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カワサキ、直列6気筒ガソリン/水素ターボエンジンで航空エンジン事業進出

2023年12月12日 発表

直列6気筒ガソリン/水素ターボエンジンでカワサキモータースが航空エンジン事業へ進出

 カワサキモータース代表取締役社長執行役員の伊藤浩氏は12月12日、川崎重工業の「グループビジョン2030・進捗報告会」に出席、2030年以降のさらなる成長を見据えた取り組みとして、航空エンジン事業へ進出し、航空用エンジン開発を進めていくことを報告した。

 カワサキモータースとして新たに取り組む航空用エンジン開発では、「Ninja H2R」のスーパーチャージドエンジンをベースとして、直列6気筒ガソリンターボエンジンを開発、2024年のサンプルエンジンの提供開始、2030年にガソリンエンジン型式承認を目指すとともに、直列6気筒水素ターボエンジンを開発し、2027年のサンプルエンジンの提供開始、2035年の水素エンジン型式承認取得を目指すとのロードマップが示された。

グループビジョン2030・進捗報告会(2023年12月12日) 日本語

 カワサキモータースが取り組む航空用エンジンは、同クラスのターボシャフトエンジンと比較して重量ほぼ同等で、燃料消費を約3~5割低減させ、低燃費によりタンクの小型化が可能。水素を燃料とする場合については水素タンクがかさばるため特に有効としている。そして、航空宇宙システムカンパニーが持つ認証のノウハウを活用するという。

 また、航空用エンジンにおける協業として、エアバスグループの元CTO(最高技術責任者)が立ち上げた電動/Hybrid航空機スタートアップVOLTAEROへの出資・協業を推進し、2024年初旬、Ninja H2 SXエンジンを搭載し試験飛行実施予定であることを明らかにした。

 伊藤氏は、「当社のレジャー製品に搭載されているエンジンは、軽量コンパクトでありながらも大出力を生み出すことができるという優れた特徴があります。当社のエンジン技術と川崎重工業が持つ航空機事業のノウハウを生かし、この度、航空用レシプロエンジン事業への進出を目指すこととしました。航空用エンジンは、ターボファンエンジン、ターボシャフトエンジンが一般的ですが、当社が開発を進めております航空用レシプロエンジンは、同クラスのターボシャフトエンジンと比べて質量がほぼ同等で、燃料消費では3割~5割ほど優れております。低燃費エンジンは環境面における利点だけではなく、航空機の運航事業者にとっても大きな経済的なメリットとなります。さらには、水素エンジン、水素レシプロエンジンは、その燃費のよさで実現される水素タンクの小型化とあいまって、航空機業界におけるカーボンニュートラルの実現に大きく寄与できると信じています」と説明。

 続けて、伊藤氏は「ガソリンエンジンは2030年までに、水素エンジンは2035年までに型式認証取得を目指して進めてまいります。開発は順調に進んでおり、本日は6気筒の試作エンジンを展示しております。また、エンジン開発と並行して、他社との協業も推進しております。当社はフランスの電動ハイブリッド航空機のスタートアップ、VOLTAERO社に対して出資を行ない、同社にエンジンを供給する計画です。今年VOLTAERO社と共同で、フランスや米国で開催された航空ショーに当社のエンジンを出展しました。コンパクトでハイパワーウエイトレションに優れたエンジン性能や、将来の水素対応などの未来志向に対して、非常に高い関心と期待の声をいただきました。当社にとっては新たな事業領域への挑戦となりますが、カワサキブランドにふさわしい、素晴らしい製品をご提供できるよう開発を進めてまいりますので、ぜひご注目ください」と報告した。

開発中の水素エンジンバイクの試作車も世界初公開

世界初公開された開発中の水素エンジンバイクの試作車

 同会場では、開発中の水素エンジンバイクの試作車も世界初公開され、伊藤氏は、「このバイクは、当社のNinja H2SXをベースにしたもので、年明けには試験走行を開始し、将来を見据えた研究を行なってまいります」と報告。

 また伊藤氏は、「革新的なEVやハイブリッドモデルを投入する一方で、お客さまに長年愛され続けているヘリテージモデルについても注力してまいります。当社のルーツは、1つは航空機産業、もう1つは世界で最も古い歴史を持つ二輪メーカの1つであり、大型バイクで定評のあった1924年創業の目黒製作所です。来年2024年は、目黒製作所が創業してから100周年の記念の年となります。また、当社を代表するブランドの1つであるNinjaが誕生して40周年の記念の年でもあります。目黒100周年を記念するモデルとしてメグロS1を発表し、Ninjaも40周年を記念した復刻カラーモデルを発表予定です」と、新たに2024年に登場するモデルについて予告した。

「グループビジョン2030・進捗報告会」会場で公開されたスライド