ニュース

パイオニアの“会話するドライビングパートナー”「NP1」を付けてみた

第3回:5回目の大幅アップデートでNP1は1つの完成形を迎えた!

声で操作して、声で案内をするカーナビであり、クラウド連携の録画機能を持つドライブレコーダーでもあるパイオニア「NP1」。発売当初は新しいものが好きなユーザーの利用が多かったが、アップデート重ねるうちに「誰もが使いやすい車載器」になった。そして今回の大型アップデートによってさらに使える機器になった

 通信型カーナビゲーションと通信型ドライブレコーダーが一体になった次世代車載器の「NP1」。従来の車載器のように本体内部に各種データを持つのではなくて、クラウド内に用意された各種サービスを通信によって利用する方法を取っているので、車載器に内蔵するデータとは比べものにならないくらい大きなデータが扱えるし、スマホのアプリなどと同じように、大元のデータのアップデートを行なうことでインターネットでつながるすべての車載器に新しい機能が追加できる。そのためNP1は「購入後にやれることが増えていく」という特徴も持っている。

 そしてパイオニアではその特徴を生かすため、適時行なう小規模アップデートとともに定期的に大型アップデートを行なっているが、2023年10月10日に通算5回目となるアップデートがOTA(OTA:Over The Air)で実施された。

NP1に5回目になる大幅アップデートが行なわれたので、実機でその内容を体感。今回のアップデートはとても魅力的なものだった

 さて、今回のOTAはNP1ユーザーの多くが実装を待ちわびていたであろう機能の追加だ。そこで本稿ではNP1ユーザーである筆者の感想を含めて紹介していこう。まずは声による検索の機能向上だ。

 これまで声による行き先検索では施設名を話しかけて行なっていたが、施設名での登録がなかったりすると(会社名と店名が違うなども)声での検索ができなかった。そんなときはスマホアプリの「My NP1」で住所や電話番号検索に切り替えていたのだが、今回のOTAから住所や電話番号を読み上げることで、NP1らしく「声での検索」ができるようになったのだ。

 筆者も声での施設名検索が通らずアプリに住所を入力したこともあった。でも、NP1は走行中でも行き先の設定ができるところに大きなメリットを感じていたので、「打ち込み」することに不便さを感じていたが、そんな状況も今回のアップデートで解決である。

施設名だけでなく、住所や電話番号をNP1に話しかけることで目的地検索ができるようになった。声を拾う性能が大幅に向上したのだろう。車載器側のマイクなどはそのままにそうした精度を高める技術はすごい

 声での検索がしやすくなったことで、大抵の目的地が走行しながら検索できると思うが、とくに早朝に出発するときなど、近所への配慮から乗り込んだらすぐに発進したほうがいいので、声による検索機能が強化されたことは実際の使い勝手として大幅向上したと言える。

 また、走行中の声での検索機能は目的地までの途中にある立ち寄り地を設定するときにも便利なので、そんなときでも声で検索できる幅が広がったのは大いに歓迎すべき点だ。

Apple CarPlayとAndroid Autoに対応したのもトピック。こちらは後述する。行き先の設定をしたあとでもう一度行き先を指示すると「目的地にしますか、立ち寄り地にしますか」と聞いてくる。行き先変更をしたいなら「目的地」と言えばいいし、立ち寄りしたいなら「立ち寄り地」と答えればOK

Apple CarPlayとAndroid Autoに対応

 今回のアップデートではもう1つ、ナビゲーションに関連するアップデートが行なわれた。それがスマホアプリ「My NP1」がApple CarPlayとAndroid Autoに対応したことだ。

 これにより車載のApple CarPlayとAndroid Autoに対応したカーナビゲーション機器やディスプレイオーディオに、My NP1で表示していた地図や操作画面を大画面に映し出すことが可能になった。

車載ナビの画面にMy NP1の地図を表示できるようになった

 NP1は声による案内だけで分かりやすいナビができるのが特徴なので、基本的に地図はなくても困らないものだ。

 でも、使う人によっては声の案内とあわせて地図も確認したいという意見もあるだろうし、状況によっては目的地の周辺になにがあるかを知りたいときもある。例えば高速道路のインターチェンジや鉄道の駅、買い物ができる施設などで、そういった場合の確認には地図が必要だ。

 そこでNP1ではスマホアプリのMy NP1に地図を表示できるようになっていたのだが、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応したことで、My NP1の地図が車載ナビの大きな画面で見られるようになった。しかも、表示される地図は大きくなった画面にあわせてパイオニアの車載ナビと同様のデザインなので、スマホ画面のときと比べて見やすさは格段に向上している。

スマホと並べるとやはり画面の大きさは段違い
高速道路の案内も見やすい

 また、ナビとして使用しなくなった純正ナビは、乗り続けているクルマが「古くなってきた」ように感じられるものになっていたのだが、モニターだけでも再び現役として活用できるようになるのは、気持ちが晴れるような感じがすることでもあった。

My NP1の設定も大きな画面でできる
文字入力はスマホでも行なえる。フリック操作が使えるのでナビ画面に打つより早い
Apple CarPlayとAndroid Autoのアプリの切り替えも車載ナビの画面で操作可能

取り締まりの情報も教えてくれるようになった

 機能を追加していくことのできるNP1なので、日ごろからユーザーの声を集めてそれを開発のヒントとしている。その一環として、パイオニアが行なった「車載器の音声案内に関する調査」において実装希望の声が高かった、オービス設置箇所のお知らせと交通取り締まり情報の通知機能が追加された。

My NP1アプリのトップ画面に「取り締まり通知」と「オービスナビ」が追加された
取り締まり通知のアイコンをタップ。機能のON/OFFと通知内容がある
オービスナビのアイコンをタップ

 交通取締情報の通知は警視庁が事前公開している取り締まり情報を元に、走行エリアで行なわれている取り締まりの情報を声で通知してくれるものだ。内容としては交差点などの監視があるような情報が多いが、注意喚起として捉えるとこの通知がより有効なものになるだろう。

 また、取り締まりエリアが近くにあってもそれが進行方向でない場合は通知しないので、通知があったら注意というような分かりやすさもあるものだ。

動作を体験するため首都高を走行。左側に青色の速度取り締まりの警告看板が見えるあたりから「速度に注意」という発話があった
カメラの設置箇所が近づくと「オービスが近くにあります」という発話に変わる

リア用ドライブレコーダーが登場

 NP1の車載器には室内用のカメラがあるので、リアウィンドウ越しに後方の映像も撮れていたが、やはり「リア用ドライブレコーダーがほしい」という声が多かったという。そこでラインアップの追加されたのが「NP1リア用ドライブレコーダー」だ。

「NP1リア用ドライブレコーダー」。パイオニア公式オンラインショップでの価格は9900円

 リア用ドライブレコーダーの本体サイズは95×30×35mm(幅×高さ×奥行き)で重量は70g。記録媒体はmicroSDHC/microSDXCカードclass10(16GB~128GB)。撮影素子は約200万画素(車載用高感度CMOS)で明るさを示すF値はF2.1。画像補正にはWDR機能を使う。機能としてはGPSを搭載し、Gセンサーは3軸式で3段階のレベル設定およびOFFも可能。Wi-Fiも搭載していて、スマホに入れた「リアアシスト」というアプリと通信をする。

 映像は記録媒体に記録されるほか、アプリの設定によりスマホにも記録ができるようになるので、映像をすぐに見たいときなどは設定をONにしておく。なお、録画ファイルのサイズは1分、3分、5分と3つのうちから選べるので、ファイルが大きすぎると困る場合でも対応が可能だ。

レンズの画角は105度。角度は3段階で調整が可能
1段階下に向けた状態
最も下に向けた状態
取り付けは電源コード1本を引いてくるだけなので、DIYに慣れている人なら自分で付けることも可能。取り付けに自信がない場合はNP1本体と同じように「出張取付」が利用できる。こちらはパイオニア公式ショップ(Amazonを含む)からのみ利用できる

2024年1月9日までおどろきのキャンペーン開催

 5回目のアップデートで使い勝手がこれまで以上によくなっただけに、NP1に興味があっても購入をためらっていた人も「もう買い」の時期になったと思う。

 そんなタイミングにあわせてパイオニアは「NP1ダブルキャンペーン」を開催。内容はNP1本体と通信・サービス利用料1年分付きの「ベーシックプラン」の価格が3万9800円(通常価格は6万5780円)となり、さらに12月15日までに装着してアクティベートを済ませるとLINEポイントが3000ポイントもらえるという内容だ。

 なお、このキャンペーンによってユーザーの満足度が高い(と筆者は感じている)NP1が多くに人に広まると、今度はより多くの「ユーザーの声」が集まるようになる。するとそれを元にアップデートが行なわれ、さらにいいものに育ってくれるので、現ユーザーとしてもこうしたキャンペーンは歓迎である。

2024年1月8日の10時までの期間限定で開催している「NP1ダブルキャンペーン」。通常で6万5780円が3万9800円になり、2023年12月15日までに利用可能な状態にするともれなくLINEポイントが3000ポイントもらえる。なお、通信とサービス利用料3年分が付く「バリュープラン」は通常9万3500円のところ6万7520円になる
声での検索の幅が広がり、案内がより分かりやすくなったNP1。カーナビゲーションとしては1つの完成形と言えるレベルかも、そんな印象を受けたのが今回のアップデートだった。なお、筆者のクルマにはリア用ドライブレコーダーがまだ付いていないが、これもなる早で付けたいものだ