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マツダ、2025年3月期 上期決算 売上高3.3%増の2兆3939億円、営業利益20.5%減の1030億円、当期純利益67.3%減の353億円で増収減益
2024年11月8日 07:05
- 2024年11月7日 開催
マツダは11月7日、2025年3月期 上期(2024年4月1日~9月30日)の決算内容を発表した。
2025年3月期 上期の売上高は前年同期(2兆3172億5900万円)から3.3%増の2兆3939億1900万円、営業利益は前年同期(1296億1100万円)から20.5%減の1030億4800万円、営業利益率は4.3%、経常利益は前年同期(1792億3500万円)から53.4%減の835億1300万円、当期純利益は前年同期(1081億3200万円)から67.3%減の353億3400万円となった。
また、連結出荷台数は前年同期(58万8000台)から2000台増の59万台、グローバル販売台数は前年同期(61万6000台)から1万4000台増の63万台。
同日に行なわれた決算説明会では、マツダ 代表取締役 専務執行役員 兼 CFO ジェフリー・H・ガイトン氏が2025年3月期 上期の決算内容について説明。
ガイトン氏は2025年3月期 上期決算のポイントとして、2兆3939億1900万円となった売上高が過去最高となっており、北米市場の30万4000台の販売も同じく過去最高を達成していると説明。一方、競争の激化によって販売奨励金は上昇トレンドとなっており、販売台数の増加と為替による増益効果をオフセットする結果につながり、収益が想定を下まわる結果になったと解説した。
また、前年同期比で67.3%減の353億3400万円となった当期純利益については、営業利益の減少に加え、外貨建て資産の四半期末円換算評価による営業外損益を反映して大きな減益になったと説明している。
市場別の販売動向としては、北米市場は2023年7月から2直操業を開始した米国・アラバマ工場、稼働が改善したメキシコ工場の生産台数増加によって対前年同期比で21%増の30万4000台を販売したものの、アジア地域でとくに日本市場の販売が22%減の6万4000台に落ち込んだことで、グローバル販売台数は対前年同期比2%増にとどまっている。
一方、業績に対しては収益性の高い北米市場でマーケットシェア拡大、トップラインの成長を果たし、商品別ではラージ商品が引き続き販売を拡大。北米市場では「CX-90」が台数増に貢献している。
日本市場では「CX-8」の生産終了、「CX-60」の初期生産分における品質問題などが影響して販売台数が減少。この点については「CX-80」発売前に問題の解消に取り組み、CX-60を含めてラージ商品の問題は解決されており、安心して購入してもらいたいとガイトン氏は述べた。
中国では新エネルギー車による攻勢や値引き競争の激化を受けて販売で苦戦を強いられたが、下期からはマツダの新しい新エネルギー車である「EZ-6」を市場投入して巻き返しを図っていく。
8月に公表した通期見通しをすべての項目で下方修正
2025年3月期 通期の業績見通しでは、販売台数で北米販売を8月に行なった第1四半期決算発表時の公表値から5000台増と上方修正する一方、日本市場で3万台減、中東を含むその他市場で2万5000台減に下方修正。この秋から日本市場と欧州市場にCX-80、中国市場にEZ-6、北米市場にCX-50 HEV(ハイブリッドカー)をそれぞれ導入。ニューモデルが持つ高い商品力を販売の足がかりとして下期の台数成長と通期見通しの達成につなげていく。
財務指標では8月に公表した通期見通しをすべての項目で下方修正。売上高5兆円(前年同期比4%増)、営業利益2000億円(前年同期比20%減)、経常利益1900億円(前年同期比41%減)、当期純利益1400億円(前年同期比33%減)としている。
このほかガイトン氏は、米国での事業に大きく影響している販売奨励金について補足説明を実施。米国で使用されたマツダと日系自動車メーカー各社平均の販売奨励金を表わすグラフを使い、どちらも1月から9月までの期間で40%ほど金額が増加して厳しい競争が行なわれていることを説明。マツダでは第2四半期をピークとして販売奨励金を削減するべく取り組みを行なっているが、短期的にはこれからも厳しい状況は続いていくとの見方を示した。
しかし、マツダでは他社以上に販売金融商品を通じた購入支援策に販売奨励金を投入しており、ローンの金利引き下げやより魅力的なリース支払の設定などを行なっている。この販売戦略は米国でのディーラーネットワーク改革によって優れた顧客体験を提供していくマツダの取り組みと密接に関連しており、米国市場における再購入率は大幅に改善して2019年以降は50%以上をキープしていると強調した。
収益性の高い米国ビジネスを引き続き成長させていくことは下期に向けた重要な要素となっており、マツダ同様、米国内の販売ディーラーも高い自信を持っている点を紹介。アンケート結果では、マツダ系ディーラーが「フランチャイズバリューが今後12か月で向上する」との設問に最も肯定的な回答をしているブランドの1つであると紹介した。
質疑応答
後半に行なわれた質疑応答では、日本を含むアジア市場で販売が苦戦したことについて、毛籠社長は「日本の販売状況についてはガイトンからも説明しているように、上期はCX-8の販売終了とCX-80導入の間に空白期間ができてしまい、販売店の現場やお客さまに大変ご迷惑をおかけしてしまいました。国内事業そのものは、コロナ禍で落ち込んでから回復のペースが少し鈍く推移していることは事実だと思います。一方でファンフェスタなどを開催すると、大変多くのマツダファンに来場していただき、激励も受けたりして力をもらって大変胸が熱くなることもありますので、この期待に応えられるように頑張っていきたいと思っています」。
「短期的には、まず待望の新型車であるCX-80をしっかりとお客さまにお勧めして、自信を持ってもらいたいということが第一だと思います。また、マーケティング投資も進めていかなければなりません。その観点から、ブランドショールームを来年初頭に南青山にオープンさせますが、元気を出してもらえるような支援策になります」。
「中期的には、国内市場は縮小傾向が続いて、都市圏とそれ以外で人口動態も含めて大きな格差が生じるマーケットになってきています。それに適応できる事業構造やマーケティング、店舗やリテールのオペレーションの再構築が必要になってくるかなと考えていて、覚悟を持って進めていきたいと思います」。
「中国については販売店の再構築についてすでに着手していて、450を220の店舗に絞り込み、新エネルギー車専用のショールームを構えていったりと準備万端であるということです。これからEZ-6も発売になるので、楽しみにしているところです」と回答した。
また、次期CX-5とラージ商品については「CX-5は、2012年に発売してから全世界で育て上げてきたマツダの看板車種です。大変多くのお客さまが世界各地にいらっしゃいます。このお客さまに確実に喜んでいただける商品として企画して開発してきました。これまでのお客さまをしっかりと守りながら、新しいお客さまを開拓していけるような形になると思います」。
「ラージ4車種は少し発売が後ろ倒しになりましたが、グローバルではそこそこのペースで推移していると思いますし、販売する国ごとに新しいセグメントに討って出ている部分もありますので、セグメントにおけるスイートスポット、お客さまに買いやすいと感じていただける仕様や価格編成、価値編成になるようなポイントを探っていきながらしっかりと育成していく取り組みをやっていきたいと思います。少し時間はかかるかもしれませんが、10年かけて育て上げていくというようなことが大事かなと考えています。また、高いポテンシャルを持った素材なので、商品自体もさらに磨いていきたいと思います」と説明した。