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フォルクスワーゲン、2022年の財務結果発表 “手ごろな価格”の新型EV「ID.2」コンセプトを3月15日ワールドプレミア

2023年3月15日(現地時間)開催

フォルクスワーゲン最高経営責任者(CEO)のトーマス・シェーファー氏

 独フォルクスワーゲンは3月15日(現地時間)、オンラインで2022年の財務結果を発表するプレゼンテーションを実施。フォルクスワーゲン最高経営責任者(CEO)のトーマス・シェーファー氏、フォルクスワーゲン最高財務責任者(CFO)のパトリック・アンドレアス・マイアー氏の2名が説明を行なった。

 フォルクスワーゲン乗用車ブランドとしては、効果的な販売管理と厳密なコストの最適化により、堅調な財務結果を達成。厳しい経済状況と不安定な地政学的環境にもかかわらず、特別項目計上前営業利益は26億ユーロに、営業利益率は3.6%にそれぞれ増加した(2021会計年度は22億ユーロ/3.2%)。

フォルクスワーゲン最高財務責任者(CFO)のパトリック・アンドレアス・マイアー氏
営業利益率は3.6%に増加

 フォルクスワーゲンでは2030年までにヨーロッパにおけるBEV(バッテリ電気自動車)のシェアが約80%になると予想しており、早ければ2026年までに10車種の新しいBEVを発売する予定。その中には、3月15日にワールドプレミアされる「ID.2 all study」も含まれる。ID.2の市販モデルについては2万5000ユーロ未満の価格帯に設定されるという。また、10車種のうち4車種は第2世代の「ID.3」、スポーティな「ID.3 GTX」、ロングホイールベースの「ID.Buzz」、フラグシップセダンの「ID.7」とされており、この4車種は間もなくの登場が予告されている。

2023年に登場するモデル群
「ID.2 all study」を3月15日にワールドプレミア
第2世代の「ID.3」
フラグシップセダンの「ID.7」はニューヨーク、ベルリン、上海で披露

 そのBEVについて、2022年のフォルクスワーゲンは全世界におけるBEVの販売台数を前年比23.6%増となる約33万台に増加することに成功。2030年までにヨーロッパで販売される車両の10台に8台がBEVになると予想しており、BEVのシェアは北米でも同様に増加し、2030年までに55%に引き上げることを目標としている。

 また、フォルクスワーゲンの生産体制の変革も急速に進んでおり、ドイツのエムデン工場は2023年夏から完全なBEVの生産工場に改装され、ID.4に加えてID.7を生産。2023年秋からは新世代のID.3がウォルフスブルク工場からラインオフされる。

 一方、内燃エンジン搭載モデルについては個々の地域の需要に合わせて2023年に発売される予定。その一例として北米における「Atlas」の新バージョン、ブラジルにおける「Virtus」、そして「ティグアン」「パサート」が挙げられた。

「Atlas」の新バージョン

 プレゼンテーションにおいて、トーマス・シェーファーCEOは「ご存知のとおり、2022年もまた非常に困難な年でした。パンデミックと部品不足により、1年以上続いているウクライナに対するロシアの恐ろしい侵略戦争と同様に私たちは頭を悩ませました。これらすべての要因が極度の供給不足につながり、通常よりもはるかに少ない車両を販売することになりました。それにもかかわらず、フォルクスワーゲンチームは思っていたよりもはるかに多くのことを達成しました」と振り返るとともに、BEV専用プラットフォーム「MEB」を「MEB+」にアップグレードしたことを報告。MEB+に進化したことについては、充電時間の短縮、新しいユニットセルによる航続距離の延長、性能の向上、運転支援機能の大幅な向上を意味するという。

 また、決算に関連する中国を除く世界販売台数は223万6000台で、前年より6万2000台減少。これについては主にウクライナでの戦争、部品不足、物流状況が販売量にマイナスの影響を与えたとしている。

 他方、前向きな進展もあったとし、「北米と南米の地域で営業利益を伸ばすことができました。明確な計画、適切な製品、熟練したチームが現場にいることで好転を遂げました」と振り返った。

 また、トリック・アンドレアス・マイアーCFOは「サプライチェーンの状況は年内に安定すると、慎重ながらも楽観的な予測を立てています。私たちは、断固たる決意とともにコストポジションの改善に取り組んでいます」とする一方で、「サプライチェーン、物価、エネルギー価格、地政学的状況に関して、今年も非常に厳しい環境が続くと予想しています。経済の不確実性とコスト圧力の高まりにより、フォルクスワーゲンブランドは2023年の業績予想を修正し、特別項目計上前営業利益率は4%を超える」と予想した。

2023年度の特別項目計上前営業利益率は4%を超えると予想