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マツダ、2024年3月期第3四半期決算 営業利益82.9%増の2002億円、当期純利益59.8%増の1655億円 すべての利益項目で過去最高を記録

2024年2月9日 開催

マツダの2024年3月期 第3四半期の決算説明会が行なわれた

 マツダは2月9日、2024年3月期 第3四半期(2023年4月1日~12月31日)の決算内容を発表した。

 第3四半期累計9か月の売上高は前年同期(2兆6962億5500万円)から32.3%増となる3兆5664億8800万円、営業利益は前年同期(1094億6400万円)から82.9%増の2002億200万円、売上高営業利益率は5.6%、経常利益は前年同期(1353億8600万円)から76.5%増の2389億9800万円、当期純利益は前年同期(1035億7100万円)から59.8%増の1654億9200万円。グローバル販売台数は93万台(前年同期比13万5000台増)で、連結出荷台数は88万8000台(同15万1000台増)。

2024年3月期 第3四半期の財務指標

 同日開催された報道関係者向けの決算説明会では、マツダ 代表取締役 専務執行役員兼CFO ジェフリー・H・ガイトン氏が決算内容について解説を行なった。

 ガイトン氏は決算の総括として、米国での販売好調に加え、「CX-90」の導入により仕向地ミックス、車種ミックスなどが大きく改善したことなどの効果により「すべての利益項目で過去最高になった」と説明。グローバル生産台数は対前年15%増、グローバル販売台数は対前年17%増、売上高は対前年32%増、営業利益は対前年83%増になっているという。

 通期見通しに対する第3四半期までの営業利益進捗率は80%となっているが、通期見通しは2023年11月に発表した数値を据え置きとした。すでに進んでいる第4四半期については1月に発生した能登半島地震の影響を含めた業績に対する影響を精査して、影響の最小化に取り組んでいくという。

2024年3月期 第3四半期の生産台数、連結出荷台数、グローバル販売台数の内訳
2024年3月期 第3四半期の決算総括
日本市場の販売状況
北米市場の販売状況
欧州市場の販売状況
中国市場の販売状況
その他市場の販売状況

6年ぶりに「RE開発グループ」が復活

グローバル生産台数は堅調に推移

 また、ガイトン氏は決算説明に続き、第3四半期に行なった取り組みの進捗状況について説明。生産領域ではグローバル生産台数が4半期ごとに着実に改善され、10万台/月を安定して継続。北米、日本、中国での生産が堅調に推移して、2023年10月~12月には33万5000台を生産。グローバル生産台数は前年同期を着実に上まわっているとアピールした。

 販売領域においては、グローバル販売台数が対前年比で12%増の31万3000台を達成。米国では第3四半期3か月として過去最高の販売台数を実現。CX-90の販売は順調に拡大しており、この投入によってラージ商品のグローバル販売も四半期として過去最高になっている。中国市場ではさまざまな販売・商品施策により、第3四半期の販売台数は対前年比19%増で、3四半期連続で販売増を続けているという。

新商品である「CX-90」の投入なども奏功して販売も好調となっている

 このような堅調な業績に加え、マツダとしては「将来の成功に向けた体制作り・組織作り」に重点的に取り組んでいると語り、組織体制の強化に加えて企業風土の改革も含めたものになるという。

 車両の電動化に向けた取り組みを加速させる策としては、2023年11月に「電動化事業本部」を発足。担当役員を置いてBEV(バッテリ電気自動車)に関連する技術面、ビジネス面のリソースを集約し、意思決定のスピードを上げて、電動化に向けて柔軟かつ機動的な挑戦を行なえる体制で活動していくことを狙いとして挙げた。

 また、2月には「RE開発グループ」が6年ぶりに復活。発電用のロータリーエンジンを中心に、さらなる効率化、グローバルでのエミッション対応、カーボンニュートラル燃料への拡張性といった面での研究開発に取り組んでいく。

 マツダ独自のブランド力を向上させる施策としては、2023年11月に「ブランド体験推進本部」を発足。これに加え、企業風土を改革し、顧客志向と従業員エンゲージメントを強化する全社的取り組み「ブループリント」もスタート。トップダウンになりがちな企業風土を、ユーザーと接する現場の従業員を主役として、経営陣がサポートして成果を生み出す企業風土に変えていく取り組みでもあるという。

「将来の成功に向けた体制作り・組織作り」に重点的に取り組んでいる
第3四半期累計9か月における営業利益の変動要因

 2024年3月期の通期見通しを達成に向け、第3四半期まで好調に業績を伸ばしているが、能登半島地震の影響で第4四半期後半以降に部品調達で影響が出ることで車両生産にも影響が出ることが想定され、この想定は日々変化するものとなっており、パイプライン在庫の活用、内製品の活用などで業績に対する影響を最小限にしていく。また、品質問題への対応で費用増が見込まれているが、これに対してはコスト効率の改善、為替や原材料価格の改善などによってオフセットするとした。

2024年3月期の通期見通しを達成に向けたリスク、オプチュニティ
2024年3月期第3四半期決算のまとめ

質疑応答

 後半に行なわれた質疑応答で決算内容の受け止めと、通期見通しの達成に向けて必要な要素などを聞かれたガイトン氏は「まず、第3四半期の販売台数は12%増の31万3000台になりました。グローバル販売では台数の10%がラージ商品になっており、米国では過去最高を記録しています。さらにメキシコ、カナダ、欧州、豪州、中国でもふた桁の増加を達成することができました。販売という面では非常によい実績になっていると思います。また、収益も好調です」。

「今後について、通期、来期を見て、まず米国の全需は、金利が引き続き高くなっていますが、失業率は低く、賃金も上昇して今後の全需は約1600万台と今年度よりわずかに上振れすると考えています。マツダとしては引き続きラージ商品での成長を達成していく。『CX-50』を成長させ、『CX-30』などにもオポチュニティがあると考えています」。

「中国ではNEV(新エネルギー車)のミックスが36%まで上昇しており、第3四半期に全需が増えている分はすべてNEVでした。来期について、全需は若干増えるとの予測ですが陰りも見えはじめており、景気は少し悪化していると感じます。ただ、全需自体は横ばいでもNEVは増えると考えています。マツダの戦略としては、以前からお伝えしているとおりネットワークを維持していくこと。必要な対策を採り、NEVが導入されるまでビジネスを維持していくことです。今後は私たちの強力なパートナーと共にNEVを開発して、2車リュを導入するという予定はすでに発表しており、市場の需要に応えるべく動いていきたいと思います」とコメントした。

 また、6年ぶりにRE開発グループが復活したロータリーエンジンについては、マツダではBEVにも取り組んでおり、グローバル市場を見据えてどのように活用していくのかといった質問に対して、「ロータリーエンジンはマツダの魂の一部である独自の資産として、何年もの歳月をかけて築き上げてきた技術です。技術的な課題を克服する必要があると認識しており、新しい時代に則したものを作っていくという目標を掲げています。とくに、コンパクトでパワフルな発電機として、また、カーボンニュートラル燃料を使える点にも注目しています」。

「グローバル展開という視点では、米国におけるBEV需要が少し緩んできている理由の1つとして、充電インフラが整っていないことが挙げられます。これは改善していく部分だとは思いますが、米国は非常に広大な国です。BEVを導入するにあたり、レンジエクステンダーの搭載モデルも合わせてリリースすることが1つのアピールポイントになるかと考えています。ジャパンモビリティショーにもコンセプトカーを出展しました。小型のBEVでコンパクトなバッテリを搭載しつつ、長距離を走れる非常に独特な技術となっています。こうしたマルチソリューションのアプローチとは親和性が高いものになっていると考えています」とガイトン氏は答えた。