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クアルコム、デジタルコクピットやADASなどを同時サポート可能な自動車業界初のスケーラブルSoC「Snapdragon Ride Flex SoC」

2023年1月4日(現地時間) 発表

クアルコムがデジタルコクピットとADASなどを同時にサポートできる自動車業界初のスケーラブルSoC「Snapdragon Ride Flex SoC」を発表した

 半導体メーカーのQualcomm(クアルコム)は1月4日(現地時間)、SoC(System on a Chip)製品シリーズSnapdragon Digital Chassisに、新製品「Snapdragon Ride Flex SoC」の追加を発表した。

 Snapdragon Ride Flex SoCは、異なるコンピュータのリソースを複合的にサポートすることができ、デジタルコクピット、ADAS(先進運転支援システム)、AD(自動運転)といった機能を単一のSoC上で稼働可能。また、特定のADAS機能の分離、干渉からの解放、サービス品質(QoS)をサポートするハードウェアアーキテクチャを実現し、専用の自動車安全度水準D(ASIL-D)セーフティアイランドを装備するなど、最高レベルの自動車安全性を満たすように設計されている。

 さらに、オートモーティブ・オープン・システム・アーキテクチャ(AUTOSAR)を備えたリアルタイムOS(オペレーティング・システム)により、運転支援安全システム、デジタル再構成可能クラスター、インフォテインメントシステム、DMS(ドライバー・モニタリング・システム)、PAS(パーク・アシスト・システム)などの同時動作も可能にした。

 Snapdragon Ride Flex SoCには、業界で実績のある「Snapdragon Ride Vision stac」をあらかじめ統合していて、規制要件を満たすためにフロントカメラを使用し、車両制御アルゴリズムに入力する車両周辺の環境モデルを作成する「マルチモーダルセンサー(複数のカメラ・レーダー・LiDAR・地図)」の知覚を強化。拡張性の高い安全運転支援および、自動運転体験を可能にするとともに、NCAP(New Car Assessment Program)と欧州のGSR(General Safety Regulations)の基準要件を満たすとともに、より高いレベルの自律性を実現したとしている。

 また、オープンかつスケーラブルで高性能、電力効率に優れた自動車用ソリューションの開発に利用できるFlex SoCシリーズには、Snapdragon Digital Chassisプラットフォーム内の幅広いSoCポートフォリオと互換性を持たせているといい、エントリーレベルからプレミアム、ハイエンドまでのセントラル・コンピューティング・システムに対応し、性能の拡張性を高めるように最適化され、自動車メーカーは自社の車種に適した性能ポイントを柔軟に選択できるという。

 この機能により自動車メーカーは、「没入型のハイエンドグラフィックスを備えた統合インストルメントクラスター」「インフォテインメントおよびゲーム用ディスプレイ」「リアシートエンターテインメントスクリーン」などとプレミアムオーディオを同時に使用できるなど、ハードウェアとソフトウェアの共同設計を活用することでコクピットにおける複雑なユースケースを可能とした。

 またFlex SoCは、次世代のソフトウェア定義車両(SDV)ソリューションを強化する理想的な車載中央演算プラットフォームとして設計され、クラス最高の高性能で異種混在型の安全な演算と、柔軟で重要なクラウドネイティブワークロードを実行する能力を備えているという。さらに車載用コンピュータは、コンテナ化されたインフラストラクチャに展開可能な豊富なプラットフォームソフトウェアによって補完するとしている。

 そのほかにも、クラウド開発運用(DevOps)および機械学習運用(MLOps)インフラの一部として統合可能な仮想プラットフォームシミュレーションのサポートを含む、クラウドネイティブな自動車ソフトウェア開発ワークフローとして利用可能。

 なお、Snapdragon Ride Flex SoCは、2024年からの生産開始を目指していて、現在サンプリング中とのこと。

 クアルコムテクノロジーズのオートモーティブ部門シニア・バイス・プレジデント兼GMのNakul Duggal氏は、「当社は車載コンピューティングイノベーションの最前線であり続け、ソフトウェア定義車両の時代を迎え、Snapdragon Ride Flex SoCファミリーは、高性能で電力最適化が行なわれたmixed-criticalityアーキテクチャの新しい設定点を定義しています。また、ハードウェア、ソフトウェア、ADAS/ADなどの統合により、自動車メーカーやティア1がすべての車両層で統合されたオープンかつ拡張可能なアーキテクチャへの移行をより簡単に、コスト効率よく行なえるようにするとともに、エコシステムが当社のプラットフォームで差別化し、市場投入までの期間を短縮できるようにします」と述べている。