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クボタ、産業用エンジン「WG3800」ベースの水素エンジン国内初公開

2023年5月25日 実施

クボタ 3.8リッター水素エンジン

 クボタは5月24日、幕張メッセで開催中の「第5回 建設・測量生産性向上展 CSPI-EXPO(Construction&Survey Productivity improvement EXPO)」において、産業用水素エンジンを国内初公開した。同エンジンはクボタのエンジン部門であるエンジン事業部が研究・開発を進めているもので、まずは屋外用発電機などを手がけるデンヨーにより「水素専焼発電機」として2025年以降に市場投入予定となっている。

 クボタのエンジン事業は1922年に「農工用水冷横形石油発動機A形」をリリースしたのがはじまりで、現在はガソリンはもちろんディーゼル、ガスなどに対応したモデルを生産。発電機や建設機械、耕運機やトラクターといった農業機械など幅広い分野で採用されており、累計3000万台以上を生産している。

クボタエンジンジャパンブース
エンジン事業のトピックス

 今回の水素エンジンは脱炭素社会を実現するために産業用エンジンでもカーボンニュートラルの実現を目指したもので、2015年に発売された直列4気筒3.8リッターの産業用エンジン「WG3800」がベース。腰下部分はそのままにインジェクターやデリバリーパイプといった燃料まわりが水素向けにアレンジされている。WG3800のバリエーションにはガソリンだけでなくLPGやNG(Natural Gas/天然ガス)を燃料とするモデルもラインアップされていることから、同じ気体系燃料である水素とのマッチングは比較的容易だったという。また、エンジンそのもののサイズはこれまでのモデルと変わらないことから、実際の現場での置き換えも比較的スムーズにいくのではないかとのこと。

株式会社クボタ エグゼクティブオフィサー エンジン事業部長 種田敏行氏(右)と株式会社クボタエンジンジャパン 代表取締役社長 中畑聰史氏

 クボタ エグゼクティブオフィサー エンジン事業部長 種田敏行氏は、エンジンのメリットは「安全で安価で使いやすく耐久性があり、いつでも、どこでも、誰でも簡単に動力が取り出せる機械」であることから、「エンジンのカタチをしたまま、どうやってカーボンフットプリントを減らしていけるか」がエンジンメーカーとしての命題であると前置き。その実現のために「既存エンジンの高効率化(ピュアエンジンソリューション)」「ハイブリッド化(ハイブリッドソリューション)」に加え、「水素や合成(カーボンニュートラル)、バイオ燃料の使用(フューエルソリューション)」と3パターンの方向性があるとしつつ、今回の水素エンジンはその一環だと説明した。

3.8リッター水素エンジン
下部はベースエンジンを流用。燃料や吸気側が水素用にアレンジされているほかターボチャージャーも装着されている。スペックなど詳細は未公表
直列3気筒1.1リッターディーゼルエンジン「D1105-K」。新燃焼方式「TVCR」と独自の電子制御システムにより約5%の燃費改善を実現。定格出力は18.5kW(24.8HP)/3000rpm
直列3気筒0.9リッターディーゼルエンジン「D902-K」。こちらも従来機と比較して約5%の燃費改善を実現している。定格出力は18.5kW(24.8HP)/3600rpm
直列3気筒1.8リッターディーゼルハイブリッドエンジン「D1803 P1」。高負荷時にモータージェネレーターにより10kWのアシストを行う。定格出力は37.0kW(49.6HP)/2700rpm
モータージェネレーターはフライホイールハウジング内に配置される
直列4気筒5.0リッター直噴ディーゼルエンジン「V5009-TIE5」。排出ガスの後処理はDPFとSCRの組み合わせ。定格出力は157.3kW(210.9HP)/2200rpm
クボタ建機ブース
欧州市場向け電動ミニバックホー(参考出品)。120分の充電で約4時間の稼働を実現
充電コネクタはCHAdeMOを採用
屋外でのデモンストレーションの様子
屋外では車両やバケットの状態をタブレットで確認できるシステムを実演。地形データを使用することで熟練者以外でも効率的が可能
水に関する社会基盤整備事業を手がけるクボタ建設のブース
道路などのトンネル工事でお馴染みのシールドマシンの小型版(の模型)。口径は1~2m程度に対応し掘進速度は7m/1日ほど

【お詫びと訂正】記事初出時、部門名の一部表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。