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アルファ ロメオF1チームのジョウ選手とボッタス選手に日本GPの意気込みを聞いた 目標はコンストラクター6位を守ること

アルファ ロメオF1チームのドライバー、ジョウ・グアンユー選手(左)とバルテリ・ボッタス選手(右)。どちらも筆者のつたない英語の質問にも誠実に答えてくれるナイスガイだった

 アルファ ロメオF1チーム・オーレン(Alfa Romeo F1 Team OREN、以下アルファロメオF1チーム)は、イタリアの自動車メーカーのアルファ ロメオがメインスポンサーを務めるF1チームで、現在はアルファ ロメオのブランド名を冠してF1に参戦している(母体はかつてのザウバーF1チーム)。

 アルファ ロメオとF1の歴史は長く、1950年にF1世界選手権が開始されると、1950年にジュゼッペ・ファリーナ選手、1951年にファン・マヌエル・ファンジオ選手がとドライバー選手権で2年連続チャンピオンを獲得している。また、1970年代後半から1980年代半ばにもワークスチームで参戦するなど、F1の長い歴史の中で欠かせないブランド名となっている。

 そのアルファ ロメオF1チームの今シーズンは、バルテリ・ボッタス選手、ジョウ・グアンユー(周冠宇)選手という2人のドライバーを要して参戦しており、第17戦シンガポールGPが終わった段階で、コンストラクター選手権で6位と好位置につけている。そうしたアルファ ロメオF1チームの2人のドライバーに話を伺う機会を得たので、その模様をお伝えしていきたい。

2人が欲しいアルファ ロメオは「ジュリア GTAm」で、理由はどちらも「速いから」とさすがの回答

──今回の鈴鹿に向けて、どのようなレースになると考えているか?

バルテリ・ボッタス選手:今週末のために、いくつかマシンにアップグレードを入れている。明日の最初のセッション(筆者注:フリー走行1回目=FP1のこと)では他のマシンと比べてどれくらいやれるかを確認することになる。今週末の目標は僕ら2人ともにポイントを獲得して、コンストラクター選手権で6位を守ること。この鈴鹿に戻ってこられたのは本当に素晴らしいことで、美しいコースだしいつもいい気分で走ることができる。このアップグレードが入ることで、マシンの競争力が向上してもっとポイントが取れるといいと思っている。

ジョウ・グアンユー選手:バルテリと同じだ。まだこのサーキットを実際に走った訳ではないけれど、シミュレータで走った限りでは第1セクターが素晴らしい。後半も素晴らしくて非常に攻めがいのあるコースだ。今回入れたアップグレードでもっと競争力があがるといいなと思っている。シンガポールではチーム全体にとって難しいレースになってしまったが、このレースではもっとよいレースができるといいと思っている。

──ボッタス選手はこのコースを走られた経験があると思うが、どのコーナーが一番好きか?

バルテリ・ボッタス選手:セクター1すべてが好きだ。流れるように走ることができる。そして後半は高低差もあって、本当に特別で素晴らしいサーキットだと思っている。

──ジョウ選手は、まだ走られたことがないと思うが、シミュレータでは走ったか?

ジョウ・グアンユー選手:シミュレータではすでに走っている、毎週末に実際にサーキットに行く前に必ずシミュレータに乗っているので。このサーキットは高速コーナーがたくさんあり、バルテリの言うように流れるように走れるコーナーもたくさんある。僕が走ったことがあるサーキットの中で最も好きなのはシルバーストンで、ここのサーキットはそれにすごく似ている高速コーナーがいくつもあるので、同じように好きになると思う。

──普段ヨーロッパではどんなアルファ ロメオの車種に乗られているのか?

バルテリ・ボッタス選手:欧州ではステルヴィオ クアドリフォリオに乗っている。だけど、個人的にはジュリア GTAmが欲しいと思っている。(どちらの方が好きかを聞かれて)個人的にはジュリア GTAmが好きだ。理由は単純でそちらの方が速いからだ(笑)。だけど、ステルヴィオは荷物や自転車をもっと積んだりできるので、普段使いならステルヴィオがお勧めだ。

ジョウ・グアンユー選手:普段はジュリア クアドリフォリオに乗っているが、個人的にはバルテリと同じくジュリア GTAmに乗りたいかな。やはり速いクルマは素晴らしい。また、ジュリアは渋滞があるときでも快適に過ごせるのも素晴らしい。でもSUVも本当にいいと思う。バルテリは自転車が大好きだから、SUVみたいにスペースが大事ってのも、よく分かる。

2人のドライバーが声をそろえて欲しいというアルファ ロメオの「ジュリア GTAm」

両ドライバーともアップグレードによる性能向上に期待。コンストラクター選手権6位の維持を目指す

──ジョウ選手は日本GPについてどう感じているか? 日本GPに関しては完全に初めてのことかと思うが……。

ジョウ・グアンユー選手:ここのサーキットに来ることができて、クルマをドライブできることにとても興奮している。実は日本を訪れるのは初めてではなくて、以前プライベートで来たことがあったが、このサーキットをレーシングカーで走るのは初めてなので、熱心なファンが詰めかけていることも含めて特別な雰囲気だと感じている。この週末が終わったらもっと正確なことをお伝えできるようになると思う。

──今年は残念ながら中国GPは開催できなかったが、来年は開催の予定だ。ここは中国に最も近い場所でのGPとなるが、来年の中国GPに向けてどう感じているか?

ジョウ・グアンユー選手:来年ホームGPを持てるということはとてもいいニュースだと思っている。ホームGPでドライブすることはとても素晴らしいことだからだ。そして多くのファンが応援してくれて、興奮してくれることは本当に素晴らしいことだと思うし、待ち遠しいというのが正直な気持ちだ。

──ボッタス選手は今年、チームを移籍してこのチームで新しい仕事を始めたことになる。2つのチームを比較して大きな違いはなんだろうか?

バルテリ・ボッタス選手:最大の違いはチームのサイズだ。しかし、バジェットキャップが導入されたことで、自分が前のチームにいたころと比べるとその差は少しずつ小さくなってきている。ここのチームは言ってみれば「適正なサイズ」といったところだろうか。大きな会社というよりは家族的な会社という感じ。自分としてはそれがとても気に入っている。しかし、今年の前半を見ていただければ分かるように、本当に強くなるためのポテンシャルを秘めているチームだと考えている。

──ジョウ選手は今年F1にデビューした。しかし、とても安定した結果を残し続けているし、チームからもそこを評価されていると聞いている。今年デビューしたばかりなのに、安定した成績を残せるのはなぜか?

ジョウ・グアンユー選手:すべてのドライバーは異なるドライビングスタイルを持っている。特にルーキーにとってF1でやっていくことは簡単なことではないが、ラッキーなことに自分の場合は自分のペースでやらせてもらうことができた。最初の5~6レースは、本当にプレッシャーがかかるときだと思うが、自分は自分のペースで時間をとることができた。そして結果を出そうと焦ったりするとミスしてしまう。そういうことをしないことが大事だと考えていた。ミスをするとチームの多くの人に迷惑をかけてしまうことになるからだ。自分のペースでゆっくりとちょっとずつ改善していき、それが実現できたらもっとプッシュする、それが自分のアプローチだ。そのため、レースでもできるだけクラッシュしないようにし、他車と不必要な接触をしないようにしてゴールまで確実にマシンを運んでいく。それが大事なことだと考えている。

──チームメイトはとても経験があるチームメイトだ。そうしたチームメイトの存在は助けになっているか?

ジョウ・グアンユー選手:その通りだ。バルテリのような多くの経験を持つドライバーをチームメイトに持つということは、ルーキーにとってベストなことだと思う。同じような年齢で同じような経験を持つドライバー同士だと、チームメイト同士の争いになってしまったりする。それにより、どちらもいい結果を残せないなんて例はいくらでもある。そうすると若いドライバーは自分の経験値を増やすなんてことを忘れてしまうことが多くなるからだ。僕はバルテリのような素晴らしい経験を持つドライバーをチームメイトに持つことができているので、そんなこととは無縁だ。彼のデータを見せてもらって、彼から助言をもらうことで、より短い時間でさまざまな経験ができるようになっている。

──残りのシーズンをどう戦っていくか? 現在のコンストラクター選手権6位を維持することは可能だと考えているか?

バルテリ・ボッタス選手:すでにお話ししたように、今週末にはいくつかのアップレグードをマシンに入れる予定だ。金曜日にそれを試してみて、その成果が出ることを期待している。ここしばらくはレースでポイントを取れていなかったので、そのアップグレードにより競争力があがることを望んでいる。コンストラクター選手権で6位を維持することは十分可能だと考えているし、自分のドライバー選手権では10位になることが目標だ。とにかくポイントが必要だと考えている。

ジョウ・グアンユー選手:自分は、チームがコンストラクター選手権で6位を維持することに集中している。主なライバルはアストンマーティンやアルファタウリ、ハースあたりになると思うが、ここ数年われわれのチームがどのあたりのランキングにいたのかを考えれば、現在の6位という順位は非常に大きな進化だし、それを維持できないという理由はどこにもないと思う。