ニュース

三菱ふそう、燃費と居住性を高めた「キャンター 2016年モデル」発表会

実燃費を7%向上。6速DCT「DUONIC2.0」に「ヒルスタートアシスト機能」を標準装備

2016年4月26日 開催

キャンター2016年モデルと三菱ふそうトラック・バス株式会社 副社長 三菱ふそうセールスジャパン 本部長 三輪為夫氏

 三菱ふそうトラック・バスは4月26日、小型トラック「キャンター」の2016年モデルを発売。これに合わせてリビエラ逗子マリーナ(神奈川県逗子市)で発表・披露会が開催された。

 8代目となる現行型キャンターが発売されたのは2010年。デュアルクラッチAT「DUONIC(デュオニック)」の搭載や、ポスト新長期排出ガス規制(平成22年規制)に適合するなど、高い環境性能と経済性を備えたのが特長。8代目キャンター初のモデルチェンジとなる2016年モデルでは、省燃費性能を国内トップレベルまで引き上げるとともに、ドライバーの快適性向上を目指しているのが大きなトピックとなる。

装備や外観デザインの差別化を図った上級仕様(オプション)の「キャンター CUSTOM」
メッキタイプのフロントグリルやバンパー、コーナーパネルを装備
グリル上部のブルーライン「エコブルー」は2016年モデル共通の変更点
トランスミッションはデュアルクラッチ式AMTのDUONIC2.0
CUSTOM仕様は専用バッヂを装着

 エンジンは従来と同じ3.0リッター 直列4気筒インタークーラーターボディーゼルエンジンの「4P10」型を搭載。このエンジンと車両トータルでのチューニングを施すことで燃費向上を果たした。

 スペックは「T1」「T2」「T4」「T6」の4種類が設定されるバリエーションにより異なっており、順に「T1」が最高出力81kW(110PS)/2970-3500rpm、最大トルク260Nm(26.5kgm)/1200-2970rpm、「T2」が最高出力96kW(130PS)/3050rpm、最大トルク300Nm(30.6kgm)/1300-3050rpm、「T4」が最高出力110kW(150PS)/2840rpm、最大トルク370Nm(37.7kgm)/1350-2840rpm、「T6」が最高出力129kW(175PS)/2860-3500rpm、最大トルク430Nm(43.3kgm)/1600-2860rpm。

 最高出力&最大トルクのピーク値は従来モデルと変わらないものの、発生回転数がフラット化されたことにより扱いやすさが向上。燃費面でも最高11.6km/L(重量車モード燃費値)を実現。オプション設定されるISS(アイドリングストップ&スタート)付車では最高12.0km/L(重量車モード燃費値)となり、ほとんどのモデルが平成27年度重量車燃費基準+10%、全車で+5%を達成。自動車重量税と自動車取得税の減税措置を受けられる。

 トランスミッションは5速MTと6速DCTを用意し、6速DCTはデュアルクラッチの改良などにより信頼性、快適性、操作性が向上した「DUONIC2.0」を採用。このトランスミッション自体は2015年9月から採用されているが、2016年モデルではさらに「ヒルスタートアシスト機能」を標準装備化した。

 インテリアはブラックとシルバーのコンビネーションカラーに一新。運転席シートへのサイドサポート追加や座面クッションの拡大により快適性を高めたほか、オーバーヘッドシェルフやセンタートレイ&マガジンラックなど、従来は「CUSTOM仕様」に装備されていた収納スペースを標準装備に変更し、快適性や居住性を高めた。価格はキャブ付シャシー(TRG-FEA50)4P10(T4)DUONIC2.0 ISS付車で429万9480円。

キャンター CUSTOMのインテリア。インパネ中央にシルバーの加飾が付き、シート表皮とフロアカーペットは専用品
DUONIC2.0のシフトまわり。マニュアル変速も可能
ヒルスタートアシストは通常ONで、OFFにするためのスイッチを備える
CUSTOMは運転席・助手席の両方にオーバーヘッドシェルフを装備

「ドライバーは乗る喜び、経営者は経済性を実感できる」と三輪副社長

三菱ふそうトラック・バス株式会社 副社長 三菱ふそうセールスジャパン 本部長 三輪為夫氏

 4月26日に行なわれた発表・披露会では、三菱ふそうトラック・バス 副社長 三菱ふそうセールスジャパン 本部長 三輪為夫氏が登壇。「お客様のビジネスの発展、日本の物流を支えるすべてのドライバーをサポートしたいとの思いが、昨年発表した『スーパーグレート V 2016年モデル』『新型キャンター 2016年モデル』に込められております」と前置き。「ドライバーにとってトラックのキャビンは1日の大半を過ごす第2のリビング」であり、「この空間をより快適に、よりリラックスできる空間にしたいとのコンセプトから、今回の新型キャンター 2016年モデルを開発した」と説明。新しいキャンターは「ドライバーのみなさまには乗る喜びを、そして経営者のみなさまには経済性をご実感いただき、ご満足いただけるものと確信しております」と締めくくった。

三菱ふそうトラック・バス株式会社 大小トラック・バス商品プロジェクト部 部長 高畑悠二氏

 続いて新型キャンターの商品概要について、三菱ふそうトラック・バス 大小トラック・バス商品プロジェクト部 部長 高畑悠二氏が解説。まず、現行キャンターについては発表・発売から5年半が経過しており、「機種の追加、機能の充実などを実施してきたが、内外装についてはほとんど手を入れなかった」「(発表時は)クラストップの低燃費だったが、競合他社が近づいてきたため新型の開発が必要になった」と説明。

 2016年モデルの開発では「ドライバーズファースト」をコンセプトに、「快適な空間」「イージードライブのさらなる向上」「クラストップの燃費」と3つの柱を掲げた。

 快適な空間では「内装色、ステアリングホイールの変更、メーターの変更による視認性の向上」に加え、「収納の強化」「快適なシート」を実現。イージードライブでは2015年9月に先行投入した「DUONIC2.0」の全面採用に加え、新たに「ヒルスタートアシスト」を追加したことで「よりイージーなドライブが楽しめる」とした。

 クラストップの燃費は「おもにエンジンのソフトのチューニングをやり直しすること」で達成したと語り、「排出ガス、燃費の立ち会い試験も再度実施している」と説明。「一般道を走ったときの燃費データは現行モデルと比べて7%向上」「競合他社に対してもアドバンテージがあり“クラストップの座を奪還できた”と思う」と自信を見せた。

快適な空間
快適な装備
快適なシート
イージードライブでは、DUONIC2.0にヒルスタートアシストを新たに追加
クラストップの燃費を実現
実燃費は7%向上
全車種が平成27年度重量車燃費基準+5%以上を達成
自動車重量税と取得税の減税措置が受けられる
標準キャブ、ワイドキャブ、エコハイブリッド
標準キャブ
新形状のドライバーシートを採用
アームレストも装備される
センタートレイ&マガジンラック
シート後部にもトリムが付いた
標準キャブのインパネ。助手席前方のグローブボックスにフタがないのは、ヘルメットの収納スペースとして使えるようにとのこと
メーターパネル内のデザインを変更
シフトセレクターまわり
インパネ中央部。デジタル時計付自動選局AM/FMラジオを標準装備
格納タイプのカップホルダー
こちらの小物入れはリッド付きになる
ペダルまわり
ドアトリムのカラーも変更になった
ドアトリムにアッシュトレイを設定
ルームランプはLED式を採用
オーバーヘッドシェルフを運転席側に標準装備
ワイドキャブ
ワイドキャブのインテリア
ワイドキャブは助手席側が広い
運転席の頭上にあるオーバーヘッドシェルフ
エコハイブリッド
車両助手席側にリチウムイオンバッテリーを配置
エコハイブリッドのインテリア

(安田 剛)