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アストンマーティン、限定10台の新型「ヴァルキリーLM」 ル・マン24時間耐久レースやIMSA参戦マシンをベースに製造
2025年6月10日 14:49
- 2025年6月9日(現地時間) 発表
アストンマーティンは6月9日(現地時間)、ル・マン24時間レースの総合優勝を狙うロードカーベースのハイパーカーとなる新型「ヴァルキリーLM」を発表した。生産台数は10台限定で、2026年第2四半期までにデリバリーが行なわれる予定。
ヴァルキリーLMは、WEC(FIA世界耐久選手権)や北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に出場するためのマシンをベースに製造され、エンジンはコスワース製V型12気筒6.5リッターNA(自然吸気)エンジンのリーンバーン仕様を搭載。エンジン出力はレースレギュレーションと同じ520kW(697HP)に制限され、スポーツカー・レースの最高峰に位置するハイパーカー・クラスにおける精鋭レベルのパフォーマンスに直接匹敵するドライビングを体験できる1台。
新型ヴァルキリーLMは、WECやIMSAで競うマシンとの違いを最小限に抑えながら、アマチュア・ドライバーでも十分に扱えることを重点に開発。レース・シリーズ固有のバラストやFIAレギュレーション関連のエレクトロニクスなどは装備しない一方で、コックピットのインターフェースはトラック・デーにおける使用を想定したビスポーク仕様を採用。
レースレギュレーションおよびホモロゲーション用のクローズドループのトルク制御ではなく、使い勝手のいいオープンループのトルク制御を使用し、レーシングカーのような電力供給を管理するためのドライブシャフトセンサーとインプットトルクセンサーは、ドライビング最適化のため装備からは外してあるという。さらにV12エンジンは、レース専用燃料ではなく、一般的に入手できる燃料を使用できるように再調整されている。
ヴァルキリーLMは7速シーケンシャル・トランスミッションが組み合わせられるほか、サスペンションはフロントとリアともにダブルウィッシュボーン、プッシュロッド式トーションバー・スプリング、調整可能なサイドダンパーとセントラルダンパーを採用。タイヤはF1のタイヤサプライヤーであるピレリによる特注のパフォーマンスタイヤを装着する。
コクピットはドライバーの安全、乗り込みやすさ、視認性を考えて最適化され、カーボンファイバー製の専用レースシートにはショルダーサポートと頭部を囲むヘッドレストパッドを装備。FIA 8853規格に適合した6点式ハーネスと消火装置も用意され、ステアリングホイールにはドライバー用のディスプレイとシフトライトが組み込まれている。
また、アストンマーティンはオーナーが究極のモータースポーツ体験を満喫できるように、専用の能力開発プログラムを用意。プログラムはプロのエンジニアチームがすべてのマネジメントを行ない、オーナーは安全に管理された環境下でマシンの能力を試すことに没頭できるという。サーキット走行前には、シミュレーターを使用したドライビングレッスンも行なわれる。
なお、この専用プログラムには、ヘルメット、HANS装備、ドライバー用スーツおよびブーツ、個人に合わせて成形されたイヤーピース、ドライバー用グローブ、防火下着など必要なものはすべて付属する。
アストンマーティンの最高経営責任者(CEO)であるエイドリアン・ホールマーク氏は、「どこを探してもヴァルキリーのようなマシンは地球上には存在しません。ル・マン優勝に挑むヴァルキリーは、唯一のロードカーベースのハイパーカー・クラス車両の心臓部で力強く鼓動する圧巻の6.5リッターV12 エンジンをはじめ、並み居るライバルたちの中で唯一無二の個性を放っています。ヴァルキリーLMは、世界で最もエクスクルーシブなアストンマーティンのオーナーズクラブの一員となることのできる、極めて魅力的な機会です。実際の耐久レースにこの上なく近い、スポーツカー競技の最高峰で限界に挑む私たちのワークスドライバーでなければ味わうことのできない最高に純粋な体験に没入できます。長年にわたりアストンマーティンはレーシングカーで培ったパフォーマンスをオーナーの皆さまに存分に堪能していただけるように努力してきました。ヴァルキリーLMほど、現在WECとIMSAで戦うハイパーカーで展開される最先端技術のダイナミックな生の力に近づける機会はいまだかつてありません」と述べている。