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パイオニアの“会話するドライビングパートナー”「NP1」を付けてみた

第1回:出張取付けサービスで「N-VAN」に装着

パイオニアが発売するドライビングパートナー「NP1」を付けてみた

 筆者のクルマは2018年に購入した本田技研工業の「N-VAN」。気がつけば今年で5年となるけど調子はいいし、相変わらず便利で使えるクルマであるため乗り換える気はない。

 ただ、1つ気になっているのが新車時に装着したカーナビゲーションだ。純正ナビなのでクルマ側の機能の操作ができたりバックモニターになったり、Apple CarPlay対応だったり、HDMI端子もあってスマホ経由の動画がモニターに出せたりと便利なのだが、肝心の地図が少々古い。

 まあ有料アップデートをすればいいのだろうが、機種自体が古くなっていると、有料更新をする気にどうもならない。それに筆者の場合、行き先検索は音声で指示したいのだけど、据え置き型の機器と通信型のスマホアプリナビでは発話の認識率に明らかな差があるので、スマホナビに慣れてしまった今、使いにくさを感じてしまうのだ。そのままスマホアプリのナビにシフトしてもいいのだけど、長距離移動でスマホナビは不便に感じることもあるしと、いろいろと考えていたのであった。

 ちなみに今は新車の納車に時間がかかることから、高年式の中古車が売れているという話を聞いた。ウチのN-VANのように5年落ちくらいであれば走行支援機能や予防安全機能に現代のクルマとそれほど大きな差はないので、中古車を選んでも古さは感じにくいと思うが、カーナビについてはどうだろう。筆者と同じような不満を感じる人もいるのではないだろうか。

2018年式のホンダN-VAN +STYLE FUN。今年で5年目なのでカーナビも同様に5年経過。地図データの更新は無料の範囲で行なったが、機種自体が古くなると有料更新をする気にならないのが本音
カーナビ本体の交換を検討したが、モニター一体式は価格が高く手が出せない。現在使用している純正ナビも20万円くらいしたが、新車と同時に購入だったから買った(買えた)ようなもの。また、純正ナビにはクルマの他の機能との連携もあるので社外品が選びにくい

カーナビ付け替え希望派の物欲を刺激するNP1

 カーナビをどうするか、もんもんとしていたときに体験する機会を得たのがパイオニアの「NP1」。これは次世代通信型ドライブレコーダーやスマート音声ナビをはじめ、クルマWi-Fi、アプリ経由でのカーライフサポートなど複数の機能を持つので、「ドラレコ」とか「カーナビ」という呼び名ではない。パイオニアはNP1のことを「ドライビングパートナー」と名付けたが、これホントにいい呼び名だと思う。

 NP1はそのときの記事を含め、複数の記事でも紹介しているので本稿での機器の詳細説明は省略するが、実際に動作を体験してみたところ「便利そう」という感想と同時に「これは楽しい」という気持ちもわいたのだ。

 筆者のカーナビ使用法はそのものズバリの案内重視。映像や音の性能はそれほど必要としていない。それだけにカーナビは実用品という位置付けだった。ゆえに使っていて楽しいと感じたことはなかったが、NP1は楽しかったのだ。

 そんな流れから導入することにしたNP1、この機器に興味を持っている人は多いと思うので、オーナー目線でのNP1紹介記事を書いてみようと思う。

N-VANにパイオニアNP1を装着。この機種には興味を持っている人も多いと思うので、取り付け段階から使用感などをレポートする

NP1の購入について

 NP1はカー用品店やインターネットの各種ショッピングサイトなどで購入できるし、現在(2023年3月)は在庫もあるので欲しければすぐに手に入る状況だ。

 パイオニアの販売サイトでは通信+サービス利用料3年分付きの「バリュープラン」が総額9万3500円。通信+サービス利用料1年分付きの「ベーシックプラン」が6万5780円で用意されている(送料は全国一律550円)のだが、3年はちょっと長いと感じたので筆者はベーシックプランを選択した。

 なお、2023年5月7日までの期間で、パイオニア公式オンラインサイトおよびAmazon内のPioneerストアにてNP1を購入すると、全員に2万円のキャッシュバックがあるキャンペーンを開催している(期間内に購入していれば応募は6月6日までOK)ので、1年プラン付きであればNP1が4万円代で手に入る。これはお買い得だと思う。

パイオニアの販売サイト。通信+サービス利用料付きのプランで販売されている。この契約がない状態では常時録画のドラレコなどの機能しか使えないので、NP1は通信+サービス利用料付きで購入するのが前提。本体をほかで買った場合も通信+サービス利用料は込み
2023年5月7日までの期間でNP1を購入すると、2万円がキャッシュバックされるキャンペーンが開催中

 NP1をどこで買うかの選択は自由だが、この機器は購入したあとにクルマへの取り付けが必要になるので、購入時は「取り付け」のことも考えておきたい。

 パイオニアの公式サイトにはもっともベーシックな取り付け方法を紹介する動画が掲載されているので、まずはそれを参照。DIY経験がない人を含む多くのユーザーに向けた内容なので分かりやすく簡単だが、外から見える配線処理が気になるところ。できれば配線は見えないよう引きまわしたいのだ。

 そこで利用したいのが、パイオニア公式のオンラインショップで扱う「NP1出張取付け」サービスだ。筆者はDIYもするが、この出張取付けというものに興味があったので、今回はこちらに依頼してみることにした。

出張取付けサービスはパイオニア公式オンラインショップか、Amazonの「Pioneerストア」からの購入した場合のみ利用できるので注意してほしい
NP1が入った箱
裏側。特徴や主要機能が解説されている
付属品はこんな感じ。このほかに32GBのmicroSDHCカードとアダプターがセット
付属品が入っていた袋にも箱の底にも「microSDHCカードがない!」と思ったらこんなところに。購入した人は参考にしてください
NP1本体。上部がフロントウィンドウへの取り付け基台
グレーの部分がマイクとスピーカー。中心には会話時の動作状況を視覚的に表すライトバーがある。その横に室内/後方カメラ。約200万画素、1920×1080P(フルHD画質)。フレームレートは16.0fps(LED信号が消灯で記録されないよう調整)。画角は水平130°/垂直65°/対角159°
手動操作用のボタン類は車内取り付け方向で右側面手前に集めてある
こちら側が進行方向を向く。NP1のロゴの右側がフロントカメラ。約200万画素、1920×1080P(フルHD画質)。フレームレートは27.0fps(LED信号が消灯で記録されないよう調整)、画角は水平124°/垂直65°/対角151°
本体サイズは118×36×93mm(幅×高さ×奥行き)。重量は300g
フロントカメラ横のボディにケーブルコネクター部やmicroSDカード、simカードスロットがある。アクセスするにはコネクターカバーを外す
NP1には駐車中に受けた振動を感知して自動で録画を始める「駐車監視機能」がある。これを使うには常時電源を取るための駐車監視用電源ケーブルが必要なのでこちらも用意。価格は4400円

NP1の出張取付けサービスをお願いしてみた

 NP1の出張取付けサービスとは、字のごとく取り付け業者さんが自宅や契約している駐車場まで出張して取り付け作業をしてくれるのだが、いまどきはセキュリティの面からどんな人がくるのか気になる人も多いと思うので、まずはその点を紹介。

 パイオニアから直にNP1の出張取付けサービスを請け負っているのは、神奈川県横浜市にあるモービルテック。こちらはカーエレクトロニクス製品や各種デバイスの取り付けを手掛けるところで、以前からパイオニアの協力企業となっている。

 出張取付けサービスの実務はモービルテックの技術者が担当するのが基本だが、関東以外の都市圏や地方では、技術や信頼度のある提携先の技術者が担当するということだ。筆者は東京に住んでいるので横浜のモービルテックより技術者がきてくれた。

 さて、出張取付けというからにはきてもらう場所が「作業できる環境」であることがなにより重要だ。NP1取り付け作業はクルマのドアを開いた状態で行なうので、自宅に駐車場がある場合でも片側のドアがちゃんと開くスペースが必要。月極駐車場でも同様だ。ここで「家の前の道に路上駐車をして……」と考える人もいるだろうが、道交法に違反する行為は一切しない決まりになっているそうで、そういったケースでは作業を行なわない。

 また、管理者の許可を受けていない場所、例えば公園の駐車場、ショッピングモールの駐車場、コインパーキングなどでの作業も行なわない。つまり作業をするのは自宅駐車場や契約している駐車場のみとなる。

 そのほか、取り付けるクルマが違法改造車の場合は作業不可となるし、合法でもカスタマイズの仕様によっては取り付けできないこともあるという。

クルマのドアが全開にできるスペースが必要。技術者もクルマでくるので、その分の駐車スペースも用意しておくこと

 こうしたことは申込時に確認があるので事実をちゃんと伝えたい。もし、濁して伝えてきてもらっても、現状がNG事項に該当するのであれば作業はできないとなってしまう。これはお互いに時間のムダだし、気分的にもいいことはないので疑問や不安点があれば申込時にしっかり問い合わせしたい。

 ちなみによくある問い合わせとしては、すでに付いているドラレコの取り外しをお願いできるか? というのがあるが、これはシンプルな付け方であれば追加料金なしで対応してくれるので、同時にお願いしたいことがあれば申込時に相談してほしい。

 なお、出張取付けサービスに関しての注意事項はNP1の公式サイトにも掲載されているのでまずはここを参照してほしい。

作業前にボディに養生。大きな音が出る工具などは使用しないので周辺への騒音の心配はない
出張取付けサービスを利用した場合は電源が分岐して取れるアクセサリーソケットを使用。外から見えない場所にNP1の配線や電源プラグを配置してくれるのでスッキリ付く。これだけでも依頼する価値あるかも。ソケット代は最初の料金に含まれている
駐車監視用電源ケーブルを付ける場合は、NP1の電源もここから取ることになる。駐車監視用電源ケーブルはカーナビ配線の電源線に割り込ませるのでカーナビを外す
駐車監視用電源ケーブルの配線
これは本体。バッテリ電圧が下がると常時電源の供給を止める機能がある。設定はディップスイッチで行なう
最近のクルマの配線は径が細くなっているので、割り込みさせるときは断線させないよう注意が必要
配線に合ったサイズのタップを使用する
追加した配線はしまったあとにぐちゃぐちゃにならないようテープでキレイにまとめられる
タップが追加された部分にはテープでカバー。カーナビを戻した後にどこかに触れても音が出ないようにするため。配線処理と合わせて丁寧な作業だ
本体はバルクヘッド側に両面テープで固定。工場出荷時の電圧カット設定は11.6V(12V車)だが、バッテリが弱っているクルマだとバッテリ上がりを起こすかもしれないとのアドバイスから、12.2Vを下まわると常時電源の供給を止める設定とした
ナビ裏からの配線はダッシュボード裏を通り、さらにピラーカバー裏を取りまわす。内装を外す作業は力の入れ具合や「どこで留まっているか」の見極めも大事なので、DIYでは難易度が高い部類。古いクルマだとツメを折ることもあるので、配線を隠したいのならプロに作業を依頼することを勧める
NP1本体はフロントウィンドウの運転席側に。助手席側ピラーからの配線はルーフライナーウィンドウ側から内側に押し込んでいく
ここは押し込むだけなのでなんらかの要因で配線が落ちてこないよう、押し込む配線には「引っかかり」を作る目的でスポンジテープを巻いていた
NP1の基台はネジ位置の変更で本体位置の調整ができる
カメラ位置を決めるときはNP1の電源を入れてから、スマートフォンアプリの「My NP1」を立ち上げる
カメラ位置の設定を行なう
カメラ位置の確認はかなり細かく行なう
NP1のインカメラはこのように上下に動くので、フロントカメラ位置を決めた後はインカメラを動かして室内側の位置を調整
NP1を高い位置で持ちながらの作業なので、支えている側の手がけっこう疲れるようだ
位置が決まったらマスキングテープで位置をマークする
接着面のガラスをクリーナーでキレイにしてから基台裏のテープをはがして接着。基台のテープだけでもしっかり付くが、念のためということで「落下防止ストラップ付き台座」も付属している。こちらも付けておいた

 以上で取り付け作業は完了。N-VANは作業難易度が高くないそうだが、それでも2時間くらいの作業時間だったので(配線隠しなど丁寧に作業してくれたため)、もし、DIYでやったら半日~1日は掛かっていたと思う。

 作業を見ていた感じでは難易度の高いところはなかったが、配線作業のアイテムで最後に「電源が入らない」となったときは、どこが原因なのかが判断付きにくく修正もしにくい。仕事をしている人だと取り付けに半日以上の時間を使える日はそんなにないと思うし、なによりキレイに付くということは気持ちがいいし安心感もあるので取り付けの依頼をするのはあり。筆者はやってもらってよかったと思っている。

 以下は取り付け後に「My NP1」にて行なう初期設定画面の紹介で、この作業を済ませるとNP1が使用できるようになる。ということで今回はここまで。次回はNP1を使ってみた印象などをレポートしよう。

MyNP1アプリのメニュー画面
スマートフォンと連動させるを選択
本体の電源が入った状態で連携させる
Bluetoothでの接続
使用者の登録も行なう
会社や家族で利用するときなどに対応するため複数名の登録が可能
クルマの登録
音声認識の設定。人数のほか、NP1の取り付け位置ごとに設定ができる
MyNP1アプリを使用していないときでも位置情報を使用するかを聞かれる。NP1本体にもGPS受信機能があるので、これはサポート的な用途。筆者は使用中のみ許可にしている
NP1と通信契約が成立し接続されると、MyNP1アプリ画面の「接続中」「チェックイン」という表示が出る