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ホンダ、2024年夏発売予定のプラグイン充電機能を持つ新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」世界初公開

2024年2月28日 公開

ホンダが2024年夏に日本での発売を予定している新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」

プラグイン機能を持った燃料電池車が誕生

 本田技研工業は、2024年夏に日本で発売予定の新型燃料電池車「CR-V e:FCEV(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」を2月28日~3月1日まで東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催されている「H2&FC EXPO[春]2024~第21回[国際]水素・燃料電池展[春]~」で世界初公開した。

 CR-V e:FCEVは、国内自動車メーカーが発売するモデルとしては、初めて外部から充電可能なプラグイン機能を持った燃料電池車で、燃料電池車の持つ長い航続距離と水素の充填時間の短さといった特徴はそのままに、家庭や外出先で充電できるプラグイン機能を加えることで利便性をさらに向上させたモデル。

新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」
ボディサイズは4805×1865×1690mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mm(ホンダ社内測定値)

 一充填走行距離は600km以上、EV走行可能距離60km以上の性能を見込んでいるほか、北米地域や中国などで販売している6代目「CR-V」をベースにすることで、SUVならではのユーティリティやパッケージで多様なニーズに応えるとした。

 パワートレーンは、ホンダとGM(ゼネラルモーターズ)が共同開発し、両社の合弁会社である「Fuel Cell System Manufacturing,LLC(米国ミシガン州)」で生産される燃料電池システムが搭載され、米国オハイオ州のパフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)で生産し、日本に輸出されるという。日本に加え北米でも2024年の発売を予定している。

ホンダとGMの合弁会社「Fuel Cell System Manufacturing,LLC」で生産される燃料電池システムが搭載される

CR-V e:FCEVの特徴

グランドコンセプトは「E-Life Generator」

 CR-V e:FCEVは、グランドコンセプトに「E-Life Generator」を掲げ、およそ3分の水素充填時間によるストレスフリーな長距離ドライブと、日常走行でEVのような使い勝手を提供するプラグイン充電機能にSUVの走破性・機能性を併せ持つ、“身近に使える燃料電池車”として開発。また、外部給電機による高出力な電力供給に加え、普通充電ポートに接続する給電コネクターによって、気軽に電気を取り出せ、日常やレジャー、停電時などでの利便性・安心を両立させた。

 エクステリアは、歴代CR-Vが持つスポーティかつ機能的なスタイリングに「クリーン」「タフ」「アイコニック」をキーワードとしたFCEVらしい知的なたたずまいと力強さを表現。

CR-V e:FCEVは燃料電池システムの搭載と同時に衝突安全の基準をクリアするため、北米仕様のCR-Vよりも全長が110mmほど長くなっている

 インテリアはCR-Vの持つ上質さとタフネスさはそのままに、環境に配慮した素材としてシートにバイオ合皮を採用するなど、人と環境に寄り添うFCEVのスタイルを提案するとしている。また、ベースとなったCR-V同様のゆったりとした居住空間も確保。荷室は水素タンクの張り出しを使い勝手に積極利用するアイデアを採用。フレキシブルボードを使ったフラットで広いラゲッジスペースと、荷物の整理がしやすい2段式の荷室を実現した。

 GMと共同開発した燃料電池システムは、「CLARITY FUEL CELL」に搭載していたものと比較して、白金使用量やセル数を減らしたほか量産効果などでコストを3分の1まで削減するとともに、耐久性を2倍に向上しつつ、さらに対低温性も大幅に向上させたという。

 また、燃料電池システムを中心としたパワーユニットを一体化することで、小型軽量化を実現。ベースのCR-Vのエンジンマウントをそのまま活用でき、コスト低減に寄与するとともに、衝突安全性も向上。さらに、振動や騒音もCLARITY FUEL CELLと比較して大幅に低下させ、走りの上質感を高めている。

 AC充給電ポートは、日本と米国における普通充電の規格「SAE J1772」を採用。家庭のACコンセントに接続して、気軽に車両の充電を行なえるほか、普通充電ポートにAC車外給電用コネクター「パワーサプライコネクター」を接続することで、最大1500WのAC給電が可能な外部給電機能も装備し、停電時やアウトドアなどのレジャーでの電源として活用できるとした。

家庭用AC電源から充電できるコネクター「P-EVSE」はディーラーオプション
メーター内で残充電時間を確認できる
AC車外給電用コネクターの「パワーサプライコネクター」を接続すれば最大1500WのAC給電が可能

 さらに日本仕様には、荷室に設置した「CHAdeMO」方式のDC給電コネクターに「パワーエクスポーターe:6000」「パワーエクスポーターe:9000」などの可搬型外部給電機を接続することで、非常時や屋外イベントなどへ高出力の電力供給が可能となるDC外部給電機能も装備している。

可搬型外部給電機を接続することで高出力の電力供給が可能となる

ホンダのFCEVへの取り組み

 ホンダは2050年にホンダの関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指すとともに、製品だけでなく、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロの実現に向けて、「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」という3つの柱に取り組んでいるが、中でも水素を電気とともに有望なエネルギーキャリアと位置付けていて、30年以上にわたり水素技術やFCEVの研究・開発を行なってきている。

燃料電池車「FCX」

 2002年には「FCX」がFCEVとして世界で初めて米国環境保護庁およびカルフォルニア州大気資源局認定を取得し、日本と米国でリース販売を開始。2008年には「FCX CLARITY(クラリティ)」、2016年には「CLARITY FUEL CELL」のリース販売を開始するなど、FCEVの開発に取り組んでいる。

FCV(燃料電池車)「CLARITY FUEL CELL」