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モビリティの多様な選択肢を提示したトヨタ豊田章男会長、「CES2025」ではどのような未来を語るのか?
2025年1月6日 02:07
CESに積極的に参加してきたトヨタ自動車
世界最大の技術見本市である「CES2025」が間もなく開幕する。このCES2025において大きな話題となっているのが、トヨタ自動車がCESに帰ってくること。トヨタがCESに参加するのは、世界的なコロナ禍が始まる前のCES2020以来のこととなり、どのような発表内容となるのかが注目されている。
実はトヨタはCES参加に積極的な自動車OEMであり、2011年のCES2011では「CES Unveild」で車載用新マルチメディアシステム「Entune」を公開。以降、FCEV(燃料電池車)の発表や、関連特許提供の発表、人工知能研究新会社「Toyota Research Institute」の体制&設立発表を行なってきた。
豊田章男会長自身も、社長時代の2018年と2020年のCESでプレゼンテーション。2018年のCES2018ではトヨタがモビリティカンパニーになることを宣言したほか自動運転可能なバッテリEV「eパレット」を発表、世界的なコロナ禍の始まる直前に行なわれた2020年のCES2020では実証都市「ウーブン・シティ」を発表した。
その後、世界はコロナ禍となり自動車メーカーをはじめとした多くのモビリティ企業はコロナ対策に追われることとなり、CES自身も2021年はデジタル開催へと変更。コロナ収束後のCES2024から多くの出展社が戻ってきた状況にある。
「敵は炭素」「マルチパスウェイ」と多様なカーボンニュートラルの未来を示した豊田会長はCES2025で何を語るのか
豊田章男会長がCESに登壇するのは、会長になってから初のことになる。この登壇が注目されているのは、豊田会長がトヨタ社長時代、日本自動車工業会会長時代に適切な未来像を示してきたことにもある。
将来的なカーボンニュートラルを世界各国が約束し、日本政府においても2050年にカーボンニュートラル、2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)を掲げるなか、多くの識者が自動車のバッテリEV化を語り、自動車の未来はバッテリEVしかないと断じることが多かった。自動車メーカーにおいても、2030年までに完全EV化を掲げるメーカーも出るほどだった。
そのような強い流れの中、豊田章男氏はトヨタ自動車社長として自工会会長として「敵は炭素」とカーボンニュートラルの本質を語り、トヨタ自動車社長としては、バッテリEV、FCEV、HEV、PHEVに加えて水素を燃料とするH2ICEに取り組むなどマルチパスウェイ戦略を採り、自動車を必要とするユーザーの市場やニーズに合わせてカーボンニュートラルを進め、同時に自動車産業で働く仲間の雇用を最大限に高めようとしてきた。
2024年に入りバッテリEV市場が踊り場となり、市場でのHEV人気が高まると完全EV化を掲げるメーカーも軌道修正。2024年後半には完全EV化を断じる識者はほぼ見かけなり、トヨタの完全EV化の遅れを強く指摘していた一部メディアも豊田会長の判断の適切さをたたえる記事を掲載することを見かけるほどの状況である。
そんな中、豊田会長は新たな発信をこのCES2025で行なうため、多くの人が注目していることになる。
すでにトヨタから発表されている内容では、「ウーブン・シティ」に関するプレゼンテーションを行なうとのこと。ウーブン・シティは、2020年のCES2020で豊田社長(当時)がその建設を始めて発表し、2024年にフランスのテックイベント「Viva Technology」でウーブン・バイ・トヨタの隈部肇CEOが現状を報告。2025年に一部公開が予告されていることから、実際にどのような街になるのか期待が集まっている。
トヨタがモビリティカンパニーに変わることを宣言したのが2018年のCES2018、CES2020ではウーブン・シティの建設を発表し世界中に衝撃を与えたことから、2025年のCES2025でも大きな発表内容となることが予想されている。