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クボタ、「AI電動トラクタープロトタイプ」をCESに出展 AI利活用で農業の生産性を上げていく未来を示す

2024年1月9日~12日(現地時間) 開催

AI電動トラクター・プロトタイプ「NEW AGRI CONCEPT」の前で記念撮影に応じる株式会社クボタ 代表取締役社長 北尾裕一氏

 クボタは、1月9日~12日(現地時間)に開催されたCES 2024に初出展し、開発中の電動トラクターのプロトタイプを出展した。6個のモーターで駆動する同社初の電動トラクターで、今後製品化に向けてさまざまな開発に使われていくことになる。

 クボタはCES 2024の期間中に、代表取締役社長の北尾裕一氏が記者説明会を行ない、今後電動化も視野に入れたサステナビリティの実現、少子高齢化社会を見すえて農業生産性向上を実現するためのAI利活用など、農家が抱えるさまざまな問題をテクノロジを活用して解決していくという方針を明らかにした。

CESの注目分野の1つになりつつあるアグリテック

CES 2024のセントラルホールの中庭に設置されていたクボタブース

 クボタは、大阪府大阪市に本社を構える日本企業で、農機や建機といったトラクターなどを製造、販売するメーカー。Webサイトによれば、2022年12月期の売上は約2.7兆円で、そのうち78%は海外での売上になっており、19年間で以前は30%だった海外比率が上昇し、グローバルにビジネスを展開する農機メーカーとなっている。

 日本の農機メーカーは輸出に強いメーカーが多く、農林水産省が公開している「農業機械をめぐる情勢」の資料によると、2021年の出荷額は国内2423億円に対し、輸出は3012億円と輸出の方が多い。クボタはそれよりもさらにグローバルでの売上比率が多く、国内市場だけでなくグローバルな動向を意識して、さまざまな展開を行なっていることが伺える。

同じ農機メーカーのジョンディアは、2024年もウエストホールに出展していた

 今回クボタがCES 2024に出展したのは、CESでも“アグリテック”と呼ばれる農業関連のテクノロジが注目を集めているからだ。クボタにとってグローバル競合メーカーとなる米国のジョンディアが、2023年のCESで基調講演を行ない大きな注目を集めたことは本誌でもお伝えした通り。これまでITやデジタルとは無縁と考えられてきて農業にも、今や自動運転やAIによる技術が導入されつつあり、農家が抱えるさまざまな課題を解決しようとしているのだ。

 日本はもちろんグローバルでもトップメーカーの1つであるクボタも、すでに農業のIT化やスマート化に取り組んできている。例えば、2023年の6月にはAIカメラとミリ波レーダで収穫対象の稲・麦と周囲の人や障害物を識別して無人自動運転で米・麦の収穫が可能なコンバインを発売するなど、その成果も出始めている。それ以外にも、クボタは農業のスマート化に向けてさまざまな研究を行なっており、クボタの「Webサイト」では、その一部が紹介されている。

 クボタはそうした成果を、CESの会場で一般消費者にはもちろんのこと、CESに視察にきている農機ディーラーや関係者などにアピールする必要を感じて出展したということになる。

電動化トラクターのプロトタイプを展示

報道関係者などに説明を行なう株式会社クボタ 代表取締役社長 北尾裕一氏

 出展ブースはメイン会場であるセントラルホールの中庭で、開発中の電動トラクターのプロトタイプを展示した。

 1月10日(現地時間)に開催した記者説明会の中で、クボタ代表取締役社長の北尾裕一氏は、「クボタは1890年の創業以来130年以上の歴史がある企業で、その歴史は農業にイノベーションを提供してきた歴史と言えます。われわれは自動化、電動化、そしてAIに関してもこれまでのテクノロジと組み合わせて提供していくことを継続したいと考え、そのために研究開発に多大な投資を行なっています。今回CESに参加したのはその成果の一端をお見せしたいからです。こうしたイノベーションを通じて、社会に貢献しながらお客さまに新しい価値を提供していきたいと考えています」。

「今回、イノベーションに通じる道のりを皆さまと共有し、弊社のお客さまが生産性や性能に妥協することなく、より多くのデータとAIを利活用していくことをお見せできることをうれしく思っています。大規模な農業を営まれている農家の方だけでなく、数エーカーの住宅を活用するようなエンドユーザーまで、生活を向上させる取り組みが重要だと考えています。そうしたお客さまの課題の克服を支援することが弊社の使命であり、今後われわれの社会が直面している、さまざまな課題の解決に貢献していきたいです」と説明した。

AI電動トラクター・プロトタイプ「NEW AGRI CONCEPT」
説明パネル
フロントビュー
中央部のロゴの下にはカメラも配置されている
ヘッドライトは市販車の流れに沿うLEDを採用
フロントタイヤ近くにはカメラセンサーモジュールも用意されている
リアタイヤはグッドイヤーの380/85/R24
サイド部分
バッテリを格納するハッチ
リア部分
ハイドロを駆動する部分
けん引するオプション機器に駆動力を伝えるドライブシャフト

 今回クボタが展示した電動化トラクター・プロトタイプは、6モーター構成で4つの車輪を計4つのモーターで駆動。トルクは従来のディーゼルエンジンなどと同じように十分な駆動力を確保していて、残り2つのモーターはリアに配置され、1つは油圧(ハイドロ)系統の駆動を行ない、もう1つは後部に連結するオプションに駆動力を伝達するために利用するという。

 AIやデータを利活用できる機能も搭載されており、自動運転も可能になると説明していたが、今回はどんな機能があるかまで詳細は語られなかった。また、バッテリは前部に格納されているとのことだが、展示ではその部分は見られなかった。

 クボタのスタッフによれば、この試作機はすでに稼働していて、実際に試験場を走ることを確認した上で、清掃後に今回の展示会場に持ち込まれたという。今後は実際に走行を続けて、充電に関して急速充電がいいのか、一晩で充電するのがいいのか、といった具体的な課題などを解決して、最終的な製品の開発につなげていきたいということだった。