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BMW、新型パフォーマンスモデル「3.0 CSL」 50年にわたるBMW Mのレースへの情熱を表現

2022年11月24日(現地時間)発表

BMWの新型パフォーマンスモデル「3.0 CSL」

精巧なクラフツマンシップにる限定生産車

 独BMWは11月24日(現地時間)、2シーターパフォーマンスモデルの新型「3.0 CSL」を発表した。限定50台で30人の特別な資格を持つ経験豊かな技術者チームが車両の構成と組み立てを担当し、全車両の生産には約3か月かかるという。

 3.0 CSL(Coupé Sport Lightweight)は、1970年代に生み出されたドライビングプレジャーを追求し、サーキットでのテクノロジを応用。ダイナミックでエレガンスなエクステリア、クラシカルなスポーツコクピット、インテリジェントな軽量構造、直列6気筒エンジン、マニュアルトランスミッション、後輪駆動など、BMW Mが50年にわたって培ってきたレーシングテクニックの粋を結集し、エモーショナルなオーラを放つクルマとして開発されたモデル。

 新型3.0 CSLは、当時のレーシングカー3.0 CSLの特徴を現代的に再解釈したモデルで、クーペ型のボディはスポーティなエレガンスと表現力豊かなダイナミクスに伝統的なアクセントを追加。駆動系とサスペンションには、BMW Mの最新技術を投入しつつ、カーボンを多用して軽量化することでパワーウェイトレシオは、1PSあたりわずか2.9kgを実現した。

 フロントエンドは、パワーと運動性能性を象徴するように、低い位置に配置。その中心には、キドニーグリルを配置している。フロントバンパーには1970年代モデルのエアインテークを彷彿とさせるゆったりとした2つの凹みがあり、常に駆動系とブレーキ系の確実な冷却を可能にするという。リアウイングは、当時「バットモービル」と呼ばれた3.0 CSLの特徴的な外観を現代的なデザイン言語に変換。エアロダイナミクスのバランスを考慮し、リアバンパーのカーボン製ディフューザーと組み合わせることで、アンダーボディの気流を最適化している。

 ボディカラーは伝統を受け継ぎ、アルペン・ホワイトに青、紫、赤のストライプが施される。ドアとルーフには、初期のレーシングカーを模したデザインのフォントで50周年を記念する「50」をあしらい、また、Cピラーには1970年代のクルマ風にBMWロゴを配している。

 ヘッドライトは、BMWレーザー・ライト・ヘッドライトを搭載し、ドアロック解除後のウェルカムライトとロービームおよび、ハイビーム作動時にはGTマシンを想起させるイエローに点灯。テールランプは、革新的なライティング技術により、ライトの中にレーザー光線の糸が立体的に浮いているように見えるデザインとなっている。

イエローに輝くヘッドライト
独特なテールランプ

 センターロック式のホイールは、Y字スポークデザインの鍛造軽合金製ホイールを採用。サイズはフロントが20インチでリアが21インチ。カラーは1970年代風のゴールドカラーとなっている。タイヤは専用に開発されたミシュラン「パイロット スポーツ 4 S」で、サイドウォールにはBMW50周年記念の数字「50」が刻まれる。

フロントタイヤ
リアタイヤ
タイヤのサイドウォールに入る「50」

BMW M史上最もパワフルな直列6気筒エンジン

 パワートレーンは、最高出力412kW(560PS)、最大トルク550Nmを発生する、公道走行可能なBMW Mカーに搭載された中で最もパワフルな直列6気筒3.0リッターエンジンを搭載。このエンジンは今シーズンのDTM優勝車のパワーユニットと同じで、超高回転を実現するスリーブレス密閉型設計の高剛性クランクケース、軽量鍛造クランクシャフト、3Dプリント技術を用いたシリンダーヘッドコアなどを採用するとともに、冷却システムとオイル供給もレースカーと同じシステムを搭載している。さらに、4本のエグゾーストシステムは、従来のスチール製部品に比べて約4.3kg軽いチタン製サイレンサーを採用。組み合わせるトランスミッションは6速MTで、白いシフトノブの表面にはギアパターンと「50」の数字が刻まれている。

 足まわりは、高性能スポーツカー用に開発したM専用設計のダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式フロントアクスルと、5リンク式リアアクスル、電子制御式ショックアブソーバーのアダプティブMサスペンション、可変レシオの電気機械式Mサーボトロニックステアリングと、調整可能な特性曲線を備えたMカーボンセラミック・ブレーキシステムなどを搭載。車両重量、軸荷重配分、ボディとサスペンションの極めて高い剛性、空力バランスが考慮され、Mらしい俊敏性、ダイナミクス、ハンドリングを実現した。

Mカーボン製フルバケットシートを採用したピュアなコクピット

コクピット

 インテリアにも、カーボンをはじめとする軽量化素材を多用。運転席と助手席はMカーボン製フルバケットシートを採用し、シートの高さと角度はネジによって3段のみ調整可能で、前後のスライドはシート前端部のレバーで自由に操作可能。また、ヘッドレストは取り外し式となっている。

 リアスペースには2つのヘルメットを収納できるストレージコンパートメントを用意。カーボンファイバー仕上げのマットなインテリアトリムには、#01/50から#50/50まで50台分のシリアルナンバリングが施され、個々の車両の識別にも使用される。

Mカーボン製フルバケットシート

往年のレーシングカー「3.0 CSL」

 BMWが過去に手掛けたレーシングカーの3.0 CSLは、1973年シーズンにヨーロッパ・ツーリングカー選手権で初優勝し、1975年~1979年に5連覇を達成。1975年にはアメリカのサーキットでも初優勝を飾った。ワイドフェンダーに加え、フロントスポイラー、フロントサイドパネルのエアバー、ルーフスポイラーといったエアロダイナミクスパッケージを装着。さらに、リアウイングによって後輪のグリップを最適化した姿から「バットモービル」というニックネームが付けられていた。

Inside BMW Group Classic - the BMW 3.0 CSL ‘Batmobile’ (E9)