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AMD、車載半導体ソリューションを展示 組み込みRyzenとFPGAのVersal

組み込みRyzenとVCK190を利用した車載エクスペリエンスのデモ

AMDの車載半導体

 AMDのAECG(Adaptive and Embedded Computing Group、アダプティブ・組込コンピューティング事業部)は9月26日、「AMD Adaptive, Embedded and AI Tech Day」を開催した。この中でAMDは、AMD Ryzen 組み込みプロセッサ(以下、組み込みRyzen)とAMD Versal FPGAを搭載した「VCK190」を組み合わせたソリューションの展示を行ない、組み込みRyzenがメーターパネルやIVIのユーザーインターフェースの表示を行ないながら、VCK190側が画像認識を応用して複数のカメラによる360度サラウンドビューのADAS機能を実現するデモを行なった。

 また、同社の産業用の開発ソリューションとなる「Kria SOM」の最新製品となる「Kria K24 SOM」に関する説明を行ない、ロボットの制御やEV充電器などさまざまな組み込み用途に活用できるとアピールした。

組み込みRyzenとVersalを搭載したVCK190で、グラフィカルなメーター・IVIとADASを実現するデモ

AMDがAMD Adaptive, Embedded and AI Tech Dayで行なった車載システムのデモ

 AMDのAECGは、もともとはAMDが買収したFPGAメーカー「Xillinx」がベースになっているAMDの一部門で、Xillinx由来のFPGA(Field-Programmable Gate Array)と、もともとのAMD由来のCPU「Ryzen」、GPU「Radeon」などのCPU/GPU製品の組み込み向け(PCやスマートフォンなどの民生機ではなく、自動車やロボット、サイネージといった機器に採用されること)の製品を自動車メーカーやロボットメーカー、医療機器メーカーなどに提供する事業を行なっている。

 そうしたAMD AECGは、9月26日に東京において「AMD Adaptive, Embedded and AI Tech Day」と銘打ったイベントを行ない、同社の事業戦略などに関して顧客に説明を行なうとともに、展示会でデモを行なった。

組み込みRyzenを搭載した開発ボード
Versalを搭載したVCK190
車両に見立てたカメラモジュール。4方向を撮影している

 展示会には自動車関連のソリューションも含まれており、AMDがPC向けに提供しているGPU一体型CPUとなる組み込みRyzenと、SoCのVersalを採用した開発ボードVCK190を利用した「車載エクスペリエンス」の展示を行なった。

車両周辺360度サラウンドモニタを実現
実映像

 今回の展示ではメーターやIVI(車載情報システム)のユーザーインターフェースなどの描画は組み込みRyzen側で行なわれる。組み込みRyzenは、PCにも採用されるような強力なCPUとGPUを持っているため、そうした機能を1チップで実現することが可能だという。

 また、VCK190というAMDのSoCであるVersalを搭載したボードでは、Versalに内蔵されているCPU、GPU、FPGA、そしてNPUなどの各種プロセッサを利用して画像認識の機能が実現されている。デモでは前後左右の4つのカメラを利用して、360度サラウンドビューの機能が実現され、それをIVIの画面に表示するデモが行なわれていた。

Kria K24 SOMの説明とデモ展示

AMD AECG インダストリアル、ビジョン、ヘルスケア、サイエンス担当 マーケティング戦略マネージャー KV・タンジャウール・バスカー氏

 AMD AECG インダストリアル、ビジョン、ヘルスケア、サイエンス担当 マーケティング戦略マネージャー KV・タンジャウール・バスカー氏は、同社が先日発表したKria(クリア)というブランド名が付けられたSOM(System on Module)の最新製品となる「Kria K24 SOM」に関する説明を行なった。

Kriaシリーズはシステムボード、モジュールと複数のレベルで提供されている
搭載されているのはZynq UltraScale+MPSoC
ターゲット市場
価格など

 バスカー氏によればKriaは、AMDのZynq UltraScale+MPSoCを搭載したSOMとして提供され、ソフトウエアを開発して、実際に製品として提供することも考えられているという。これまでAMDはKria K26 SOMを提供してきたが、今回新たにより小型のボードを実現可能なKria K24 SOMを発表した。K26とK24はコネクタ部分が共通になっており、K26で開発してきたものを、より小型のK24に切り替えて利用するなどの使い方が可能。

左がKria K26 SOM、右がKria K24 SOM
沖電気のKria K24 SOMの後出しじゃんけんマシン。Kria K24 SOMで作られている

 AMDによれば、例えばモーターの制御、EV充電器の制御などの活用方法が考えられるほか、AI画像認識などへの応用が考えられるという。実際、イベントの展示スペースでは沖電気のじゃんけんAI(人間が出したじゃんけんに応じてロボットが勝てるじゃんけんを後出しするというシンプルなAI)などがKria K24 SOMベースでデモされるなどの様子が公開された。