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トヨタ、最終戦を優勝し逆転で世界耐久マニュファクチャラーズチャンピオン獲得 豊田章男会長の「勝ってこい!」のエールに応える

WEC最終戦バーレーン8時間を優勝し、逆転でマニュファクチャラーチャンピオンを獲得したTOYOTA GAZOO Racing

トヨタ、6年連続でWECマニュファクチャラーズタイトル獲得

 11月2日(現地時間)、バーレーン・インターナショナル・サーキットでWEC(世界耐久選手権)の最終戦となる第8戦バーレーン8時間が行なわれた。前日の予選ではTOYOTA GAZOO Racingの8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)がハイパーポールを獲得。7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)が2位につけ、決勝レースはフロントローをトヨタ勢が独占して14時(現地時間、日本時間11月2日20時)の決勝スタートを迎えた。

 決勝レースでは、ドライバーズチャンピオンの可能性が残っていた7号車はリタイヤとなってしまったものの、8号車は最終的に最終スティントでトップを奪還。7号車、8号車どちらかが優勝すればメーカー選手権であるマニュファクチャラーチャンピオン獲得という状況で迎えた最終戦を、ドライバーの走りや見事なピットワークで優勝した。

WEC最終戦バーレーン8時間を優勝した8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)
WEC最終戦バーレーン8時間のスタート

 トヨタは最終戦の優勝により、ポルシェを逆転してマニュファクチャラーズタイトルを獲得。マニュファクチャラーズタイトルの6連勝を成し遂げた。

 決勝前のインタビューで、8号車のドライバーである平川亮選手はタイヤマネジメントの大切さを語り、7号車のドライバーでありチーム代表である小林可夢偉選手もタイヤマネジメントの大切さを語るなど、ピット戦略やレース組立のウェイトが大きいことを伝えていた。トップからスタートした8号車は、一度順位が下がったものの、ドライバーの走りやピット戦略で順位を取り戻し、前述のように最終スティントではブエミ選手がトップを走る5号車を抜いて(一度抜いたものの接触があったため、順位を譲って再度抜いた)優勝しており、トヨタのチーム力の高さがマニュファクチャラーズタイトルの獲得につながった。

8号車が優勝したことにより、トヨタは6年連続でWECマニュファクチャラーズタイトルを獲得した

 平川選手は優勝後のインタビューで、「It's up and down. 『We never give up』our slogan. We fight. The one team. In the end. Happy for today」と答えており、順位の上げ下げはあったものの、決して諦めないといういうチームが一体となった気持ちが最終的な勝利につながったと語っている。

 また、決勝前にトヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏にインタビューする機会(Joby Aviationとの共同発表)があり、その際に最終戦についてのコメントを求めた。豊田会長は「予選はハイパーポールを獲得して1-2。いいスタートだと思います」と語り、決勝へ向けては「勝ってこい!でしょ」と一言。チームはそのエールに応えて優勝し、6シーズン連続でのマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得した。

Joby Aviationとの共同発表に登壇したトヨタ 豊田章男会長(右)。WEC最終戦バーレーン8時間へ向けての期待をうかがった
ドライバーズタイトルの可能性を残していた7号車は、速さは見せたもののリタイヤに
トップでゴールする8号車

7号車、8号車ドライバーのコメント

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)

はじめに、今季の我々の挑戦を世界中からサポートしてくださった全ての皆様に感謝いたします。マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得できたことは素晴らしい成果であり、トヨタの仲間やパートナーの皆様を含めた全員の多大なる努力の賜物です。今日の結果はチームの全員が望んでいたもので、その達成のために誰もが全力を尽くしてくれました。その努力にも感謝しています。8号車の勝利は、今日の素晴らしい戦いぶりにふさわしいものでした。我々の7号車はトラブルに見舞われリタイアとなってしまいました。この原因を究明し、来シーズンはもっと強くなって戻ってきます。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)

我々7号車にとっては、厳しい結果となってしまいました。今日の我々は非常に強く、勝てる可能性も見えていましたが、トラブルに見舞われ、残念ながらリタイアせざるを得ませんでした。しかし8号車が勝ってくれたことで、我々の目標であったマニュファクチャラーズチャンピオンは獲得することができました。チームとトヨタにとって、とても嬉しい結果ですし、最後まで力強い走りで見事勝利を勝ち取った8号車には祝福を贈ります。この記念すべき瞬間をみんなで祝いたいと思います。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)

8号車の見事な勝利でマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得でき、チームにとっては最高のシーズンフィナーレとなりました。もちろん、ドライバーズチャンピオンを争っていたライバルがノーポイントに終わったことと、我々が勝てる位置につけていたことを考えると、複雑な気持ちです。トラブルが無ければ両選手権タイトルを獲得できるチャンスがありましたが、これもモータースポーツではよくあることなので受け入れるしかありません。とは言え、全体的に見れば波瀾万丈で厳しいシーズンを乗り越えてきたチームが今日報われ、嬉しく思います。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)

最終戦を優勝した8号車のドライバー、左から平川亮選手、セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手

レース途中までの展開が展開だっただけに、優勝できたなんて信じられません。チームがトラブルやペナルティ、不運などあらゆる逆境を乗り越えてチャンピオンを獲得でき、最高の気分です。それこそが我々の目標であり、チームの素晴らしい努力のおかげで成し遂げることができました。一時10位まで後退し、ピットストップでほぼ最後尾に落ちたときにはもうだめかと思いました。しかし、2人のチームメイトがタイヤを温存して走り続けてくれたおかげで、最後はタイヤにアドバンテージを持って追い上げることができました。今日の大一番のレースで、みんなと共に良い仕事を成し遂げることができて、本当にチームを誇りに思います。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)

チームのみんな、そしてトヨタのためにも勝つことができて本当に嬉しいです。レース序盤は決して順調ではなく、ミディアムタイヤの選択も上手く行きませんでした。しかし最後にはセブが信じられないようなスティントを見せてくれました。本当に驚くべき走りで、彼こそスターです。トヨタや全てのパートナーの皆様、チームの全てのスタッフに感謝します。この勝利とチャンピオン獲得を目指して戦ってきたので、大きな意味を持つ結果です。シーズン最終戦を勝利で終えて、冬季オフシーズンに入れるのは最高です。

平川亮(8号車 ドライバー)

何という一日でしょう。波瀾万丈のレースでしたが、我々は最後まで諦めることなく、チーム一丸となって戦い続けました。ポールポジションからスタートした我々は、GT車両に追突されるアクシデントなどにも見舞われましたが、全力を尽くして戦い続け、最後はセブが最高の走りで逆境をはねのけてくれました。我々8号車は今シーズン、困難なレースも多かったので、ようやく最後に幸運を引き寄せることができて嬉しいです。シーズンを勝利で締めくくることができたことは素晴らしいですし、チームはもちろん、トヨタとパートナーの皆様にも本当に感謝しています。皆様の多大なる努力のおかげで勝ち取ったチャンピオンだと思います。

最終戦の表彰台