ニュース
ボッシュ、同一敷地内に「都筑区民文化センター」を併設する日本新本社が竣工 ドイツグルメを味わえる「cafe 1886 at Bosch」も移転オープン
2024年9月9日 10:08
- 2024年9月6日 開催
ボッシュは9月6日、神奈川県横浜市に新たに建設した日本本社、ならびに「都筑区民文化センター」(ボッシュ ホール)の竣工式を開催した。
東京・渋谷からひと足早く5月に移転した新しい日本本社は、ボッシュ・グループで世界初の公民連携プロジェクトによって同一敷地内に「都筑区民文化センター」を併設。本社施設には研究開発機能も備え、これまで東京・横浜エリアに点在していた約2000人の従業員を集約し、社内コミュニケーションの円滑化によって開発体制を強化していく。
ボッシュ株式会社 本社/都筑区民文化センター概要
所在地:神奈川県横浜市都筑区中川中央1丁目9番32号
敷地面積:1万2037.66m 2
延べ床面積:約5.3万m 2
ボッシュ施設部分:地上7階、地下2階
区民文化センター部分:地上4階、地下1階
「カリーヴルスト」やドイツビールも味わえる「cafe 1886 at Bosch」
ボッシュブランドで世界初のカフェとして、2015年9月に東京・渋谷にあった当時のボッシュ本社1階に開設されたブランド発信拠点「cafe 1886 at Bosch」も移転オープン。新本社1階のボッシュ ホールと隣接する位置にレイアウトされ、味わいのある木製のテーブル&チェア、落ちついてくつろげるソファーなどで約70席を用意。
これまで同様、独ボッシュの本社があるドイツ・シュトゥットガルトの伝統を受け継ぐ食事やデザート、ドイツ製のビールやワイン、オリジナルブレンドのコーヒーなどを味わうことができ、壁面上部にボッシュの長い歴史を感じさせる歴代製品を展示している。
「地域の皆さまと交流を深め、街の発展に寄与していきたい」とメーダー社長
竣工式では最初に、建設事業者を代表してボッシュ 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏が主催あいさつを実施。
「コロナ禍において計画どおりに建設を進めることは簡単ではありませんでした。皆さまのご尽力にあらためて心から感謝いたします。ボッシュの新本社では約2000人の従業員が働き、また新規に72名の雇用を生み出しています。同じ都筑区内にある牛久保オフィスの研究開発オフィス、国内外の拠点と連携し、日本の産業を支えてまいります」。
「また、cafe 1886 at Boschも明日オープンし、来年3月には横浜市都筑区によりボッシュ ホールがオープンします。このホールは都筑区の皆さまが長年待ち望んだ施設であると聞いています。この場所を起点として地域の皆さまと交流を深め、街の発展に寄与していきたいです。これが私たちの想いであり、願いです。この地域で皆さまとともに未来に向けた歩みを進めていきますことをお約束して私のあいさつとさせていただきます」とコメントしている。
続いて来賓のあいさつとして、横浜市市長 山中竹春氏が登壇。山中氏は「多くの区民が待ち望んでいた区民文化センター、ボッシュ ホールが竣工して、いよいよ来年3月のオープンに向けて大きな一歩を踏み出しました。クラウス・メーダー社長をはじめボッシュの皆さま、事業関係者の皆さまに心からのお祝いと感謝を申し上げます。そして周辺の自治会、町内会など地域の皆さまや、本日ご来賓の皆さまにも厚く御礼申し上げます」。
「ボッシュさまは今から113年前に、ここ横浜の地で日本事業をスタートさせました。そして平成2年に都筑区に研究開発施設を設立されて以来、長きにわたって横浜経済の発展を支えてくださっています。このたび本社を移転していただき、これを契機に2000人もの社員の皆さまがこちらで勤務される。このすばらしい環境のオフィス、自由な雰囲気の研究開発拠点から、新たな活力や新たなイノベーションが生み出されることを心から祈念しております」。
「そしてボッシュ ホールは区民の皆さまが待ち望まれていた施設です。ボッシュ ホールが地域に根ざした文化活動の拠点として、さらなる賑わいの拠点としてこの地域をもっともっと盛り上げていくよう、今後のオープンに向けて準備を進めているところであります。整備をしていただいた全天候型広場でのイベントなどとも相乗的に賑わいを生み出していくことで、この施設一帯が都筑区の新たなシンボルとなることを期待しております」と新施設オープンへの期待を語った。
建設プロジェクトに携わった関係者からもあいさつが行なわれ、まずボッシュ・グループ初となる公民連携の「フュージョンプロジェクト」をマネジメントしたジョーンズ ラング ラサール 取締役 プロジェクト・開発マネジメント事業部 事業部長 宮本淳氏が登壇。
宮本氏は、ボッシュと自分たちの関係は10年前に手がけたボッシュ 渋谷本社の改修プロジェクトからスタートして、このプロジェクトに携わる中で大きな学びを得ることになり、ボッシュの企業理念や企業文化、従業員の働き方、ボッシュが目指す将来ビジョンなどについて深く理解することができ、それが今回のフュージョンプロジェクトにも反映されていると説明。
2017年からボッシュの新たな拠点となる日本本社の建設と横浜、都筑区の地域文化や芸術の発展に貢献する拠点作りを進めるコンソーシアムに参画。2018年末にボッシュのコンソーシアムが事業予定者として選定されてから実際に工事に着手する2021年1月までの約3年間には、新型コロナウイルスの感染拡大といった予期せぬ要因も重なって、関係各社や横浜市の関係者と苦難を共有することになったと当時をふり返る。
新たに横浜市民、都筑区民向けの施設として建設されたボッシュ ホールは、どのような機能と目的を持った施設であるべきか、横浜市、都筑区の担当者、ボッシュや設計者などととことん議論して設計に反映。そんな取り組みから生み出されたアイデアが現実のものとなったのは、横浜市、都筑区の担当者とコンソーシアム各社の尽力のたまものであり、ボッシュ ホールは都筑区の住民が待ち望んでいた、これまでにないすばらしい区民文化センターになっているとアピール。オープン後のボッシュ ホールが備えている機能をフル活用して、地域の象徴的存在となり、新しい文化の発信拠点として進化していくことを願っていると語った。
ボッシュ新本社の設計・施工を担当した大林組の専務執行役員 矢野基氏も、コロナ禍で進めたフュージョンプロジェクトの苦労について紹介。
新本社の設計にボッシュの思想をどのように反映させていくかが課題になり、遠隔会議システムやワークショップなどを活用して、ボッシュの社員がどのような環境で働きたいと考えているのかしっかりとヒアリングを重ねて設計を煮詰めていったという。その結果としてボッシュの新本社は、設計した自分たちが見てもうらやましいほど、上から下まですばらしいオフィス環境、開発環境ができあがり、ボッシュの支援によって緑を多用した象徴的な外観は、地域住民にも親しみを持ってもらえる建物になったと自負した。
一方、「そういう設計をしてしまった」というボッシュ新本社は、施工段階で非常に苦労したと説明。オフィスビルは同じようなフロア構造を繰り返す「基準階」という手法が獲られるケースも多いが、ボッシュ新本社では同じ構造になっているフロアが1つもなく、内部には吹き抜け構造が用いられ、さまざまな工程が輻湊しつつ高級な材料を使いながら建物を造っていく作業は非常に難易度が高かった。それだけに、自分たちが培ってきた技術や経験を注ぎ込む場となったことで、「建築屋」として苦しみながらもやりがいのある毎日を過ごすことになったとふり返った。
ボッシュ ホールの設計・施工を担当した竹中工務店の執行役員 濱野裕司氏は、ボッシュ ホールは多様性を持ち、柔軟さを大切にした施設をコンセプトに設計を実施。利用するすべての人に優しいユニバーサルデザインを基本に、利便性と安全性を兼ね備え、万が一の際は防災拠点にもなるという構造を採用。2階部分は使い勝手がよく、音響の音質も優れたさまざまな演目に対応できる約300席の規模の講堂を造り上げていると説明し、ボッシュ ホールが感動や笑顔であふれる施設になってほしいとの期待を口にした。
デジタルツインの活用で建設プロセスを最適化
竣工式に先だって行なわれた記者説明会では、最初にロバート・ボッシュ 取締役会メンバー タニア・リュッカート氏がボッシュ新本社について解説を行なった。
「私は昨日、初めてこの新本社に足を踏み入れましたが、そこで気づいた誇りに思うべきいくつかの点を皆さんに紹介したいと思います。1つめはサステナビリティの観点です。環境保全や気候変動に関する取り組みはボッシュにとっても最優先事項です。そのため、この新社屋では省エネを推し進め、自然エネルギーを活用するためのさまざまなテクノロジーを投入しています。太陽光パネルをはじめ、窓に設置したルーバー、雨水の利用、自動換気システムといった技術です」。
「2つめはデジタル技術です。ボッシュの新本社、そして都筑区民文化センターの建設では、日本のボッシュでは初めて『デジタルツイン』というテクノロジーを用いています。企画から設計、建設に至るまで、この建物に関するインフラやケーブルダクトといった現実世界のさまざまな物体をデータとしてコンピュータ上で再現して、建設プロセスの最適化を図り、将来的な修繕作業のシミュレーションも可能です。とくにコロナ禍の時期には多くのスタッフがリモートで働いていたので、デジタルツインの導入は建設プロジェクトを進める上で非常に役立ちました」と述べ、最新技術によってエネルギー効率を高め、建設プロセスの最適化を図っていることを紹介した。
また、ボッシュグループで初めて実施された公民連携プロジェクトについても説明。「私たちは2018年に『横浜市都筑区における区民文化センター等整備予定地活用事業』という非常に重要なプロジェクトのパートナーとして横浜市に選定されました。この正式認定を誇りに思い、この地で新本社、および都筑区民文化センターの完成に向けて建設を進めてまいりました。また、ボッシュの拠点と地域施設を一体として建設する今回のプロジェクトは、グローバルでもボッシュグループ初の公民連携プロジェクトである点も興味深いところです」。
「私たちは地元の自治体と協力を続けながら、地域のコミュニティや人々のために賑わいを創出することを使命としています。これは日本市場にコミットメントを続け、本社を置く地域に貢献し続ける証でもあります。ボッシュは日本に長年にわたり根差す企業であり、これからも日本の皆さまに愛される企業になれるよう、今後も日本における113年の歩みを継続していきます」。
「日本はイノベーションとテクノロジーで発展し続けています。そして近年、日本の自動車メーカーは『ソフトウェア・ディファインド・ビークル』に力を入れるなど、常に進化を続けています。ボッシュはこれからも日本で包括的ソリューションを提供し続け、多様化する日本のお客さまのニーズに寄り添っていきます」とリュッカート氏は語り、日本、そして地域とともに成長を目指していく姿勢を強調した。
新本社では従業員が働きやすいオフィス環境を追求
続いて登壇したボッシュ 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏は、新本社に移転した効果や現在のボッシュの活動などについて説明した。
「新本社の建設が(ボッシュ ホールより)先に完了したことで、私たちは5月から本社を移転して業務をしています。今回の本社移転を受け、東京・横浜エリアに点在していた8拠点で働いていた約2000人の従業員がこの新本社に集約されています。この約3か月で従業員同士のコミュニケーションは非常に活発になりました。オフィスエリアだけではなく、食堂やオフィス階の中央に設置した『コミュニケーションゾーン』などがうまく機能しています。このデザインはより多くのコミュニケーションやエンゲージメントの促進を狙ったもので、功を奏したと言えます」。
「また、日本のボッシュでは現在約40か国の従業員が働いており、今回の新本社設計ではDEI(ダイバーシティ エクイティ インクルージョン)を意識しています。全フロアにユニバーサルデザインのトイレを配置して、従業員向けの搾乳室を作り、祈祷室としても利用できるマルチパーパスルームを設置しています。このような取り組みで、従業員が働きやすいオフィス環境を目指しました」と述べ、新本社に込めた狙いを紹介。
さらにグローバルで実施された事業再編について、「自動車業界で急激に変化している市場の要求に対応するため、ボッシュは今年、グローバルにおけるモビリティ事業を再編しました。例えば2つの事業部を統合した『ビークルモーション事業部』では、ABSやESC(横滑り防止装置)からステアリング関連に至るまで、ビークルダイナミクス製品を扱っています。これまで別の事業部だった従業員がともに開発を進めることになったこのタイミングで、コラボレーションが活性化される新しい拠点に移ることができたことは非常に意味のあることです」。
「再編成した組織がこの新本社、そして同じ都筑区内にある既存の研究開発施設の2か所に集約されたことで、事業部を横断した協業が促進されることでしょう。そして今後、国内の研究開発体制のさらなる強化を見込んでいます。日本のボッシュはさらなる成長を続け、お客さまによりよいサービスを提供できるようになります」と説明し、開発体制がさらに強化されていくことを強調した。
また、同一敷地内に竣工したボッシュ ホールについても言及し、「このたび竣工を迎えた都筑区民文化センターには、コンサートなどが開催できる約300席のホールやリハーサル室、さらにギャラリーなどを設けています。都筑区民の皆さまは、このような施設の完成を長年待ち望んでいたと聞いています。そして横浜市とのネーミングライツ契約により、都筑区民文化センターには『ボッシュ ホール』という愛称が与えられ、2025年3月に開館予定となっています」と紹介した。
このほかメーダー社長は、自身が2017年に就任したボッシュの代表取締役社長から退き、10月1日からは現在の締役副社長であるクリスチャン・メッカー氏が後任になることを紹介。社長就任時から抱いてきた点在する拠点をまとめ、ユーザーニーズにより迅速に対応できるようにしたいという願いが新本社の完成で実現し、「今後さらに日本におけるボッシュがパワーアップして成長を続けていくことが期待できる」と喜びを表現。今後はメッカー氏が日本におけるボッシュ、そして日本のパートナーを成功に導いていってくれるだろうとエールを贈ってプレゼンテーションを締めくくった。
作動音や振動の伝達をテストする半無響室を年内に新設予定
メーダー社長からバトンタッチされたボッシュ 取締役副社長 クリスチャン・メッカー氏は、日本で行なっている研究開発の新しい取り組みについて説明した。
「ボッシュは1990年にこの新本社から約2km離れた都筑区牛久保に研究開発施設を建設しました。そして今回、同じ都筑区内に研究開発施設を備えた新本社が完成して、これら2つの施設にボッシュグループ全体の4割以上にあたる従業員が集約されています」。
「昨今のモビリティ市場では開発が急激に発展しており、クルマの電動化や自動化、さらにSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)といったトレンドに対応するため新本社では研究開発施設を強化しています。地下1階と地下2階には『ヘビーラボ』と呼ばれる大型の実験・研究設備を用意して、2階から4階の業務フロアに中小規模の『ライトラボ』を設置しています。さらに新本社では一部のテスト設備を拡大、新規投入することで、常に変化する日本のお客さまの多様なニーズに迅速に対応できるよう体制を整えています」。
「いくつか例を紹介すると、電動化では、クルマに搭載する製品が発生する作動音や振動が車両全体にどのように伝達されるのかテストする半無響室を年内に新設予定です。近年はクルマが走行するときの遮音性が向上し、さらにBEVやハイブリッドカーが普及して、エンジンノイズも低下してきて、運転時の快適性が高まっています。しかし、一方で静かな車室内での機械作動音を気にするユーザーが増えており、とくに日本人は静粛性を好む傾向にあることから、音や振動に対する試験の重要性は高まっています」。
「自動化に向けた対応では、ADAS(先進運転支援システム)で必要なレーダーを測定する電波暗室を新設しました。これまではドイツやハンガリーにある特殊設備を兼ね備える拠点にテストを依頼していましたが、その場合はお客さまからサンプルを受領して、結果を報告するまで約1か月かかっていました。それが新本社に設備を用意したことによってテストで使用するパーツの輸送時間を省き、輸送コスト削減にも貢献しています」。
「また、近年ではコネクティッド化に伴い、車内でハンズフリー通話をする機会も多くなったと思います。そこで新本社では車内での通話品質を車載インフォテインメントシステムから調整する『チューニングルーム』という施設を新設しました。このチューニングルームでは、お客さまの開発車両を試験機器と接続し、スピーカーやマイクなどの出力を調整して音声認識の品質が国際基準や各自動車メーカーさまの基準を満たしているかテストします」。
「従業員同士のコミュニケーションを活性化するため、業務フロアに複数のライトラボを設置しています。ガラス張りのラボやあえて仕切りを作らないオープンなラボを業務フロアに隣接させ、実物を直接触りながら開発を進められるようになっています。さらに、他部署や異なるチーム間の連携を促進するため、間仕切りのないオープンなオフィスにしています。これにより、例えば研究開発エリアで働くエンジニアと業務エリアで働くプロジェクトマネージャーがプロジェクトの進捗確認をしやすくなっています。この取り組みで異なる技術領域のエキスパート間でコミュニケーションが効率化することも期待され、領域を越えた開発がさらに推進されるはずです」。
「このように、新本社では従来は異なる拠点に点在していたエキスパートたちが連携し、チーム内や他の事業部と密にコミュニケーションを取りながら研究開発を進めています。これはアーキテクチャーの集約化やSDV時代の到来に伴い、さまざまな機能を開発する異なるチームが、ソフトウェアやシステムをシームレスに共同開発できる体制作りを見据えた取り組みなのです」と解説し、技術のさらなる進化に向けて社員が力を活気しやすい環境作りが行なわれていることをアピールした。
このほかにも新本社では、自動車向けの開発設備に加え、1階に電動工具事業部のワークショップルームを用意。ボッシュの電動工具を販売する代理店や販売店、電動工具を実際に使用するプロユーザーに対して、ボッシュ製品の使い方などをレクチャーするワークショップを開催予定となっていることもメッカー副社長は紹介している。
ボッシュ新本社の見学会も実施
記者説明会の終了後には、参加した報道関係者に新本社の一部を紹介する見学会も実施された。
これまでも紹介しているように、ボッシュの新本社はオフィスと開発施設がシームレスに連携する構造となっているため、社員証によって管理されるエリアは全面的に撮影・録音が禁止となっていたが、壁をなくして開放感の高いフリーアドレス制のオフィスや地中海のイメージでリフレッシュできる社員食堂、フロア間の移動を促進して社員同士のコミュニケーションを促進する吹き抜け構造の「バーティカルコネクション」といった特徴的な構造について紹介されたことに加え、地下に設置されたヘビーラボでのテスト、開発風景も見学できた。
大がかりな研究や実験を行なうヘビーラボでは、車内の音響環境をモニタリングするチューニングルームで実際に作業を行なう開発者から内容について説明された。
実際に製品を搭載する車両を室内に置いて行なう計測作業では、運転席にマイクやスピーカーを設置したダミー人形を設置。さらに車内に設置したスピーカーから事前に録音した走行音を流してテストを行なう。
まずは車載スピーカーから国際基準で定められたマルチリンガルの着信音声が流れてダミーの耳に設置したマイクにどのような形で音声が届くか計測。続いてダミーの口部分に設置したスピーカーから同じくマルチリンガルの発声音が流れて車載マイクにどのように届くかを計測した。また、米アップルでは独自の基準が用意されているため、これに対応する計測パラメーターも合わせてデータ収集するという。
横浜市内にある別の拠点にあった「ステアリングテストルーム」もヘビーラボの1つとして新本社内に移転。ボッシュが手がける電動パワーステアリングのテスト、耐久試験などを行なう部門で、走行状態を再現できる「システムヒル」と呼ばれる機材に製品を設置して動作状況をチェック。実際に走行するわけではないので、開発初期の試作品でも気軽にテストできることが大きな特徴になる。
新本社に移転したことで、開発担当者も積極的に評価試験に参加できるようになり、新製品や新しい技術を開発し、ブラッシュアップしていくスピードを加速できることもメリットになっていると担当者から語られた。