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デンソーテンとDMP、「ながら運転」をAI画像解析 法人向けドラレコ「G500Lite」でサービス提供へ

脇見やスマホ操作など「ながら運転」をAIで検出

2021年2月25日 発表

 デンソーテンとDMP(ディジタルメディアプロフェッショナル)は2月24日、走行中のドライバーの脇見・スマートフォン操作による片手運転などの「ながら運転」や「居眠り運転」行動をヒヤリハット映像として自動で抽出する技術を開発したと発表した。

 同技術は、デンソーテンが法人向けに提供する通信型ドライブレコーダーの映像と、DMPのAI画像認識ソフトウエアサービス「ZIA Cloud SAFE」を活用して実現させたもので、車両に強い衝撃が加わるとドライブレコーダーの車室内カメラ映像がクラウドセンターへ自動送信され、ドライバーの顔の向きや目線などをAIが画像解析して「ながら運転」を検出する。

 営業車や社有車を保有している企業に、同技術を提供することで、強い衝撃の原因が外的要因か、ドライバーの不注意による要因なのかをAIが自動的に判断するため、管理者の原因把握に掛かる工数削減につながるとしている。

 デンソーテンでは、同技術を現在発売している法人向けの通信型ドライブレコーダー「G500Lite」に追加予定。従来から「G500Lite」を利用しているユーザーにも活用できるように、専用カメラではなく既存カメラで映像を抽出することが可能としている。

「ながら運転」をAIで検出する技術を開発

 今回の技術開発については、AIの解析精度を上げるためには、実際の事故に基づいた膨大な分析データが必要となる。デンソーテンでは長年蓄積した実際の事故データを、対象物・シーン(交差点、カーブ、直線)・要因などに分類/タグ付けを行ない、分析を進めてきた。その分析データを元に、クラウド側での画像認識能力や学習機能が大きく向上した「ZIA Cloud SAFE」によりAIを構築することで、事故につながる恐れのあるヒヤリハット映像の判別精度を高めた。

 さらに、車室内カメラに映るドライバーの動作(挙動)についても同様にAIを学習させることで、脇見・片手運転などの「ながら運転」や「居眠り運転」分析を高い精度で実現させたという。

 同技術を追加予定の「G500Lite」では、走行中に検知したふらつきや車間距離、急ハンドルや急ブレーキなど事故につながる危険度の高いヒヤリハット映像を自動抽出し、クラウド上にドライバーごとのデータとして蓄積している。G500Liteのサービス利用者のデータ分析を実施したところ、前方不注意や漫然運転など「ながら運転」に関わる事故要因が非常に多いことが分かった。

 同社では、従来からデータを用いてドライバーの運転特性を解析し、安全運転教育を行なってきたが、「ながら運転」をAI画像解析するサービス提供が加わることで、事後的に「ながら運転」映像を用いた客観的な安全運転教育を行なうことが可能になり、ドライバーの安全意識を高め、過失による交通事故の抑制につながると同社は考えている。