用し、モジュール式バッテリの採用で航続距離の延長を実現させたこと。eアクスルの採用により、ドライブトレーンをコンパクトな構造にすることで、シャシラインアップの大幅な拡充を実現。国内市場向けモデルは28型式、海外市場モデルは約80型式のシャシラインアップを展開し、より幅広い物流ニーズに対応させた。

モジュール式バッテリ
モーターを後軸に統合したeアクスル

 現行モデルの車両総重量(GVW)7.5tクラスにくわえて、国内モデルでは最小5tから最大8tクラスまで、海外モデルでは4tクラスから8tクラスまでのバリエーションを展開。キャブバリエーションも拡充し、小回りのきく標準幅キャブ(1700mm)から、より多くの荷箱容積が確保可能な拡幅キャブ(2130mm)を新たに追加。さらに、ホイールベースも最小で2500mmから、最大で4750mmまで展開する。

 また、モジュール式バッテリの採用で、ホイールベースに応じてバッテリを1個から最大3個まで搭載可能とした。定格容量41kWhのバッテリ1個を搭載した車両は約80km、バッテリ2個搭載の車両は約140km、バッテリ3個搭載の車両は約200kmと航続距離の延長を実現。現行モデルと同様に普通充電と急速充電が可能なほか、災害時に車載バッテリから専用機器を介して住宅などへの外部給電を行なうV2X機能も、次世代モデルで新規搭載したことなどが説明された。

三菱ふそうトラック・バス株式会社 取締役副社長 国内販売・カスタマーサービス本部長の林春樹氏

 eCanterを導入したこの5年間について、林氏は「私達には、5年間にわたりEVトラックの販売と整備を行なってきたという実績と自負がございます。もちろん、eモビリティのへのシフト、これを着実に進めていくためには、車両を供給するだけでは不十分です。EV車両を効率的に運用するためには、インフラも含めさまざまなサポートやサービスが不可欠です。私たちはこのエコシステムをeモビリティソリューションズと呼んでいます。例えばファイナンス、車両の稼働や充電に関するコンサルティング、そしてバッテリのリサイクルや二次利用に至るまで、あらゆるサポートが必要になります」と、サポート体制の重要性を話した。

eCanterの歴史を紹介する展示

電気トラックの導入を支援する「FUSO eモビリティソリューションズ」を展開

三菱ふそうトラック・バス株式会社 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)のアレクサンダー・ルージング氏

 そして、同社チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTO)のアレクサンダー・ルージング氏から「FUSO eモビリティソリューションズ」が取り組む領域「充電器・充電器設置サービス」「ゼロエミッションソリューション」「eコンサルティングサービス」「バッテリライフサイクルマネジメント」「ファイナンシャルサービス」「eデジタルサービス」「eカスタマーサービス」といったメニューが紹介された。電気トラックを導入する事業者をサポートを実施することで、車両開発に留まらず、電気トラックの普及を図る活動を推進していく考えを示した。

「FUSO eモビリティソリューションズ」によって電気トラックを導入する事業者を支援する