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デンソーテンとNSITEXE、低消費電力物体検知ソリューションを共同開発

2022年9月8日 発表

 エヌエスアイテクス(NSITEXE)とデンソーテンは9月8日、NSITEXEの高い電力効率を実現するAI向けアクセラレータと、デンソーテンの軽量エッジAI(ニューラルネットワーク)を組み合わせた「低消費電力物体検知ソリューション」を開発したと発表した。同ソリューションを9月16日に品川インターシティホールで開催される「AMD-Xilinx Tech Day Tokyo 2022」に出展し、デモ展示を行なう。

 あらゆるエッジデバイスにAIが搭載される中、AIを幅広い分野に適用する上で重要な課題となる、発熱やコスト制約が厳しいエッジデバイスでAI処理を効率よく実行するという課題に対して、外部メモリアクセスを最小化する独自技術を取り入れたNSITEXEのAIアクセラレータ「ML041」により、MobileNet_v3、GoogleNet、Inception_v3といったニューラルネットワークを0.42W、5.08TOPS(12TOPS/W)の高い電力効率(7nm世代SoC実装時)で実行できるようにした。

 さらに、デンソーテンの「軽量エッジAI(ニューラルネットワーク)」を組み合わせることによって、演算精度を劣化させることなく演算量を1/7に削減することで、消費電力を0.06Wまで低減できるとしている。

NSITEXEの高電力効率AIアクセラレータ

 従来のニューラルネットワーク処理では、レイヤ処理毎に中間データを消費電力の大きい外部メモリに退避しており、これが電力効率低下の原因となっていた。今回、NSITEXEが開発したAIアクセラレータ「ML041」は、入力データを分割(Tiling)し、分割したデータ毎に複数のレイヤ処理の入出力を連結(Layer fusion) する独自方式により、中間データの外部メモリへの退避を削減し、電力効率を向上することを可能とした。

AIアクセラレータ「ML041」の処理

デンソーテンの軽量エッジAI(ニューラルネットワーク)

 物体検出AIは物体を識別するための特徴を抽出する特徴抽出部と、特徴量に基づいて物体を識別するオブジェクト検出部に分かれる。いずれも畳み込み演算(Convolution)が使われるため、非常に多くの演算が必要となり、デンソーテンでは、特徴抽出部の一部の演算を近似演算(Separable Convolution)に置き換えるなどにより、小さな特徴抽出部とマルチクラスの高精度オブジェクト検出部からなるハイブリッドAIを構築。これにより、少ない演算量で高精度な物体検出を可能にした。

軽量エッジAIの性能

 両社は、今回共同開発した低消費電力物体検知ソリューションを、車載製品や、セキュリティカメラ、FAなどの様々な組込み機器へ展開を目指す。