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トヨタ、WRC第4戦クロアチアでエバンス選手が優勝 表彰式でアイルランド国旗を示しクレイグ・ブリーン氏を追悼

2023年4月24日 発表

表彰式では、同大会前に事故死したクレイグ・ブリーン氏の祖国アイルランド国旗によって追悼の意を示した

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は4月23日(現地時間)、WRC(2023年FIA世界ラリー選手権)第4戦クロアチア・ラリーで、33号車「GR YARIS Rally1 HYBRID」のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が優勝したと発表した。なお、同大会表彰式では、優勝したエバンス選手とマーティン選手が大会前に事故死したクレイグ・ブリーン氏の祖国アイルランド国旗を手にし、ブリーン氏に対する追悼の意が示された。

 優勝したエバンス選手は、デイ2で首位になり、総合2位のヒョンデのオィット・タナック選手に対し十分なリードを築いた最終日デイ3では確実性の高い走行を実施。最終的にはタナック選手に27秒差をつけて、2021年のラリー・フィンランド以来となる優勝を果たした。エバンス選手にとってはWRC通算6勝目、TGR-WRTに加入後5回目の優勝となった。

 TGR-WRTでは、そのほか69号車のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が総合4位、17号車のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組が総合5位でフィニッシュした。また、TGR WRCチャレンジプログラムにより、4台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場した18号車の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、総合6位でラリーを終えた。

 同大会の結果、ドライバー選手権では、TGR-WRTのオジエ選手と今大会優勝のエバンス選手が同ポイントでトップに並び、ロバンペラ選手は1ポイント差の3位につけた。また、マニュファクチャラー選手権で、TGR-WRTは29ポイント差で首位を守った。

33号車のエルフィン・エバンス選手、スコット・マーティン選手

 なお、ヒョンデから参戦していたクレイグ・ブリーン氏が同大会前に事故により逝去。優勝したエバンス選手とマーティン選手はブリーン氏の祖国アイルランド国旗を手にし、表彰台に立ったラリー参加者たちとともに、今回の結果をブリーン氏に捧げた。TGR-WRTとしても、通常マニュファクチャラー選手権は1チームにつき3人をポイント獲得対象ドライバーとして登録することができるが、今大会ではブリーン氏が所属していたヒョンデチームとの連帯の意味も込めて、ロバンペラ選手とオジエ選手の2人のみが登録された。

 チームの優勝に対するTGR-WRT会長の豊田章男氏からのコメントの中にも、ブリーン氏に対する追悼の意も示された。以下は豊田氏のコメント全文となる。

TGR-WRT会長の豊田章男氏のコメント全文

 先日、われわれの強力なライバルであり大切な仲間でもあったドライバーを失いました。亡くなったクレイグ・ブリーン選手、そのご家族、チームの皆様に哀悼の意を表します。

 今大会は、全てのラリー仲間たちがブリーン選手のことを想いながら走っていたように感じます。そのような大会で、ブリーン選手のかつてのコ・ドライバーであったスコットが、表彰台の一番高いところに立てたこと、良かったと思います。スコットおめでとう。

 エルフィンも、スコットの笑顔をブリーン選手に見せてあげてくれてありがとう。そして、エルフィン自身は、久しぶりの優勝!本当におめでとう!2021年のフィンランド以来の優勝です。ずっと苦しんでいたエルフィンの最後の1ピースが、ようやくはまったのだと思います。エルフィンの笑顔、最高でした。

 ブリーン選手は「運転を楽しむことの大切さ」について、よく話されていたそうです。今回のエルフィンは、きっと心から運転を楽しめていたから、あの笑顔だったのだと思います。ラリーが好きで、運転を楽しもうとするわれわれにとって、今回の事故は、本当にショックで痛ましい出来事でした。今後、こんな悲しいことが起きぬよう、やれる限りの対策を、われわれは必死に考えて実行していかなければならないと思います。

 走るクルマの音や匂いや迫力、ドライバーたちのドラマ…、ラリーは本当に人々の心を動かすスポーツだと思っています。そんな感動を、これからもモータースポーツの現場からお届けしていきたい。そのためにもわれわれは、もっといいクルマづくりを続けてまいりたいと思います。

カッレ・ロバンペラ選手、セバスチャン・オジエ選手
エルフィン・エバンス、スコット・マーティン組の33号車