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アイシン、ヤシ殻からキュポラ向けバイオ燃料を開発 2025年自社工場で使用開始予定

2023年8月28日 発表

バイオ成型炭の元となるヤシ殻

 アイシンは8月28日、2050年カーボンニュートラルへの挑戦に向けてグループ会社であるアイシン高丘が、鋳鉄部品の溶解工程でキュポラ(鋳鉄鋳物を製造するための直立する鋳鉄溶解炉)の燃料に使用している石炭由来のコークス(石炭を蒸し焼きにして炭素部分だけを残した燃料)を、ヤシ殻で製造したバイオ成型炭へ燃料置換する取り組みを本格化すると発表した。

 アイシン高丘では約21万tのCO2を排出しているが、鋳鉄を溶解する工程からの排出が約60%を占め、カーボンニュートラルに向けた技術革新が必須となるなか、石炭由来のコークスを燃料としているキュポラへの対応が急務となっているほか、キュポラの燃料となるコークスは、使用時のみでなく、原料炭採掘、生成過程でもCO2を排出、またその生産量が減少傾向にあり、将来的な安定調達にも懸念があったという。

バイオ成型炭

 そこで、これらの対応策の1つとして、他エネルギーへの置換の検討を開始し、食品廃棄物のヤシ殻で製造したバイオ成型炭を開発。キュポラ操業への影響ならびに製品への影響について実証評価を繰り返し行なった結果、石炭由来コークスの代替燃料として置換できることを確認。今回の実証では、冷間強度や発熱量、熱間反応性などの特性や製造条件をはじめとする技術データを蓄積し、キュポラ用途に適したバイオ成型炭の実用化を目指すとしている。

 バイオ成型炭の開発は、コークスを使用するキュポラ溶解の課題であるCO2排出量削減はもちろん、廃棄物として捨てられているヤシ殻を有効活用することによって廃棄物の発生量を減らすことができ、環境対策効果が期待できるという。

 現在は置換率50%の実証評価まで完了していて、2025年度中の量産開始を予定。今後連続操業を繰り返しながら、さらなる置換率向上を目指すとしている。

キュポラ溶解設備