ニュース

室伏広治スポーツ庁長官がスーパー耐久シリーズを視察 「チャレンジは本当に応援していきたい」と液水カローラを激励

スーパー耐久最終戦を視察に来ていた室伏広治スポーツ庁長官。スタート前のグリッドウォークでは、モリゾウことトヨタ自動車の豊田章男会長も乗る32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptの激励に訪れた

広くモータースポーツを支援していきたい

 11月12日、富士スピードウェイで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE 第7戦 S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス」に室伏広治スポーツ庁長官が視察で訪れた。

 当日は決勝レース前のグリッドウォークで、トヨタ自動車がST-Qクラスで走らせている「32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」の激励に訪れたほか、レース中の水素充填シーンなども見学。さらに記者会見を行ない、モータースポーツや自動車メーカーのカーボンニュートラル実現のための取り組みなどについてコメントした。

室伏広治氏はハンマー投げのアジア記録・日本記録を持つほか、日本選手権では20連覇を達成。現在はスポーツ科学者、陸上競技指導者、スポーツ庁長官などスポーツに関わりながら幅広く活動している

──実際にスーパー耐久の現場にきて、どのように感じられたでしょうか?

室伏広治長官:コロナから解放されて、本当にスポーツイベントが盛り上がってきたんだなって思いますし、今日も富士スピードウェイにスーパー耐久を見にたくさんのお客さんがきていて、モータースポーツファンの方々もテントを貼ったりしながら楽しんでいて、スポーツを楽しむというのが戻ってきたなっていうことと、やはりモータースポーツは人々を引き寄せる力があるっていうのを改めて感じた次第です。

記者会見ではスポーツ審議会会長も務めるトヨタ自動車 Chief Privacy Officerである早川茂氏も同席した

──液体水素で走るマシンなど、カーボンニュートラルや脱炭素に役立つような技術開発をモータースポーツがやっていることに関して意見はありますでしょうか?

室伏広治長官:まずメカニックやドライバーだけでなくて、チームを支える方も水素に関わる方々も含めて本当に大切にされている。私もメカニックや担当の方に直接説明を受けましたが、みんな生き生きしていて、クルマやドライビングが好きなんだなっていうのを本当に感じました。

スーパー耐久シリーズにて液体水素を使用して走っている32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」

 また、水素に関する技術がどのように進化してきたかも少しお聞きしましたけども、かなり当初と比べて小型化をしてきたなどすごく楽しみだなと。やはりチャレンジなくして先はありませんから、本当に言うだけではなく実行に移して取り組まれてる姿は本当に応援したいなと思いましたし、ぜひ未来を切り開いていただきたいです。

──スーパー耐久レースはプロドライバーだけじゃなく、実はジェントルマンドライバーといってアマチュアドライバーも一緒に走っています。こういうカテゴリーのあるスポーツってあまりないですよね? 長官も出られてはどうでしょうか?

室伏広治長官:いや、実はちょっと相談してたんです(笑)。ぜひそんなチャンスがあれば出てみたいなと思います。でも、やはりいろんな方がモータースポーツに関わるような、そういう形になってますよね。本当にレースだけの人だけではなくて、多くの人を引き寄せる力があるんだなと感じました。

──モータースポーツはクルマを使ったスポーツですが、アスリートとして今までモータースポーツをどのように見ていたのでしょうか?

室伏広治長官:日本ではスポーツっていうと学校体育の延長線上のようなものだと考えられがちですが、最近は民間のフィットネスやヨガ、ティラピスなど、いろいろなエクササイズもスポーツなんだと考え方がずいぶん変わってきていると思います。

 また、今まさに部活動の改革や学校体育だけじゃなく地域に開放してやっていこうという流れがあり、スポーツを開放して可能性を広げていくことが大切だと思います。当然世界的に見てもモータースポーツはスポーツだと思いますし、レーサーの方も支える方もみんな体がガッチリしてますよね(笑)。きっと皆さんトレーニングしてレースに臨んでいるわけですね。ドライバーもちゃんとした姿勢でなければレースの荷重には耐えられないでしょうし、モータースポーツのイメージをどんどん変えていきたいなというふうに思います。

 われわれもスポーツのハイパフォーマンスで得られた知見をライフパフォーマンスに還元していますし、モータースポーツで得られた知見を一般の方や社会に還元しながら、どんどんモータースポーツが活気づいていけばいいなと思います。

──今回早川さんが室伏スポーツ庁長官に一番知ってもらいたかったのはどんなことでしょうか?

早川茂氏:長官はもともとモータースポーツに関心をお持ちいただいており、僕はスポーツ審議会にも参加しているので、1年に4~5回顔を合わせるのですが、毎回モータースポーツの話をしています。

 また、長官ご自身もスポーツ庁も、広くモータースポーツを支援していきたいというご意向があり、去年もWRCにお越しいただきましたが、機会があればいろんなレースをご覧いただきたいなと思っています。それと水素技術に関してもいろいろ見ていただきたいと思っています。特によかったのは、先ほど長官がおっしゃっていたように、ドライバーだけじゃなく、関係者みんなでレースを支えているところに関心を持っていただけたことですね。

室伏広治長官:今日は豊田章男会長にお出迎えいただいたのですが、施設の中にまずレースを支えてくれている方々の写真が飾られていて、メカニックの人たちにも光を当てているんだな、まさにチームスポーツなんだっていうことが素晴らしいなと感じました。

液体水素の充填シーンを見学する室伏スポーツ庁長官

──モータースポーツでの水素エンジンを見て、スポーツ分野でのカーボンニュートラルの取り組みが進んでいくことへの期待は?

室伏広治長官:あの水素の取り組みも素晴らしいですし、新しいこういうエネルギーでわれわれは未来をどう創造するかということを考える必要がありますので、可能性をせばめる必要は全くないと思います。こういったスポーツの場でさまざまな実証が行なわれ、それがいずれわれわれの生活に還元されてつながっていくと思いますので、チャレンジは本当に応援していきたいと思います。

【スーパー耐久】室伏広治スポーツ庁長官がS耐を視察 トヨタの「液水カローラ」の水素充填シーンを見学(3分6秒)
32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptのボンネットにステッカーを貼る室伏広治スポーツ庁長官
ボンネットに貼られたスポーツ庁のステッカー