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ホンダ、三部敏宏社長が2026年からのF1復帰を発表 アストンマーティン・アラムコ・ホンダとしてチャンピオンを目指す

本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏

 本田技研工業は5月24日、2026年シーズンよりF1に正式復帰することを発表した。本田技研工業 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏は、モータースポーツ参戦の目的を「技術と人を育てる」ことと説明。モータースポーツに参戦することで、高性能でユニークな製品を提供してきたという。

 再びチャレンジする大きな理由として、2026年からF1の燃料が100%のカーボンニュートラル燃料になること、エンジンとモーターの馬力割合が変更され50%ずつになることを挙げた。その例として、現在パワーユニットが1000馬力とするならば、エンジンが800馬力、200馬力になるという。これが2026年からはモーターとエンジンが500馬力ずつになるため、大電力の電池など技術開発の余地も大きいとした。

 パワーユニットの供給先はアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チームで、アストンマーティン・アラムコ・ホンダとしてチャンピオンを目指すと語った。

四輪モータースポーツ活動に関する記者会見
左からHRC(ホンダ・レーシング)代表取締役社長 渡辺康治氏、本田技研工業 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チーム 会長 ローレンス・ストロール氏、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ グループCEO マーティン・ウィットマーシュ氏

 会見と同時に、本田技研工業 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏、Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Team会長 ローレンス・ストロール氏、株式会社ホンダ・レーシング 代表取締役社長 渡辺康治氏、Aston Martin Performance Technologies Group CEO マーティン・ウィットマーシュ氏のコメントが発表されたので,以下に掲載する。

本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏のコメント

 F1が、Hondaの目指すカーボンニュートラルの方向性と合致する、サステナブルな存在となり、私たちの電動化技術を促進するプラットフォームになること。これが、Hondaとして再びF1にチャレンジする大きな理由の一つとなりました。

 Hondaは世界のレースに挑戦し、勝利することで成長してきた企業です。2026年からの新レギュレーションでは、小型・軽量・高出力のモーターや、大電力を扱える高性能バッテリーとそのマネジメント技術が勝利への鍵となりますが、ここから得られる技術やノウハウは、電動フラッグシップスポーツを始め、これからの量産電動車の競争力に直結する可能性を秘めています。さらに、現在研究開発を進めているeVTOLなど、さまざまな分野にも生かすことができると考えます。

 新たなパートナーとなるAston Martin Aramco Cognizant Formula One Teamとは、勝利への真摯な姿勢と情熱で大いに共感し、Aston Martin Aramco Hondaとして、2026年からともにチャンピオンを目指すことになりました。

 地球環境の保全とレース活動が共存できるよう、チャレンジングな新レギュレーション導入の英断を下されたFIA、また、F1のブランド価値を高め、発展させてきたFormula One Groupには大きな敬意を表します。

Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Team会長 ローレンス・ストロール氏のコメント

 Aston Martin Aramco Cognizant Formula One TeamはHondaとHRCを歓迎します。私たちは、レースでの勝利に向けた熱意と決心、そして飽くなき野心を互いに共有しています。Hondaは世界的な企業であり、長年にわたるモータースポーツにおける成功は、信じられないほど素晴らしいものです。2026年からともにエキサイティングな未来に乗り出すにあたり、三部氏、渡辺氏、そしてHRCのチーム全員に感謝したいと思います。

株式会社ホンダ・レーシング 代表取締役社長 渡辺康治氏のコメント

 カーボンニュートラル社会への移行という大きな環境変化を迎える中、将来にわたってモータースポーツがHondaの強みであり続けるために最適な体制を考え抜いた答えが、HRCです。持続的なレース体制を構築し、世界中のモータースポーツファンへ夢と感動をお届けしていきます。

Aston Martin Performance Technologies Group CEO マーティン・ウィットマーシュ氏のコメント

 私は、キャリアの中で長年Hondaと仕事をする機会に恵まれてきました。2026年からHRCとAston Martin Aramco Cognizant Formula One Teamがパートナーを組むことを大変嬉しく思います。Aston MartinのF1における野心的な計画にとって、Hondaとのワークスパートナーシップはジグソーパズルの最後のピースの1つです。2026年のF1パワーユニットに関する新しいレギュレーションは、非常に大きく重要な変化ですが、私たちはともに乗り越え、成功することができると確信しています。戦略的パートナーであるAramcoも含め、共通の目標に向かってオープンなコラボレーションができることを楽しみにしています。最後に、今後数シーズンにわたって提携を続ける現在のパワーユニットサプライヤーに敬意を表したいと思います。

Hondaの主なF1活動

1964年~1968年
エンジン・車体を含めたオールHondaとして参戦

1965年
メキシコGPで初優勝

1983年~1992年
エンジンサプライヤーとして参戦

1986年にWilliams Hondaとしてコンストラクターズタイトルを獲得、

1987年にはドライバーズチャンピオンとコンストラクターズチャンピオンのダブルタイトル獲得

1988年から1991年まで、McLaren Hondaとして4年連続でドライバーズチャンピオンとコンストラクターズチャンピオンのダブルタイトル獲得

2000年~2005年
B・A・R Hondaとしてエンジン供給と車体の共同開発による参戦

2006年~2008年
エンジン・車体を含めたオールHondaとして参戦

2015年~2017年
パワーユニットサプライヤーとして参戦。McLarenにパワーユニットを供給

2018年
Scuderia Toro Rosso(現Scuderia Alpha Tauri)にパワーユニット供給を開始

2019年
Red Bull Racingにパワーユニット供給を開始

2021年
Red Bull Racingのマックス・フェルスタッペン選手がドライバーズチャンピオン獲得F1参戦を終了

2022年
Red Bull PowertrainsへHRCが技術支援を開始 Red Bull Racingとマックス・フェルスタッペン選手がコンストラクターズチャンピオンとドライバーズチャンピオンのダブルタイトル獲得

Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Teamの概要

所在地:英国ノーサンプトンシャー州シルバーストーン(Silverstone, Northamptonshire, United Kingdom)
代表:マイク・クラック(Mike Krack)
初参戦:2021年